No.219 
電流伝送チャンネルフィルター 

2015.08.16

Google「金田アンプ」サーチで 
電圧伝送式 低廉なデバイスSCT2450KEにより、電流伝送パワーIVC基板1枚の試作も終わり目途もたった。経費をはじめとしすべて半分で済むモノーラルが狙い目だ。さて、現在の604Eを動かしているチャンネルフィルターはどうなっていたか。hpに詳細を掲載していなかったと思うので、実物を見ることにした。


スケルトン抵抗によるゲイン調整ではなくボリウムとした。






 

 (図は、当時の金田アンプのメモ)

以上が、2010.11.23に製作した内容である。当時、別の周波数構成を検討していた経過があるので、実際はどうなのか心配になり忘れぬうちに製作備忘録となる。
For me
これはph7の製作備忘録
電流伝送式 上の電圧伝送方式によるものと同様のクロスオーバで手持ちのSEコンデンサー(0.033μFが4個、5100pFが4個)を使うと以下の図-1のようになる。Cはなるべく大きくすべしとのことから、それぞれパラにして、抵抗を半分にする図-2でも同じだ。アルテック社が、1600Hz辺に設定する訳があるはずだから、これを尊重するのが畏敬の念を抱くというものだ。
参考:図3.4は1300と5000Hzでクロスした場合の定数。


 
  ツィーターはゴトウだ。これで、10.6kHz以上をカバーする。もっと下からでも良いのだろうが、今までのチャンネルフィルターとの比較もしなければならないので、大きく変えるわけにはいかない。
 
 
 0.1μFを起用 SEコン5100pFはEQアンプに使うから、最近出番のない0.1μFを起用するか。何れの場合も抵抗は近似値で我慢するしか無い。


その抵抗は1本では丁度良い値にならないから、その辺りのパターンを変えた。さらに、ジャンパー2箇所を無くしてみた。
 
Cはできるだけ大きい値、Rはその逆、とのことだから、手持ちのCからは、青書きのような選択もある。5100pFを大事にするためでもあり、0.1μFは惜しみなく使うことにするとは隔世の感がある。
電源は、印加後1分後にパワーIVCのSWを入れるとある。±25Vでも良いようだが、簡単な±15VをLM317等で作ろう。

図5を在庫のスケルトンとした場合、クロスオーバ周波数は次のようになる。(RHは470Ωが在庫あり、RLは1KΩ+50Ωの在庫で組むからRHはパターンが少し変わり、くの字で抵抗を回避していたパターンが直線となる。)
 

モノラルだから1つ作れば良い。図-6の仕様で組んでみた。SEコンの位置はパターン図とは異なる。一番高いパーツの足は切りたくないので足の回避を考えるとこのようになった。電源はパワーIVCに供給している±30Vラインから分岐したダブルRegであり、±15VをLM317・337で基板の右に乗せた。±とも12~13mAの電流しか消費しないから、LM317・337に放熱器は不要。図-7の様に、CをV2A(0.1と0.22)で代用して音を聴き比べることも面白いと思う。この場合、クロスオーバ周波数は気にならないだろう。(私には)




さらに、図-8の金田アンプでスタンダードな600Hz/8kHzを試してみる必要もあるだろう。これと、1500Hz/10.6kHzの勝負も見もの(聴きもの)
ただ、15年ほど前、604Eのオーナーだった方の言葉「802-8T+511のホーンで700Hz程度ですからそこまで落とすのはちょっと難しい感じがします。」ということがいつまでも引っかかっていて図-8方式は実現していない。

2015.8.31 
2枚目基板  色々と試したくて別基盤に次のようなパーツで組んで見た。まともなのはRLの2.29KΩのスケルトンのみだが、信号はその前段の進を通っているから全体にまがい物。なんとキーキーという薄っぺらい音が出るものだ。問題はスコーカーからきちんと中域が出るかどうかだ。それなりに出ているから、パーツを正規品に換えると優秀なフィルターになるだろう。

 

参考
 CHfilter No.1入力側電圧+14.6mV
 今回製作のNo.2入力側電圧+51mV(MJ記事の値に近くなった。)

図-9の10000pFは5100×2でも試したが、足に無理がかかっているので隠居した。代わりに基板から7本撚り線を立て33000pF(25年も前にストック)を仮付けした。0.1μFは逆さまにして基板左横に配し、560Ωのリード線に仮半田付けをした。スケルトン抵抗もリード線を7本撚り線に替えた方が音は良いのだろうが、そこまではしていない。そうするとR・Cとも直ぐに変更出来てクロスオーバ周波数を好みに替えるときの手間が省ける。

2015.10.14

この段階での評価はできないが、全体に低くしたつもりが出てくる音は高め?指定パーツにしてのヒヤリングが楽しみ。
安定度は  室温による安定度が気になっていた。
室温12℃ チャンネルフィルターのTR3.4のコレクター電圧 -140mV
 時間経過1時間後には+25mVとなる。
室温20℃ チャンネルフィルターのTR3.4のコレクター電圧 +80mV
 時間経過1時間後には+140mVとなる。

2015.12.01 
熱結合  3枚目基板  チップTR採用
室温によって若干の変動はあるだろうと覚悟していたが、予想以上に大きく、熱結合に問題があったと判断し、チップTRにより回路構成することとした。パターンはそのまま踏襲したが、変換基板とユニバーサル基板との寸法が違っているし、ダイオードはTRの機能を使うこととしていたので、変換基板よりも頭の変換が必要となった。





ケースに収めて、調整する。
①チャンネルフィルターのTR3.4のコレクター電圧 10mV以内
②①の電圧が変わったため、ウーファーのオフセット電圧が-120mVとなったので、パワーIVCの調整VRにてこちらも10mV以内に追い込む。
暫くして(1時間程度)①は40mVに②はほぼ変わりなし。
TR1エミッター入力点の電圧はプリアンを繋いで、+30mV。
①の電圧 入力オープンにて-500mVとなり、当初の-900mVよりも低く出た。
チャンネルフィルターの安定度が悪いと折角の測定器並みのパワーIVC良さが発揮されない。つまり、変動するチャンネルフィルターのいつの時点の特性に合わすのかということだ。これからは、安心してパワーIVCの調整を行える。

  (No.218を元にした単行本版カレントラインアンプと同様)

2015.12.12 

HN3A51F、HN3C51F
  同じ躯体に納まっているのと、特性も近いため熱結合の必要もなく安定した満足な結果が出た。この結果から、安定性の悪かったNo.218カレントラインアンプにもこの方法を取り入れたくなった。
そういえば、No.219の本チャンネルフィルター発表時はベースコモンTRによるバッファアンプは顔出ししていなかった。No.220から顔を出したと思う。少しの時間の違いでNo.219には採用されず、結果として安定しない結果に繋がったのか。(ベースコモンのTRは手持ちないし、買うのにも高すぎるため、手間はかかったがチップTRによる方法としたが、価格的にもリーズナブル。安定性も12分で良かったと思う。)
金田先生は、きっと同様の改善は為されていると思われるが発表の機会が無いのだと思う(或いは単行本に掲載予定か)。更に、このバッファには少しのゲインがあるが、1:1にすることにより安定性に繋がるかと思う。

 
チップTRディアル型はすべての端子が出ているから応用範囲は広くなる
 

2SK2145はゲートコモン これも別々になっていると良いのだが
Regが気になって  ±15VのRegが気になっていた。
今は、LM317等の3端子によるものだが、金田式で簡単なものは無いか探していたらシンプルなものがあった。金田先生は、Regは必要ないとのことだが、適当なトランスもないし、あっても+と-が齟齬(異なる電圧)しているものしかない。J78とK215は足をカットした取り外し品があるのだが、流石にこの石をNo.239パワーIVCには使えなかったので、今回、7芯撚り線を基板に立てて足の不足を補いながらJ78とK215のテストも兼ねて作ってみた。


製作に凝ると周りが見えなくなる。段々、熱くなると前後不覚、半田コテをあてるときは何故か息が止まる。ツェナーの電圧が高く出る?結局、使用していたテスターの電池の電圧不足。最近、計測データが変だとは思っていたが、テスターに電池不足のインジケータ出ていたのかも知れないが、気が付かなかった。以前にもあったな、学習能力のなさに苦笑。

最終的にこれで落ち着くだろう。簡易なRegとのことだが性能は思ったより良いようだ。No.227 236 244にも掲載の+12(+18)V、-4.8Vの回路を±15Vにしたものだ。
No.244を例に取ると
D2のツェナーダイオードを1588×2とした。(向きが逆になるから注意)
TR2の2.7KΩを330Ωに
TR1のツェナーダイオードは-基板も6C2に
TR1のベース抵抗は13KΩに
TR2のベース抵抗は20KΩに
これでTR2には1.5mA、D2代1588には1mA程度流れる筈だ。
J78とK215は暖かくもならない。CHフィルターの消費電流は±とも13mA程度だから。
入力は+23.4V、-21.2V
出力は+15.90V、-15.67V

※デバイス名は汎用のものを使用した。J1はMOSFETでなく適当なFETを充てた。
+15V-Reg.asc へのリンク C1の極性逆なので直すべし。
なお、シミュレーションでは +16.26Vの出力となる。
また、J1をMOSFETにすると+15.86Vとなる。(これにて実地と合致)
以上は、LTspiceの初期インストールにて実現可なので未了の方はお試しあれ。
LTspiceはフリーであり優れたシミュレーションソフトだ。すべてシミュレーション通りには成らないだろうが、要所の電圧や電流を確認できるので、パーツを実地で取り替えなくても済むからとても助かる。
他のHPでも色々とシミュレーションされているが、15V-Reg.ascのように*.ascファイルとパーツ定義ファイルをダウンロートできるようにしてほしいと思う。
共有が大切。

2015.12.20 
少し手を入れた  TR1エミッター入力点の電圧はプリアンプを繋いで、+30mVなのだが、これを「0」にしようとカレントラインアンプに準じ3KΩに500Ω半固定を追加しサーチしてみる。(カレントラインアンプも指定の1KΩの抵抗では足りず1.85KΩになった経緯あり。)
①チャンネルフィルターのTR3.4のコレクター電圧 10mV以内(ケースの蓋を開けて調整のため常に5~10mVの変動あり。)
②①の電圧が変わったが、ウーファーのオフセット電圧は+5~10mVで大きくは変わないためパワーIVCの調整VRには触れない。
暫くして(1時間程度)①は30mVに②は変わりなし。
①の電圧 入力オープンにて-500mV前後で変わりなし。
500Ω半固定は465Ωとなっている。
結局、TR1エミッター入力点の電圧はプリアンプを繋いで、「0」にはならず、+28.5mV程度がTR3.4のコレクター電圧との関連からも(500Ω半固定が465Ωにて)ベスト。500Ω半固定に2KΩ追加でも+17mV。こうなるとTR3.4のコレクター電圧は増加。世の中うまくいかないものだ。
TR1エミッター入力点の電圧は、MJ記事でも46mVだったかな?きっと「0」は無理ということ。

2016.02.17 
Impressions  これにて、電流伝送チャンネルフィルターは手を付けるところは無いと思う。それにしても、既に述べたと思うが、高価なSEコンを半減した効果は音の向上とC/Pの向上やトライのしやすさ等金田アンプにとってはかり知れないものをもたらしたと感じる。いつの日か、SEコンさえも排除されんことを期待して。

 

最後のナンバー「駅」を良く聴く 「明菜」のも聴くが「まりや」の方が自分には合う
入力ポイントを0mV  電流伝送チャンネルフィルターの入力ポイントを0mVにしようとしてTR1ベースの3KΩに500半固定を追加したことは以前に触れた
これを思い切って大きくしてTR1のベース電圧を少し下げる
結局ベースには0.607mVだったものが0.576mVとなりこのときの全抵抗は9.97KΩとなった ダイオードに流す電流も4.35mAから1.53mAに減った
これで入力ポイントは0mVとなる 入力プラグを抜いても0mVとなり完璧と思われた
こんなアンバランスなことをして結果はどうなのか
出てきた音に生気がない 楽しくない
無理した結果は音に現れるのだと感じた
          
 

電源の一部変更 別のページ参照 2017.08.29追記

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