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非反転方式 パート 3 |
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このアンプを、ほんとうに気に入ったのかさらに作りこんでいくつもりで、とうとう7枚目基板作りに取り掛かった。シンプル、イージー・ファイン・フリーメンテ。Goodサウンド |
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この基板はC960、V2Aと贅沢なものだ!! |
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電源を用意 |
No.192パワーアンプを作りたくなったが、電源がない。バラックでも良いので、ジャンクトランスをこれまたジャンクケースに納めよう。適当なトランスがないため、LM317等の定電圧レギュレータのお世話になろうとパーツを集め試作した。 このアンプケースを利用した シャーシに適宜穴が空いており使いやすい トランスのAC出力は30-0-30Vだから、整流すると42Vになり、これから25Vを取り出すには少しロスがある。熱を持つだろうな。しかし、電圧増幅部はどれくらい電流を喰うのだったか忘れてしまったが、せいぜい50mA程度だろうからLM317とLM337で組んでみたが、 このような広く知られている回路であり、簡単な配線で出来上がる。1枚の基板に組んでみた。LM317とLM337があれば、中間タップトランスが使える。正電圧のレギュレータのみで実現しようとすれば、30-0Vと30-0Vのように2回路が必要になる。問題は、出てくる音がどうだろうか。良くない気がする。しかし、今まで、金田アンプのヒーターにはこの種のデバィスが積極的に使われている。ADコンバータの記事で3.3Vは3端子の78シリーズと超高速定電圧レギュレータでは音に雲泥の差があると記されているから、期待はしないほうが良いだろう。残念。 出力段はトランスから整流したものを使うのがベストだろうが、12-0-12Vの5A程度の汎用トランスだと、それなりの価格だろうから、この2つの要件をクリアーするには、13,000円程度のRコアトランスを特注した方が早道となるのだろう。 家捜しの結果、電圧増幅部に最適な18-0-18Vの0.5Aは取れそうなトランスが押し入れから出てきた。V19Eダイオードをケミコンに直付けして、±25Vが用意できる。 V19Eを直付けする ±16Vに最適なトランスは見つからない。12-0-12V1Aのトランスはあるが、実験的にしか使えないだろう。 仕方ない。とりあえず、これで組み上げよう。と思いながらも、やはり、±16Vにもう少し容量が欲しい。LM338(5A)で音の実験も兼ねて、±42Vから±16Vを取り出す方法でやってみようか。やはり、遠回りをしながら、実験をしながら…時間をゆるりと楽しむことになりそうだ。なにも、今に始まったことではなく、いつものことではないか。 2010.11.06 |
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電源3号プロフィール
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放熱処理 |
前回同様、例によって、底板1枚では放熱効果が薄いため写真のとおり3×1.5センチのアルミ角を底板に追加した。効果は抜群である。 Ioは今回、200mAとしたが、ほんのり熱程度だ。 以前はアルミ角材をパワーFETごと止めているのでネジは30m/m長だったが、今回は下図のとおり短いもので足りる 3×1.5cmアルミ角材は空気に触れる面積も大きく放熱効果良好 2010.11.07 |
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No.192-7枚目基板 | No.192パワーアンプ基板の7枚目 私にとってこのシリーズのアンプ製作は、いかに廉価に製作し良い音で音楽を…ということから始まっている。いままで6枚の基板にひとつとして同じパーツ構成の基板はなく、基板1枚当りのパーツ代2,500円版(使用した抵抗はカーボン抵抗)でも良い音が出るということは、回路設計の優秀さが音として現れているということだ。今回もあちこちに異色と忘却のパーツが顔を出す。 |
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今回の基板の概算価格
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No.192パワーアンプ基板の7枚目を製作し、ジャンクのアンプケースに納めた。高さがあるので、基板は立てて位置した。立体的にすると配線が容易となり、常に表裏を見わたせるので点検もしやすい。 今回こそは完璧に間違いないと信じつつも、電源を入れるときは気持ちがシャキッと洗われる。入力にはショートプラグ、出力には8Ωの抵抗をセットするが、±16Vにヒューズは入れなかった。エイヤーとSWを入れて、Ioとオフセット電圧を瞬時に読むが正常の範囲だ。 それとSW・on時のポップアップノイズが気になって、サブSWを設けていたが、今回は省略したが、ほとんど気にならない範囲だ。しかし、左右等別々にSW・on/offしたいときには便利な機能である。 Ioは半固定VR2を最小にセットのため数10mA、オフセット電圧は半固定VR1を中間にセットで-800mV程度だから、少しTR1.2のバランスが悪く、半固定VR1角度2時方向でバランスした。それぞれ所定の数値にして正常稼動、音出しも終えた。こんなに簡単なセッティングは今まで珍しいことだ。 Ioは本来の200mAにセットして様子を見る。放熱器を使用していないため、気にしていた熱の心配は取りこし苦労に終わったが、用心のため、例によってアルミ角材(30×15mm)をケース下部に配置し終段FETの放熱効果を高めた。(FETの固定ビスでアルミ角材を固定しており放熱面積も取れ、デットスペースを活用しており、シャーシ内に放熱器を配置できない場合に効果的な方法だ。なお、ゴム足は20mm.高のものを用いた。) もうひとつ、ドライブ段に使用した2SC960の熱も気になっていたが、2SC959でも良かった位の熱に止まっている。前回、前々回の同型アンプではIo=100mA程度でもこの石は熱くなったのだから、今回のアンプの出来栄えは気持ちが悪く、暫くはBose301の中古スピーカーで慣らし運転をしようと思っている。 スピーカー保護回路も未登載のため、すぐさま、アルテック604Eに繋ぐのはいささか心配だし、このケースには基板3枚を組み込み、現用のネットワーク方式を止めて、モノーラル専用3chデバィダー式のパワーアンプにしたいのだ。 指定外部品は、 0.1μF Audyn-Cap→V2A104(これは贅沢) 510pFのSE→560pFのAPS(30分の1の安さ) 10μF50V Black Gate Non Polar→MUSE-ES 10uF50V 半固定VR→東京コスモスGF063P 200Ω TR6.7→2SC960 TR8.9→2SK2233東芝 反転入力→非反転入力にともなう関連パーツ →スケルトン100Ω3.9KΩ~こんなところだろうか。 特に、終段のMOSFET2SK2554は高いので、1つ100円で入手したものを使用することで、C/Pを高めた。 2010.11.10 |
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その後のIoとオフセット電圧 |
MOSFETパワーアンプは、寒い日にはSW・on直後、Ioが1A前後流れることは既述。今回のアンプのIoは、SW・on直後で180mA位流れ、1分以内に所定の200mAに達し、その後は廉価な半固定VRの影響もなく安定している。こうなると、ドライブの石はすべて2SK214から2SC959(960)に換えたくなる。オフセット電圧の方は、SW・on直後で-150mV位だが、どんどん+側に移動し数分で安定する。 こうしてみると5、6枚目基板のように、初段に2N3954を使ったときは、さすがに安定度抜群であることは既述。(SW・on時のオフセット電圧は50mV程度であるが、すぐに0mV前後で安定する。) +16Vラインに1Ω(福島双羽MPC74)の抵抗を入れてIoを計測しているが、Io=200mAだから、電圧降下は0.2Vとなり、常時計測用抵抗を入れておいても支障はない。音に与える影響もそうないと思われるので、暫くこのままで様子を見る。 2010.11.11 |
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お勧めのデバイス |
私が、最近多用しているデバイスは、前回も紹介したが下記の2SK2233だ。中高域用アンプに使用するので、あまりパワーを必要としないアンプには本当に手ごろではないか。何よりも価格がリーズナブル@100。この記事に刺激され、お使いの方、結果についてレポートいただければ幸い。 お勧めのデバイス (パート1.2から引用)
2010.11.12 |
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保護回路も完成 |
192パワーアンプ基板 縦配置の様子 192パワーアンプ基板 縦配置の様子2 保護回路のパワーFET(2SK2233を採用)はアルミ角材を利用して放熱するもほとんど発熱はない。この方法はスペースに余裕の無いときに便利で放熱器代も安くあがる 検出部は、仮にスピーカー出力端子に最短でハンダ付けした。 2010.11.14 |
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No.192-8枚目基板 |
この電源のブリッジダイオードは、パーツボックスの中で使って欲しいと声を上げていたS15VB(600V15A新電元)を用いた。ここに用いるダイオードによる音の違いも数多くレポートされているが、今回は、今まで使ったことの無いもので試してみよう。なにしろ、人生は試行の連続だから、試しを怠ったときから進歩は無いと思うのだが。 No.192パワーアンプ基板の8枚目 ジャンクのアンプケースに納めたNo.192パワーアンプ基板の7枚目に続き8枚目の基板を作る。基板は2時間程度で作り上げたが、実は、差動アンプのペア取りに半日以上も費やしてしまった。 ペア取りのための回路をKタイプJタイプそれぞれ2回路作る破目になった。今までのものに1回路追加で良いだろうと思っていたが、測定値に齟齬がある。つまり従来回路で6.75mAが新回路では7.25mAの様にである。 しかし、今までは1回路で測定しペア取りをしていてもあまり結果に問題はなかったのだが、最近は、記事中「誤差0.1mA以内のペア」の記述がすごく気になり出した。そのため、FET2本を同時に測定すべきだという当たり前の結論に達した。(達するのがあまりにも遅かった。)しかも、熱結合したときと同じ配置で測定してペア取りすれば、半固定VR角度も中間でマッチングするはずだ。したがって、この角度はドレインとソースの逆接続における誤差を吸収するための角度だ。 2SK246も2SJ103もドレインとソースは逆にしても問題なく使えるが、熱結合した形で測定、つまりDGS、SGDという配置だから、ドレインから電圧をかけて見る電流値とソースからとでは、0.5mA前後の誤差が出る。この誤差の無いペアを見つけるのは大変なことだから、従来は片方向のみの電流値を一致させるだけで測定したペアを使用し、誤差は半固定VR角度で調整した。 この作業が前述の半日以上であるが、ドンピシャは見つからなかった。最後の手段は、片方のデバイスのドレインとソースの足を交差させる方法しか無い。 8枚目基板 作動アンプ足交差 あまり神経質になると、そのうちに実回路にソケットを装着し、現物合わせが一番だと言いながら熱結合したデバイスを差し替えている自分の後ろ姿が夢に出てきそうだ。 8枚目の基板に話を戻すが、この基板はオールニッコーム抵抗、初段差動アンプの負荷抵抗は回路どおり1.3KΩ(7枚目基板は1.2KΩ)、TR2ゲートのスケルトン抵抗は100Ωが無く220Ωとした。これで、オール進抵抗の7枚目基板とオールニッコーム抵抗との抵抗音質チェックが出来る。 暫くは、これとテストスピーカーBOSE301(音のテストではなく、アンプのテスト用の意。)でレコードを聴こう。最近は7枚目基板片CHのみでモノラールレコードばかり聴いていたので、今度はステレオレコードを聴くことにする。しかし、1A12Vの電源トランスに基板2枚を駆動する余裕があるか心配だが、最悪の場合は、現在のIo=200mAを100mAに落とせば良いことになる。 そのうち、9枚目基板と保護回路の検出部をもう1枚作り、モノーラル専用3chアンプに転換するときまでに、専用トランスを用意してあげないとアルテック604Eに失礼なことである。 当初の目的は、廉価なパーツで良い音だから、いままで安価なパーツの投入をしていないドライブ段を換えてみたい。50円以内という条件とした場合どのようなデバイスがあるのだろう。2SC960(120V0.7A1W)の条件をクリアーすれば1次関門は通過だ。耐圧はもっと低くて良いだろう。あとは、2次で音の確認をすれば良いことになる。これが実現すれば、2,000円弱のパーツ代で基板1枚が完成する。当然、抵抗もカーボン抵抗になるが、私の耳によると音には影響のないことは確認済みだ。 8枚目基板の音出しを行った。保護回路の検出部の入力は配線しないで置く。配線してから電池でのチェックは出来なくなるが、この場合、半固定VR1を回して強制的にオフセット電圧を600mV付近に持って行き作動すれば正常だ。電源SWをoffにして、半固定VR1を元の位置に戻しておくこと。この様なときにVR角度が読める普通の半固定VRが良い。多回転VRだと現在地が分からなくなるからだ。よく忘れたままSW・onして、保護回路が作動してしまう。 TR2ゲートのスケルトン抵抗が220Ωのため、ゲインが3dBほど落ちることから、ホテルカリフォルニアを聴いたときにバランスが崩れていて違和感がある。ほんの少しのことだが、人の耳もいい加減のようだが、バランスの悪さには敏感なのだ。7枚目基板も220Ωにしてしまうのも良いが、今まで作ってきたNo.192アンプとのバランスもあるから100Ωで統一すべきだ。最近のバッテリーアンプはTR2ゲートに330Ω+VRとしてゲインコントロールをしている。 そうそう、ペア取りした結果だが、半固定VR角度は予想した中間ではなく、10時の角度となった。7枚目基板と比べると、安定度は高いといえる。SW・on時-50mVのオフセット電圧から始まり1分以内で、±10mVに収まる。ペア取りで粘った成果だ。Ioも180mAあたりから徐々に増え200mAで落ち着く。 Io=200mAとしたので、2枚の基板あわせて400mA喰っているが、1Aの電源トランスで何とか持ちこたえているものの出てくる音は、バランスの悪さも足を引っ張り、力強さに欠けるように感じる。 9枚目基板もこのケースに入る予定だが、この基板は、前述の2,000円弱のパーツ代で納めようと思っている。ドライバーの石に何を使うか、出来れば25円程度の石が望みである。この時は各基板のIo=100mAとして、あわせて300mAで行けるだろう。 7と8枚目基板のアンバランスが気になり、古い基板からスケルトン抵抗100Ωを外し取り替えた。同じ、ホテルカリフォルニアを聴いたが、完璧な音楽に戻っていた。この差は大きいものがあり、今まで故意に体験すべくもないが、今回あらためて驚いた次第である。 8枚目基板完成 ステップ型位相補正はオレンジ色の560pF APSが見える そのうちに調整しSEに換えよう 2010.11.15 |
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No.192-9枚目基板 | 9枚目基板、保護回路検出部基板と3WayCHフィルターを同時進行で製作することになる。7.8枚目基板を搭載したパワーアンプは、快調にBose301を駆動している。これにもう一枚基板を追加して、CHフィルター内臓でも良いのだが、拡張性を考えて外付けの3WayCHフィルターを製作する。SEコンデンサーは、5100pF、1500pFがパーツBOXに数個あるから、
5100pF×2が2組と1500pFが2個で1.5KHz・10.6KHzのクロスオーバー周波数のものが出来上がる。片チャンネル分だけで足りるから、新規に購入するにしても半分の金額となりモノーラルは安上がりである。 オーディオDCアンプ製作のすべて(上巻)にある基板式としよう。金田先生の工作室は、リスニングルームの正面のドアの奥にある。4WayのCHフィルターを製作しておられた様子をふと思い出した。固定抵抗方式基板を初めて見たのはそのときだった。金田先生は、頭の中で減衰値を計算し、適当なスケルトン抵抗をハンダ付けし、それをすぐさまアンプに繋いで、音楽を聴き、ジャストフィット・・・と言ったかどうかは定かではないが・・・。 アッテネーターのケースを再利用、下は外したアッテネーター 私もそのマネをしようと抵抗固定式に挑戦するつもりだったが、始めは、VR(10KΩ/B)式で様子を見てからにしよう。半端な数値のスケルトン抵抗の手持ちがないし、VR式で少し聴きこんでから注文だ。アルテック604E(101dB/w/1m)の個々のユニットの能率が分からないこともあるので、カットアンドトライになる。とある情報によると、ウーファーは515系、ホーンは802系(802-8T+511)といわれているが確証なし。 3Wayチャンネルデバイダー基板 基板式3CHフィルターも出来た。こうなると貧弱電源トランスの中途半端なアンプ群でも良いから聴いてみたくなるのが人情。基板7.8枚目登載アンプ(中高域)+No.133FETパワーアンプ(低域)で早速、アルテック604Eを鳴らす。9枚目基板の完成まで待てないのか。 構成は以下のとおり。 低域 元々のウーファー 磁束密度13,000gauss 中域 元々の中高域ホーン 磁束密度15,500gauss 高域 ゴトウSG-16TT(110dB)磁束密度24,000gauss 推奨クロスオーバー周波数5~6kHz アンプのパワーレベルが低域と中高域で異なるから、レベル合わせは音楽を聴きながら行うことになる。はじめは、ウーファーのみを鳴らす。1.5kHz帯までの音には結構な情報が入っている。次に中高域を鳴らすが、中域は-7dB、高域は-6dB位がまとまったシステムとして聴ける。CHフィルターの中域R1=5.6kΩ、R2=4.3kΩで、高域R1=5kΩ、R2=5kΩで良いことになるが、以下の理由から固定抵抗に換えるのは躊躇する。 604-8H愛用者の貴重なレポートがあったが、中高域ATTのVRはR1=6Ω・R2=21Ω程度でいつも使用していたと言うことは、約-2dBということだから、私のシステムと比べると中高域ホーンからの音は相当きついと思う。 現用のNo.154真空管モノーラルプリも例外ではなく、VR最小でもダイナミックな鳴りで7.5畳の部屋そのものを揺るがす。窓をペアガラスに入れ替えた。それでも音は別のところからもれるため夜はいささか近所迷惑が気になるのだが、音楽が気持ち良く聴ける音量はこれくらい必要なのだ、と言いきかせる。 こうなると、低域にはNo.192のオリジナル、反転入力式でゲインコントロールが出来るタイプが欲しくなる。そのゲインに合わせて、中高域はCHフィルターで合わせれば良い。または、CHフィルターの低域にVRを付加する方法もあるが、低域のCHフィルターは出しっぱなしの信号レベルとしておきたい。 だが、反転入力式の音は好まなかった記憶があるから、TR2のゲート抵抗100Ωに1kΩVR(B)で下駄を履かせる方法もある。 従来は、ATTボックスでプリの出力信号を減衰させていたが、スケルトンもDALEの巻線のいずれも音がひどく痩せるから、この方式は好まない。 以前から1.5kHzのクロスオーバー周波数を下げてみたいと考えていた。しかし、15インチのウーファー、小さなマンタレイホーン。双方の妥協からも1.5kHzを選択したアルテックの苦悩が見えるような気がするが、アマチュアは好きに聴ければ良い。604Eの前所有者とのメール交換の中で、その方は1.3kHzまで下げたことがあるとのこと。高域のツイーターは5kHz位から使えるから、中域のカバー帯域を1~5kHzにしてみてはどうだろう。 5100pF×3で1kHz、1500pF×2で5.3kHzとなるから、既存の基板に1個ずつパラに追加すれば良い。 ともあれ、出てきた音にはびっくりした。The Broadway Bits (踊り子)A面1曲目「It's All Right With Me (from "Can-Can") / 私は御満足」のレコードの出だしは、お気に入りで何かあれば聴くことにしている。 その音は、スピーカーから解放されて、随所に今まで気付かなかったシンバルはシャリーン・シーンと優雅に刻み、メロディーラインを引き立てる。すごいパワーでスピーカーをフル駆動し、繊細さも忘れていない棲み合わせがみごとだ。これは、SG-16TTの効果も大きいから、もっと低い帯域から受け持たせてみたい思いを募らせる。 カウント・ベイシーの「.エイプリル・イン・パリ」の怒涛のような音圧のもの凄さは、いままで感じたことはなかった。なんとなく薄っぺらいというイメージで出番が少なかったのだが、今回、パワフルな演奏に引きずり込まれ、曲の終わりにベイシーの「ワンモアワンス」の掛け声が印象的だ。 ネットワーク方式では多くの情報が欠落するのだと、いまさらながら感じた瞬間だった。例のネットワークコイルを見ただけで音の劣化をイメージしてしまう。 N氏宅システムの中高域で活躍していたNo.133FETパワーアンプが不調となり、No.192パワーアンプに換えたときの驚きも記憶に新しい。今回もそれと同様の結果となったのだ。こうなると低域にもNo.192パワーアンプを導入し、統一した音にしたいところだが貧弱電源トランスの件もあり、どうしたものか。 先日、札幌の梅沢無線で電源トランスを探したが、2回路のものがあまり無く、あっても容量不足、電圧違いで購入は断念。それにしても3~6千円はかかりそうだから、はじめから専用トランスに13千円を投じたほうが良いようだ。 9枚目基板、保護回路検出部基板がようやく完成。 9枚目基板は、例によって2SC960、V2A104、コパル半固定VR50Ωを載せた。当初2,000円弱のパーツ代で済ませようと考えていたが、どうせ作るのであればと、欲が出てしまった。反転入力としゲイン調整を出来るようにし、この基板には低域を受け持たすこととする。保護回路検出部基板も1枚で2回路までしか信号を受けられないため1枚追加したが、ここは音には関係ないから、カーボン抵抗を使用したが、ローパスフィルター部は常時、音信号に触れているので良いものを使いたいが、手持ちパーツの関係から写真のとおりだ。なお、ローパスは0.2Hzまでの信号だから神経質になることもないだろう。 9枚目基板、後ろは保護回路検出部基板 ジャンクケースも塗装を施し見やすくそれらしくなったし、中身も詰まってきてアンプらしくなってきた。あと1枚基板を納めるスペースは残っているが、3Wayのモノーラル専用に徹すれば、これ以上詰め込む必要は無い。最後に残るのは電源トランスをもっと良いものにすることだ。 基板プロフィール 低域 9枚目基板 反転方式 Io=200mA 終段2SK2233 中域 8枚目基板 非反転方式 Io=100mA 〃 高域 7枚目基板 〃 Io=100mA 〃 いよいよ9枚目基板に通電する。反転入力方式になっているだけで、少し緊張する時間だ。配線もチェックしたし、パーツもチェックした筈なのに動作しない。すぐに保護回路が作動してしまう。この場合、保護回路に繋がる9枚目基板からの信号を一時カットする。それでも保護回路が作動する。良く見ると8枚目基板へ繋がる+16Vラインが繋がっていない。 Io監視用基板 9枚目基板登載時に図のような基板を追加したときにハンダが載っていなかったのだ。最近は、Ioを常時監視するために、この回路を追加している。赤のラインはロータリーSWを経て300mV程度のメータへ繋がる。この回路も適当な時期に撤去し抵抗を介せずに電源供給することとしている。 それでも9枚目基板には、Ioが流れない。パーツをチェックすると1.3KΩのところに13Ωが載っているではないか。これではIoは流れない。1.3KΩに換えて事なきを得た。7.8枚目基板のIo=100mAに落し、低域用の9枚目基板を200mAとした。これなら1Aの電源トランスでも騙せるだろうとのもくろみだが、「音の余裕はトランスの余裕である」との記事をMJ09.01号に見つけ、分かってはいたのだが愕然とする。 しかし、電源トランスを換えて良い音へのステップアップの序章だと思えば、悪くは無いし貴重な体験だ。まあ、そんな御託は別として、9枚目基板から出てきたオフセット電圧は、またもや期待を裏切るではないか。半固定VR1を右へ回しきっても-15mVで、仕方なくTR2のソース側に先ほど取り外し丁度手元にあった13Ωの抵抗を追加して半固定VR角度は8時方向で±0mVまで追い込める。 相当吟味した2SK246BLペアだったのだが、半固定VR角度は1.3KΩの誤差かもしれない。しかし、SW・on時は10mV前後でそのうち数mVに落ち着くから、7.8枚目基板のようにSW・on時100mVを超えるところから始まるのとは大違いであり、吟味の成果だ。 既述のとおり、熱結合した形でのペアは、DGS・SGDという配置だから、ドレインから電圧をかけて見る電流値と反対のソースからとでは、今回の測定で1.0mA前後の誤差が出た。ドレインとソースに互換性があるのと誤差とは別問題だから、誤差を埋めるためにTR1のDとSの足をクロスする方法を8枚目基板から取っている。 2SK246BL熱結合 2010.12.1 いよいよ、低域に反転入力、中高域に非反転入力の基板をセットして試聴。出てきた音にがっかりだ。このアンプの製作当初にも反転入力を試したことはあり、あまり良い印象はなかったのだが・・・それにも懲りずに何ということだろう。出てきた音は迫力の無いものだった。中高域を相当絞って低域に合わせて聴くことになるが、そうなると全体的にインパクトのないさびしい音になってしまうのだ。プリアンプのゲインを上げても全体の印象は変わらない。他HPでの評価は製作記事どおりの反転入力方式についてのものだと思うが、そうすると随分とさびしい音で聴いていることになるのか。 聴くに耐えず、早速、非反転方式に変えるも配線後の基板修正は倍の手間がかかるが、気を取り直していつもの「It's All Right With Me」に針を乗せる。すべて同じ基板から、統一された音が出てきた瞬間で、躍動感がものすごい。No.133FETパワーアンプを低域に使用したときとは別物なのだ。ウーファーをブリブリと駆動し、駆動される側も気持ちよく追従しているといった感じだ。 非反転入力の基板のIoやオフセット電圧だが、前者は変わり無し、後者はゲインが高くなったためSW・on時100mV程度も出るが、やがて±10mV程度に落ち着く。これは他の2枚の基板と同様の傾向だ。非反転入力方式のゲインが高い証に真空管プリアンプのせいもあるが、ウーファーからのハム音は「皆無」と「やや気になる」位の差がある。今度、半導体プリアンプで試してみたい。 2010.12.3 ウーファーからのハム音はトランスの唸りが伝わっていたのだ。トランスをシールドすることで防げるかどうか試してみよう。半導体プリアンプにしても止まらないということは、それしかないだろう。 プリアンプのミューティングSWをONにしても唸っている。ONにしてもOFFにしても変わらないのもおかしいところだ。もっと素性の良い電源トランスを早急に使いなさいというお告げなのだ。 9枚目基板 反転入力としたが、すぐに非反転方式に変更 ALTEC604E 米国アルテック社製2Wayユニット。インピーダンス16Ω、マグネットは勿論アルニコ。20Hz~22000Hz再生、能率101dB、許容入力35W。ウーファーは515B(105dB)、ドライバーは802D(110dB)相当 2010.12.4 |
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一応完成 | モノーラル専用No.192パワーアンプ 正面 なんともぶ細工な 左側面 7.8枚目基板を配置 右側面 9枚目基板 奥には1A12Vのトランス 背面 下のVRつまみはIo監視用SW 底面 アルミ角材放熱器の様子 2010.12.05 |
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電源対策 | 7~9枚目基板を登載したモノラールパワーアンプ電源 No.192パワーアンプは、シンプルだから作りやすいだけでなく性能もすばらしい。ただし、非反転入力に変更してのことではあるのだが・・・。 さらに、ドライバー段は2SC960にして、SW・on時Ioが異常に多く流れる現象も回避して精神衛生上にも良いと思っている。(ドライバー段が2SK214の場合は、寒さに比例しての電流量となる。以前にこの192で相当流れたのか終段が飛んだことがトラウマとなっている。) 既述の貧弱電源トランスの改善を急いでいるのだが、資金を出さずに手持ちの資源で解消しようという虫の良い話だから、なかなか前に進まないでいた。 忘れていたのだが、SONYの古いパワーアンプを解体したときの戦利品(電源トランス:Made in Korea)を思い出して、電圧を測ると12.1Vと14.3Vの2回路、巻き線も太く、それぞれ2~3A程度はいけそうで、現在、気になっているハムも改善出来そうなシールド帯を装着しており、それなりに良い面構えをしている。14.3Vの方の巻き線が太いから、こちらから+16Vを取り出すため、5AレギュレータLM338T(7Aピーク電流保証)を介してバランスを取り、給電したらどの様な音が飛び出してくるだろう。 12.1Vと14.3Vの2回路の電源トランス 発振さえ気を付ければ、パワーアンプ基板を壊さずに音は出るが、今まで出力段に電圧可変型レギュレータを用いたことは無いから、不安も多少はあるのだ。ただ、この種のレギュレータは、プリアンプ電源(±15V等)には良く使用しており、音への影響は感じられないから、あとはレギュレーションの問題だけだ。 なお、TO-220型の方がキャンタイプに比べ10分の1と廉価なのと手持ちの関係から、LM338Tを選定した。 ADJ抵抗は、200Ωと2.4KΩで+16.5Vを得られる。マイナス側はそのまま整流すれば、同じような電圧になるだろう。しかし、片側だけ電圧可変型レギュレータを用いるというのは今回が初めてだ。どうも、今回のアンプも実験的試みが多いものとなった。 ところで、このLM338のMJ発表回路と基板配線図を見ていると、回路図では入力側に10μFの無極性コンと0.22μFのフイルムコン、出力側に0.1μFのフイルムコンが配置されており、こうしないと発振するとのことだ。 基板の部品配置(寸法からしても)からは0.22と0.1μFが逆のようだ。メーカーの資料では、入出力にそれぞれ0.1μFのセラミックコンと出力側に25μFのアルミ電解コン(本当は、1μFタンタルコンが良い)を推奨している。 今回の製作に当っては、メーカー能書きのとおりとし、LM338T購入時に付属していた0.1μFと47μFアルミ電解コンを取り付けた。同じケース内の配線であり、引き回す距離もわずかなので、何も付加しなくとも発振はしないと思うが、用心には用心を。 さて、LM338Tの単独動作試験をするが、入力電圧がストレートに出てくる?。20Vもかけたところで「パーン」といって何かが飛んだ。電解コンだった。とんでもないことで、±を逆にかけたのだ。こんなとき、デジタルテスターよりアナログの方が良い。 針が逆に振り切って気が付き、短時間なら電解コンも飛んだりしない。2枚目基板で±を逆にした電解コンが生きていて経験済みだ。しかも、LM338Tは生きており、感謝々々。飛んだ電解コンには、思わず「申し訳ない。」と手を合わせた。 いよいよ出力段のプラス側だけを電圧可変型レギュレータ、マイナス側は整流してそのままの電圧によるパワーアンプの音を確認するときがきた。 実は、LM338Tの前にLM350(3A)を試験的に使ってみたのだが、放熱もしっかりしているので過熱の様子も見受けられず、音も劣化しないことを確認しているから、LM338Tなら余裕の動作となる。 なお、1次側AC100Vで2次側AC12.1V端子を通じ出てきたDC電圧は14.3V程度であり、これに合わせてLM338TのADJ抵抗を200Ω+2.08KΩに設定した。 LM338TのADJ抵抗を200Ω+2.08KΩに 2010.12.12 |
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電源トランスのハム | 今回のテーマは、①トランスのハム解消と②出力段へのレギュレータ投入による音への影響だ。 ①トランスのハム 結論:解消されず。なお、2~3Aはあると思われるから、トランスパッケージの熱は減少した。 パワーアンプ単体でハムは発生する。低域用の9枚目基板を7枚目に変更するとウーファーから発するハム音は軽減した。基板の位置と基板の作り方も影響するのか。 当然のことだが、プリアンプは何の悪さもしていないから、ミューティングSWをonにしてもoffにしてもハムの大きさは変わらない。音楽を聴くには何の支障も無いが、静にしていると多少気になる程度で許容範囲だ。(ハム音は「ブーン」ではなく「ジーッ」という音) トランスを2組使用しているため、磁束の干渉などによるところも大と思うが、配置を変えても改善しない。最後は外付けRコアトランスになるだろうが、その前に、現在のトランス、電解コン等を別ケースに引越させて、アンプから遠く離してみる必要がある。 モノーラルアンプの部品配置 ②出力段へのレギュレータ投入による音への影響 結論:音への影響は無し。いつもの「It's All Right With Me」に針を乗せるが、低域もブルンブルと出るし、中高域も申し分なく、レギュレータも見上げたものだと感心する。 なお、このときプリ(No.159プリ部改造)のカップリングコンをV2A0.1μFからSE0.1μFに換えていたため、一層、音に新鮮味が加わった。 2010.12.15 No.192パワーアンプ修正箇所 |
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