No.140 6C33C-B
 真空管DCパワーアンプ

 
基板が焼ける(抵抗が黒焦げ)
      夢クラフト ph7  
20210813 6C33C-B
 これはph7の備忘録
 

上図は1995/12 MJ無線と実験 P.62から引用


ダメージの詳細

Lch基板中央の75Ωがご臨終 ともない半導体はほぼ全滅
ローカルの金田アンプ仲間KAZU宅のアンプ

奥が今回のもの
手前は以前にローカル仲間の焦げた基板
やはり75Ω(白くマーカー)だ 47Fツェナーダイオードは生きているが使用にあたっては半信半疑だ
主要パーツはほぼNG チエックのため外してある スケルトン抵抗は生きていたので再利用している


今回のダメージは2SK30ATMまでがおかしくなっていたことだ 飛び火したものではないと思うが耐圧が50Vだから少し無理がかかってたのかもしれない
K30は各端子間が導通なくなるとかという状態(いわゆる飛んだ)ではなく端子間をどのように計測しても10Ω程度の導通がある
2SJ74はTR4が正常でIdss=11.7mAと計測できた 2SK215 J78は未確認 Kタイプはアナログテスターでゲートを黒棒にしてソースとドレインをあたると一定の抵抗値を示す この逆はJタイプでのチェック法だ

基板製作し直し Lch
早速基板を作った 何とかパーツは手持ちがあった
200ΩバランスVR(黄色○)はケース上面から調整できるように裏につけてある
気になったのはIo調整用のコスモスのVRは前の基板から回さないでそのまま付けたがゼロとなっているのはIoを250mA位に抑えた結果と思う
 2SK30ATMペア Idss 4.3mA
 2SJ74Vペア Idss 16.4mA
 2SK117GR Idss 6.4mA

既存の基板?
Rchの正常な方の基板を見るとK215の熱結合が? 隙間がある
当初からなのか熱により? なんとなく当初からかと・・・これで20年動いていたとのこと 今の処トラブルの兆候はないがこれから何が起こるかわからない


ツェナーダイオードは基板を動かしているうちに曲がったりよじれたり 気の毒也


なんとなく接着ミスのようだ 接着剤を塗布したらクリップで挟まないとこうなるかも

ミスが目立つ
基板が出来て外した配線をもとへ戻す イモハンダ1つ 結線違い1つ 結線忘れ1つ K215付近でショート 急いては事を仕損じる の通りで考えながら立ち止まって さらにチェックが大切
最近は間違いが必ずあるという前提で進めている

もしや! カソードのヒューズが飛んでいた 2021.08.14
しかもLchの上下2本とも これは初めてのこと
これではダメージが大きいはずだ ヒューズは1Aと言われているがIoは少なめの250mAに設定しているのに不思議なことだ 基板のどこかが起因して大電流が流れ2本とも切れたようだ


Lch上側 T1 ほとんど消失


Lch下側 T2
これまで何回もカソードヒューズは飛んだ 都度直したがダメージはパワーアンプにとどまっている スピーカーにまで及ばないのは有り難い なおこのパワーアンプにはDCオフセットを監視してプレート電圧をカットオフする保護回路は付いていない

修復はケースにもよるが
製作するかあるいはそれよりも大変だ 今回も新規に作った基板がどこかでショートしてパーツの半分を取り替えた 0.5Wツェナーは大半 30ATM J74 1.2KΩ2ケとも断線等 更に本命の球2本
球のペア取りがまた難しい 所有球は少しあるので在庫から取り出して使用する
在庫は購入時に電流測定済で129~140mAに分布するから 近いものをペアにするのだが仲々そのとおりには行かない
その場合は現物合わせでバイアス電圧の近いものに入れ替える それでもNGなら別の球で現物合わせとなる


ミスが目立つパート2
良いところまで漕ぎ着けて+150Vとどこかがショート 1枚目基板は放棄だ
しかし20年ほど前には2台のこのパワーアンプを同時進行でノントラブルで組み上げたのに それを思うと寄せる年は・・・無念也と笑うしか無い


1枚目基板は放棄 2枚目を 2021.08.25
どこが壊れたかわからない(探すのが面倒が本音)のでLch基板2枚目を組んだ パーツの足は放熱のため極力長くしてある 47KΩスケルトンが結構熱を持つようだから嵩上げした 当初はどうしたものかすべてのパーツは基板に密着してある?
1枚目の基板からスケルトン抵抗は抜いて2枚目に移動した

使用したデバイスの諸元
 2SK30ATMペア Idss 4.3mA
 2SJ74Vペア Idss 16.7mA
 2SK117GR Idss 7.9mA

半固定は2つとも基板裏に配置し天板上から調整可能にした
 VR1はバランス用だから右左が±入れ替わっても支障ない
 VR2は本来右回りでIo増となるが基板裏に取り付けたので反対に減となるから注意



山は越えた 2021.08.26
修復にまるまる1週間はかかった
左と右のアナログメーターは終段のIo 今は200mAにしてある
デジタルメーターはバイアス電圧
今回終段のIoを天板上から調整できるようにしたのは非常に良かった 斜めに持ち上げて下から50Ωの半固定を回すのは難儀する 一人では大変だ さらにフアンから離すとIoもオフセット電圧も異なった値に調整することになる つまりもとに戻すとフアンの風を受けて調整値がズレるのだ
フアンの位置を少し変えただけでIoもオフセット電圧も変わってくる
今回は少し苦労したが調整が済んで安定して動き出すとほぼ心配はない あとは経年変化でパーツが熱で劣化してトラブルを起こす と思われる




音出し 2021.08.28
その後スピーカーを繋いで音出しをした ホテル・カリフォルニア 凄い低音にここに見えるスピーカーでは無理



以下に内部と通電後10分位のときのIo電流・T1~T4のバイアス電圧



Rch 基板中央の47KΩは結構熱を持つ 基板に密着していたので
浮かして放熱効果を高める 当初どうして密着させたのか?


Lch 今回製作の2枚目 47KΩは浮かせて配置 
新しい47KΩ手持ち無くて古い基板から足をゲタ履きして移植す
すぐ上隣の緑の75Ωフラット電子はニッコームが無くて4倍もするものだ
このプレート抵抗は初めて使用する コストが難だがこのような狭いところに
パーツが乱立?する基板にはうってつけのものだ 
進の抵抗のストックがそろそろなくなる ニッコームも同じ運命か






自分のパワーアンプもメンテナンスしていないからと点検 2021.08.28
電源SWonするとLchがDCオフセット電圧が0.6Vを越えたのだろう 直ぐに電源が落ちた 保護回路が入っていると待った無しなのでこのようなときに困ることもある
仕方ないから適当に半固定VRを回しておいて再度挑戦する うまくいくかな?±200mVとかになればシメたもの・・・ 果たしてうまくいった
IoがLchはプレート電流計測の300mAのメーターを振り切った 調整用の半固定VRはこれ以上回らない
Ioは少なくしたい KAZUの修復パワーアンプを納品してヒヤリングしたがIoは200mAで出てくる音に遜色がないからだ
さて困った KAZUの修復パワーアンプのIoを200mAに設定したので私もその程度にしようとの魂胆 そのため+47Vに繋がる下図の240Ωに半固定VRを20Ω程度の目盛り位置にセットしてみたらVR2の50Ω左に回しきりの0Ωで200mA前後となる Ioを増やしたかったらVR2を少し右へ回すと良いことになる(最終的に追加半固定VR20Ω程度のところは固定抵抗 12Ωに置き換えた)

   


テスターはオフセット電圧 アンメーターはIoで200mA前後 音出しのところに映っているKAZU氏の球は2つ角 下の私のは3つ角(音に変わりはない)

久しぶりに内部を覗いた Io調整半固定VRはシャーシ上面からの調整方法にはしていないから調整時は少し面倒だ 電源用のダイオード(黄色○)は全部出川式にしている
保護回路が右下に配置



これでph7の6C33C-Bパワーアンプの調整は終了
SWon時 オフセット電圧はLchで-170mVからRchは-250mVから始まる
IoはLchで100mAからRchもは100mAから始まる

30分も経過した頃には以下の通りとなる なおRchのIoは260mAくらいだったのでLchに合わせた
Rchのオフセット電圧が高いがこれを0に近づけることはSWon時 オフセット電圧Rchが-350mV位から始まることになるのでバランスの問題だが開始オフセット電圧より安定期オフセット電圧を重視したほうが良い Rchの初段2SK30ATMのペア取りがイマイチだったのかも知れないが取り替えるまでもないだろう
今回再調整したがついこの前までメインのステレオシステムで使っていたときは気にしなかったのだが なおLchのオフセット電圧は意外だった 正常だったはずが負荷のスピーカーを替えるとこうなるのか ということはステレオシステムに戻すと?


今後
の 6C33C-Bパワーアンプ
No.140パワーは今となっては高価で入手難なK215とJ78を使っているから今後の修復は大変となるだろう 球も手持ちが無くなってきた 球はなんとかなるが余分に確保しペア取りでうまく揃うかどうかの心配がある
いずれにしてもこの先は多難だから半導体パワーに移行するしかないだろう そしていまの流行りでない少し昔の電圧伝送にする 私としては沢山製作し音も良いNo.192あたりのパワーで無難に音楽ライフを過ごすのがお勧めだ 

※No.192はメインのステレオシステムの中高音域に使っている
他にモノーラルシステムにも使ったが今はNo.239としている
ローカルのMASA氏の中高音域に貸出中で基板は10枚位製作した


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