'03.06 173 6C33C-B 34W DCパワーアンプ WEの4極管WE418Aハイゲイン差動アンプ搭載



上図はMJ'03.06 No.173より引用

         No.173 6C33C−B ドック入りの顛末1


 当ドック入りした「6C33C−B」の最新バージョンだ。
 とあるきっかけで、故障したこのアンプを診ることになった。
 依頼主には保障はない。が・・・と言ってあるがなんとかしたい。
 作るより時間はかかると思う。
 依頼主と製作者は異なるとのことだ。
 製作者は真空管アンプを得意とするとのこと・・・
 そのはずだ、絡げ配線であるから・・・
 この絡げは、修理のときには時間がかかる。
 その絡げを、ほどくのに時間がかかる。
 依頼の顛末は shindan01_6c33c-B-173.html

 なお、人生は知力「<2」、体力「>8」だ。
 これは、今回の修復にも通じるか。



No.173 6C33C−B ドック入りの顛末AOC AOC基板のDiが飛んでいた。そのせいで保護回路が作動した。のDiは基板から浮かすのが良いだろう。基板そのものが、相当熱くなるからだ。
写真の取り替えたDiはまだ熱結合処理をしていない。
まずは、保護回路が作動しないように保護回路基板Detへの配線を外すことだ。

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 丁寧な配線 製作基板の配線はパーツの足周りを7芯拠り線で丸を作ってある。丁寧、これなら短い配線も修復作業時に配線が取れずに助かる。

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 取替えたパーツ1今のところ取り替えたパーツは少ないが・・・(06.06.24)
AOC部、保護回路制御部等の壊れているDiとTrを少し取り替えた。



No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 左CH基板 カレントミラー、定電流回路(テスターチェックでも異常は、ほぼ無い。)
左CHのA1967のB・C間のテスターチェックで少しおかしな針の振れ方が気になった。新たに基板を作り繋ぐと今までの異常な動作は解消。
右CHはDi間の逆方向テスターチェックで少しの漏れがあった。写真のように新たなDiに取り替えても同様?、新たに基板を作るしか無い。
No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 左CH基板作り直し左が新たに作った基板 1枚目。
半固定VRは、コスモスだが今は入手難。この部分にはこのタイプが回しやすいし、AOCと違いクリチカルな箇所でもないので・・・



No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 チェックの様子 少し整理したが、最盛期?は、ひどい状態になる。


最初に (06.06.28)
 まずは、保護回路が作動しないように保護回路基板Detへの配線を外すことだ。
 こうすると、SP出力端子にDC電圧が600mV程度発生しても、±154Vを遮断することはない。

ところが保護回路制御部が壊れていた
 ±154Vが6C33C−Bにかかっていない。さて、K851でも飛んでいるのか?
簡易法(テスターチェック)で意外に簡単にC3425のE・B間の導通がないことを見つける。これを取り替えてOK。とにかく、電圧がかからないことにはチェックもできない。これで前に進むことができる。

AOC回路は
 依頼主から、プロテクターが働いて調整もできない。とのことだったので、これも先に直すことにする。AOC回路左CHのD2.D3、1588とHZ6C2が揃って飛んでいる? −16V側だ。不思議だ? 定電流回路も同じ構成になっているので、こちらも飛んでいないか、と思ったがOKだった。

カレントミラー回路(テスターチェックでも異常は、ほぼ無いのだが。)
 左CHのA1967のB・C間のテスターチェックで少しおかしな針の振れ方が気になった。新たに基板を作り、繋ぐと今までの異常な動作は解消。

初段作動アンプの調整
 WEWE418Aと整流用真空管をセットして、調整するも球のバランスかとれていない。左右CHともT1のカソードにRk(調整抵抗)2Ωが入れてあった。100Ω半固定に代えても調整不能。T2に100Ω半固定を移動して難なくT1、T2間電圧を0Vに調整可能となる。ただ、この調整によりいつまでも0Vままではいられない。時間とともに変動し、いつのまにか500mV程度になったりしている。あまり気にしないことだ。
 半固定の位置を代えなくとも球を入れ替えるべきとの考えももあるし、記事中にもそのようになっているのだが・・・。
 この球の選別法は、Rkを入れずに910Ωの端子間電圧の近いもの同士をペアとし、値の高いほうをT1へ・・・となっているのだが、下の表のように取り替えるとこの値が変わってしまうので、どうしようかと考えているよりも調整できる良い方法を実行しよう。
 例として@の球はソケットの位置により9.77 13.18 8.07Vと負荷電圧が変動する?

説明 L-T3 L-T4 R-T3 R-T4
418Aにかかる910Ω間電圧
    単位:V
 @〜Cは球の固有No.
@ 9.77 A 13.54 B 8.28 C 8.50
A 10.61 @ 13.18 C 8.39 B 8.50
B 10.31 C 13.11 @ 8.07 A 8.93


テスターが沢山いる
 調整には、テスターが8台ほしい。(Io測定にアンペアーメーターを使えば6台)
 WE418Aのプレートから伸びている100ΩのVRと、AOCの50ΩのVRが相互に関係してくるので、気を入れて調整する。

パーツが底をついた
 
肝心の高圧Trが無くなった。注文しよう。すこしコーヒーブレイクだ。
 修理は、どうしても最小の補修パーツを使いたい。従って、基板を作り直すことはできるだけしたくない。しかし、これが遠回りになってしまう。パーツはすべて足を折り曲げて半田。取り替えるのに一苦労。私は、形のあるものは壊れることを見越して?、からげ配線もパーツの足を曲げることもしない。これで今までひとつの事故もない。


基板を作り替える 2枚目 (06.07.01)
No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 検証基板 抵抗がパーツBOXの底をついた。
右CH用のカレントミラー基板は正常に動作するところまで修復した。左がまだだ。もしかするとカレントミラー基板以外に原因がないか。では、正常動作の右CHの基板を左に移行する。空いた右CHには、検証用の本基板をセットする。正常に動作する。
No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 検証基板は酸化金被を使う 検証用だから、数値があっていれば良い。酸化金属被膜抵抗で組み上げたもの。
抵抗が少し基板から浮いているが、結構熱を受けるため風通しも考慮して浮かせる。隠れて見えないがDiはもっと浮かせる。


No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 チェックにはテスターがたくさんいる 今のところテスターは4台で調整。
No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 本体を支える方法本体が倒れて球を損傷しては大変。
このような時、木の支えが重宝する。

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 AOC基板がおかしいどうしても左CHのAOCがおかしい。案の定、D1のHZ6C2がショートだ。先に1588も飛んでいて、それは取り替えた。その時には?大丈夫だったはずだったが。相当浮かして付けている。
なお、カレントミラー、定電流回路基板中、発熱の大きいD1、D2と熱を与えたくないD4は5mmは浮かしたい。足を長くすることでW数を稼ぐメリットもある。

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 保守用6C33C−B2つ角の6C33C−B ’93年製ロシア

上下ともペア測定済みのものだから、今回のチェックには安心して使える。この球でおかしい動作をするということは、回路のどこかに欠陥があるはずだから・・・。 本体から抜いたときもそこここに置かないことだ。

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 保守用6C33C−B 23つ角の6C33C−B




まずは、保護回路が作動しないように保護回路基板Detへの配線を外すことだ。(06.07.01)
 ・・・と、先に述べた。この回路は、とにかく±154Vが出るようにしたまでだ。保護回路が作動するようにはなっていなかった。
これが作動しないうちは、スピーカーを繋ぐ訳にはいかない。そして、まだまだエージングを施すことと、さらなる課題は熱対策をどうしようかということだ。
 予想を立てよう。不具合のあるのはDC検出部と制御部のどちらか?


制御部だった(06.07.03)
 +154Vは、Det端子をアースに落とすと0V近くになる。これで正常だ。−154Vは、同じことをしても−154Vのままである。−154Vを制御するパーツを全て取り替えてもこの現象は同じだ。
 修理は、どうしても最小の補修パーツ・・・と前述の繰り返しだが、ここはやはり基板ごと作り直すべきだった。この判断が難しいところだ。+部はK851とDi、とTr1つで回復した。とはいっても+制御部パーツはほとんど取り替えた。そして直った。−側には何か分からないものがある。それから当然のことながらICも取り替えたのはいうまでもない。


不足のパーツが届いた (06.07.08)

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 パーツも底をつくスケルトンは一度表皮を剥いて方向を定める。

早速、組み上げる。
No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 スケルトンの処理スケルトンは一度表皮を剥いて方向を定め印を付けておく。

No.173 6C33C−B ドック入りの顛末 制御部基板作り直しNo.173 6C33C−B ドック入りの顛末 制御部基板作り直し2
左の素子はK2554、別のアンプ製作で飛ばしたものだが、足を19本撚線の部分に使う。こんなときに役立つ。
19本撚線を使う部分は短いため、線がバラけるので、K2554等同属なら音には良いだろうとの考えだ。

問題が・・・ (06.07.08)
 制御部基板を組み上げて、いよいよチェックだ。det端子を一瞬アースに落とすと、±154Vがシャットダウンのはずが、+は落ちるが−はそのままだ。このような簡単な基板だから配線間違いはない。全ての電圧をチェックするも正常だ。こうなると原因を掴むのが大変だ。
 
うっかりもある
 −側がシャットダウンしないのは、実は、6C33C−Bを挿入しないままでのレポートのためであり、6C33C−Bを挿入せずに試したい場合には、−側のアウトプット配線をカソードに繋がなければ、きちんと動作する。集中力がなくなっているな。さて、いよいよ6C33C−Bを挿入し2分待つことにする。

6C33C−Bを挿入し2分待つ
 いままでの成果が分かるときだ。2分たつと、ブーンといって6C33C−Bに火が入る。左右のスピーカー端子・左右のプレート側に入れたアンペアメーター・左右の±154Vにそれぞれセットしてあるメーターを一瞬に読む。アナログもあればデジタルもある。スピーカー端子に600mVものオフセット電圧が出れば、保護回路が動作し前に進めない。そのために+側に出るか−マイナスかによってAOCのVRを左右どちらに回すかを判断しなければならない。一瞬だから・・・大変かも知れない。
 とにかく、50〜100mVの規定内の電圧である。Ioは100mA程度だからすこし待つと250mAまであがる。det端子を一瞬アースに落とすと、±154Vがシャットダウンする。すべて、順調だ。音を聴いて見たい衝動を抑えて、まだチェックのしていないDC検出部を診る。入力端子に1.5Vを繋ぐ。

今度は、DC検出部
 DC検出部が動作しない。これでは、保護回路ではない。トラブルもこれで最後にしてほしい。(06.07.09am)
 (これは、笑い話だ! 基板に申し訳ない。いろいろな過程で入力端子には、ショートプラグを入れておくのが常道だ。このままで1.5Vの乾電池を繋いでもどうなるものでもない。相当、集中力が落ちたということだ。こういうときは、コーヒーブレィクに限る。06.07.09pm)
 (これは勘違いで、DC検出部のL・RchOutと0Vラインに乾電池を繋ぐ。)

今回のトラブルシューティング
 事の始まりは、右チャンネルからキーンという高周波発振がでて・・・とのこと。プリアンプも疑う必要がある。音は痩せるが、一度、アッテネーターのみで聴いてみることを薦める。音が痩せるとはいってもおかしなラインアンプよりは良い場合が多い。
 まずは、6C33C−Bを抜いて、WE418A周りをチェックするのが良い。プレート電圧バランスはテスターがあれば可能。ドック入りしてからもバランスは動いている。安定するまで様子見をすべきかとも思い、そのような訳でRk調整半固定VRは、当分の間、付けたままにしておく。
 6C33C−Bを挿入してのチェックは、100KΩ間(グリッド・カソード間)の電圧を見るが、選別球のようなのでそれぞれバラバラということはなく、−50V前後のはずだ。一度、100Ωの半固定VRをセットするとそうそう回すことはないので、単に100KΩ間(グリッド・カソード間)電圧だけでは調整は無理。きちんと、電流計を見て300mA前後にセットすることが肝要。私の場合は、アイソレーショントランスを介して100Vを利用しているので、ここの電流が多くなるとトランスが唸るのですぐに分かる。ここに電流を喰われるとAC電球が少し暗くなるとか何か兆候があるので・・・しかし、そのように沢山の電流を喰らうと球が大変なことになる。
 AOCの50Ωの半固定VRも、あまり狂うことはないので、動かさないことだ。ズレてくると保護回路が働いて音が出なくなるので分かることがある。・・・という程度の気持ちで私は使っているし、たまにはそのとおりの現象が起こる。なお、AOCのズレなのかWE418Aのズレなのか判断が必要だが、K170も選別されたものだと思うので、WE418Aのズレと見る。Rk調整半固定VRで追うべきだろう。
 今後の試用で、「キーン」という高周波発振が出るかどうかが見ものだ。 (私は、出ないと思う)
 いずれにしても、金田アンプを製作し、修理の経験の無い場合は、簡単に半固定VRを回さないことだ。そのためか?、半固定VRはマニュアルとは異なった方法で基板に取り付けてある。本来はサポーターで基板から浮かす。

テスト用SP、ボーズ301で音楽を聴いてみる (06.07.09)
 ソースはCD、カラヤン指揮新世界、自作アッテネーターBOX(DALE巻線抵抗
 分厚くしっかりとした、6C33C−Bの音だ。ソースがCDのせいか、あまりにも瑞々しい感じを受けた。
 そのときの100KΩ間(グリッド・カソード間)の電圧は下表のとおり。なお、この配置は製作当初のものと思われる球に印字のNo.順のものだ。

No.173 6C33C−B パワーアンプ とアッテネータBoxNo.173 6C33C−B パワーアンプ とアッテネータBox自作アッテネーターBOX(DALE巻線抵抗)

100KΩ間(グリッド・カソード間)の電圧

左から T1 T2 T3 T4
電圧 −51V −48V −51V −47V

Io=250mA

 上記データから、T1とT3、T2とT4の球の組み合わせが良い。(06.07.10)
そのようにした。左から51、51、56、54Vと変わった。(時間経過も影響するので、一定の値を引きずらない。)
 また、取り替えた後のIoは、R側の組み合わせにおいて、グーンと大きくなった。少し半固定VRを戻す。つまり、不用意に球を取替えたままにしておくことは、その球にいくらのIoが流れているのか分からないということだ。球を換えたらIoを計りなおすということが最低必要なのだ。さもなくば、赤熱した球を見て驚くことに・・・。

 その後、右CHのカレントミラー、仮の定電流回路基板を元のオリジナル基板にパーツを組み替えてセットした。どうだろう、WE418Aのプレート間電圧が1Vを超えた。半固定VRを左いっぱいに戻すと350mV程度に落ち着く。0VにするにはWE418AのT1側へ半固定VRを移す必要がある。回路基板を組み替えてもこのような変動が出てくる。変動の要素は1つや2つではないということだ。
 100KΩ間(グリッド・カソード間)の電圧も当てになるようでならない。Ioを多く流すほど、この電圧は下がる。
 ちなみに、再度計測するが、時間とともに変動する。なぜならば、AC電圧そのものが変動するからだ。
 100Ωの半固定VRを本来のようにサポーターで基板から浮かした。ドック入り中だからこそ、手軽にスイスイと半固定VRを回したい。
 AOCの方は、自動追尾だから一度適正値にすると、よほどのことが無い限りあとはそのままで良いから、基板に吸い付いたままだ。
 (06.07.10 pm9:00)

100KΩ間(グリッド・カソード間)の電圧

左から T1 T3 T2 T4 Data
電圧 −52V −54V −48V −49V 18.07.10
 〃 −52V −54V −47V −47V 18.07.11
 良いところで落ち着いてきた感じである。

Io=250mA


No.173 6C33C−B パワーアンプ カレントミラーVR角度No.173 6C33C−B パワーアンプ AOC VR角度
左は、サポータで嵩上げした。調整がし易く確実だ。 右は、基板に張り付いているので、非常に回しづらい。急ぐときには間に合わない。
Io=250mAで半固定VRは約50Ω程度の位置でであり、左右ともバランスよく同じ程度だ。


6C33C−BのIo
 上の写真左のTM7Pの角度が1時くらいだが、これを12時に戻すと50mA程度、Ioが減少する。つまり、ここの半固定VRは、角度1時前後で、Io=250mA前後が確保できるということだ。
 私はIo=250mA前後に固執するのは、別項(ページ)でも触れているので省略する。電源SWを入れ、±154Vが印加されると当初はIo=100mA程度だ。数分で300mA前後、落ち着くと250mA、200mA、250mAと動くが、AC電圧の変動にも比例するからだ。商用電源もそれぞれの家庭で質も圧も違うので、中庸的に250mAにして置くということでもある。
 
「この種のバルブは、Ipの増減で音質が変化しますので、最終的な値は、ヒヤリングによって決定します。私のアルテックでは220〜230mA位が良いようでした。」MJ94.06 松並希活氏 p.126より引用。

WE418AのバランスとAOC
 T1、T2間のプレート電圧をチェックする。
 
左CHでズレていたのでT2側のRk半固定VRを右側回した。AOCで追いきれずにオフセット電圧が+に50mV発生し、そのままである。AOCの調整半固定VRを左に回してオフセット電圧を0にした。
 
右CHは、T1T2のどちら側に入れても左側へいっぱいに回したところだ。つまり最小の抵抗値となる。それでも300mV程度は電圧差がある。ここは、抵抗Rkを不要とするということだ。ということで、Rkなしでのデータは、SWonから30秒でWE418Aが作動状態になる。そのときは1V近い電圧差が数分で50mV以内に落ち着く。左CHはRkを入れたままだが、当初から50mV以内で推移する。こんなにも球の特質が違うものか。


後は熱対策だと思う
 初段も球だから、結構な熱だ。私が製作したようなhttp://www.geocities.co.jp/Technopolis-Mars/6504/dc_amp/ac_fan.htmを参考にするのが良いだろう。この場合、ファンの風が当たっている状態で、AOCを調整する必要があると思う。No.140は初段がFETでAOC回路が無いため、ファンの位置が少しズレてもオフセット電圧が動く。本アンプはそれとは、趣を異にするとは思うが、AOCがどこまで追尾するか見ものだ。


最終的な取替えパーツや検証用に製作した基板と本体から外した基板、達
No.173 6C33C−B パワーアンプ 修復したパーツ


最近、毎日ヒヤリング
 暑くて、熱くて、球のアンプは夏には不向きだ。物足りないがヒヤリングは1回に30分程度にしている。スピーカーを繋いで分かったのだが、ヒューん・・・というマイクロフォニック・ノイズが目立つのである。WE418Aの方から聞こえてくる。試しに、WE418Aに触れてみると、ヒューん・・・。特に左から4番目がひどい。次に3番目となる。何か4.3.2.1の順の感じがする。これが溜まりに溜まって発振?。あるだろう。
 依頼主も今と同じWE418Aの配列で聴いていたとすると、発振は右CHからだというのと符合する。マイクロフォニック・ノイズを防ぐには、余計な振動を避ける。シールドするということである。しかし、この球の場合、製作時のバラつき上のものであると思う。気になるようなら、別の球を見つけることだと思う。
No.173 6C33C−B パワーアンプ 418A黒Verこのタイプが2本、下の中が見えるタイプが4本、本アンプには付いていたが、当然4本揃った容姿のものを使う。
No.173 6C33C−B パワーアンプ 418A WE418A data

Bachが好きだ
 ヨーヨー・マの組曲2番 ニ短調 プレリュード(sony CD BWV1008)が一番だ。アッテネーターボックスにはスルーSWも付いている。スルーにすると俄然生々しくなるのだが、レコードほどの生々しさに欠ける。
 チェロの本当に唸るような低音が、よくもボーズ301のスピーカーから出るものだと思う。今度、No.140と聴き比べをしようではないか。息遣いや弦遣いがヒューッツ、ヒュと生々しい。AOC制御も快調だ。
 さて、WE418Aのプレート間電圧が右CHでは、追いきれずRkをT1側へ移行するときがきた。左CHはT2側で追いきれるし丁度良い。
(06.07.11)


とにかく何回も
 毎日、各所の電圧・電流をチェックすべし。その合間に、好きなソースを聴く。終わりはどうせ電源SWを切るのだから、それならと1.5V乾電池でシャットダウンのテストもする。これを1週間以上かけてみる。
 スピーカーを繋いでアンプの電源SWを入れ、30秒を経過するころに、プウーンと微かにスピーカーから唸る音がする。WE418Aにプレート電圧が完全にかかったころなのだろう。


 熱対策   (06.07.13)

No.173 6C33C−B パワーアンプとフアン当家で使用のファンBOXを試用してみる。

No.173 6C33C−B パワーアンプ myAmpと比較  No.173 6C33C−B パワーアンプ myAmpと並べて
やはり、効果は絶大。TR2とTR5に放熱器を付けているも相当の熱さになる。それをマウントしている基板も同様だったのが、
気にならない程度だ。ケースも相当な温度になるものが、気にならない。
ぜひ、一家に1台。


音の比較レポートは
 No.173〜端正 繊細 クラシック向き WE418Aの増幅率の高く広域特性の良さが立ち上がりの良い魅力的な音だ。
 No.140〜ブーミー 骨太 ジャズ向き
という印象だ。初段がWE418Aと2SK30ATMの違いだが、球の音色傾向がはっきりと出たといえる。


6C33C−Bの内部ヒューズ切れ
No.173 6C33C−B パワーアンプ 球ヒューズ切れ
○のピンクと白が繋がっていたものが、大電流でピンク部のようにヒューズが切れ、青のように折れ曲がった。
この球は、丈夫なこと天下一品、ただし、このように内部ヒューズが切れると、眺めているだけの真空管となる。
ソケットに入れて、玄関の飾りに使える。どれほどのIoで切れるかは定かでないが1A以上と思う。


熱対策 ファンwoodBOX (06.07.16) 一応、正面パネル面は檜材だ。
No.173 6C33C−B パワーアンプ フアンNo.173 6C33C−B パワーアンプ トライアックNo.173 6C33C−B パワーアンプ フアン用ゴムブッシュ
ACファンは音が静かで良い。AC50V位が音とファン力の兼ね合いが良い。ACコントローラーはスムーズに可変できる。ファンを浮かして取り付けるため、ゴムブッシュを瞬間接着剤で4隅に貼り付けた。(右写真)

トライアック万能調光器(20Aタイプ)  ACコントローラーに使用
 白熱灯などのAC100V機器の電力をボリューム1個で0%から100%まで無段階コントロール
 交流モータなどもOK(周波数制御の機器は不可)
 二重ヒステリシス防止回路で非常にスムーズ


使用している球達
BENDIX 6754、 WE412A、 WE418Aと並べてみる。BENDIX 6754は空気抜きの処理が雑だが、セラミック板で電極を固定した精巧なしっかりとした作りだ。重さはBENDIX 6754の方が、重たい。値段は5分の1か?

No.173 6C33C−B パワーアンプ の球達


修復完了 (06.07.16)
No.173 6C33C−B パワーアンプ 修復完了
熱対策 ファンwoodBOXに載ったNo.173 6C33C-B 34W DCパワーアンプ  
なお、前述の30秒を経過するころに、プウーンと微かに右CHのスピーカーから唸る音がする。WE418Aにプレート電圧が完全にかかったことによるもの・・・については、そのままで解消しない。これは、WE418AのバランスとAOC項で触れたが、5分もかかってWE418Aのバランスが落ち着くことに起因している。もっとバランスのとれた球を使う以外にない。
 
 マイクロフォニック・ノイズは、変わった。一番出るのが左から1番目、次が4番目となったが、球を小さく爪先でチョンとするとスピーカーから反響音がする。調整時は、アンプを縦にしていたから、内部の間隔のズレで生じたものである。調整も留意する必要があるということだ。今回と関係ないがWE421は斜めや逆さまでの調整はしないほうが良い。
 今日も、AOCは快適に作動している。Ioは、多少変動するため今日も微調整。1時間ほど試聴するが、熱対策をしているので安心だ。
熱対策を、より効果的にするにはサイドパネルの6C33C−B球の位置に20ミリ程度の穴をあける。また、底板にも6C33C−B用の大穴をあけるのだが、今回は、WE418Aも結構な温度になるため、底板をしないことにする。そのためのファンwoodBOXなのだから・・・。

球は、熱くなるのが当然との考えもあるだろうが、ガラス表面を冷やすことにより寿命が倍になると言われれば、ほってはおけない。私は、球の傍でDC小型ファンを回している。

その後 (06.07.19)
 ACファンは音が静かで良いのだが、音楽のないときにボールベアリングのゴロゴロが気になった。左から3・4番目がだめである。取り替えよう。
 WE418AのバランスとAOCが気になって、右CHのスピーカーから唸る音も気になって、T3,T4を入れ替えた。T3,T4のプレート間電圧は、400mV程度でSWon後あまり時間も経過していないのに良好な値になっていた。ここまできて、T1,T2も巻き添えにしたくない。また、調整を取り直すことになるからだ。左から@ACBの順にした。6C33C−Bとタイマーを抜いて、SWを入れ30秒待つとスピーカ端子に繋いだテスター(DC100mVレンジ)の目盛りが左右とも10mVほど振れる。これなら唸りもでないだろう、こんな簡単に解消できるとはと・・・すべて元に戻し、ボーズ301のテストスピーカーも繋ぎSWを入れた。思ったとおり唸りは消えた。2分後、期待とは裏腹に右CHで500mVもDC電圧が出た。保護回路が作動するギリギリのところだ。Ioは、今までと変わらない。心の準備なしのケースでは、反射的にSWを切る。スピーカーをダミー抵抗に換えて、SWon。2分後、やはり右CHからDC発生。AOCの50オーム半固定VRを左に回した1回転も回してようやく0(ゼロ)になる。
 このように、WE418Aのバランスが取れているはずの右CHの球を入れ替えただけでこの現象だ。うかつに球を入れ替えるのは、色々な調整労力を皆無にしてしまうのだ。しかし、入れ替えただけで唸りが消えた。これからも消え続けてくれるとように・・・。
(昨日はUSB機器にWindowsXPをインストールし、USB機器を持ち歩きどこのPCでも自分の環境で作業できるように・・・との終日。)


■使用にあたっての留意点
6C33C−Bは突然ヒューズ切れがある
 いつの間にか音が出なくなるので分かるときと、バチンと音を出して切れるときもある。今までのケース(金田明彦先生、M氏、K氏)では、スピーカーに損傷は無かった。Ioが異常に流れたに起因するしか考えられない。そのためにも私は少し少なめにアイドリング電流を設定する。私のアンプの球切れは皆無だ。
ACファンの効果は
 WE418AとWE412のガラス表面を触ると、その温度の差で分かる。ファンが無いときは、双方とも同じくらいの温度と思う。
電源OFFにして、再びONにするときは
 十分に球を冷却してから行うこと。
プリの電源はパワーより先に入れる(常識)真空管プリは特に注意。 切るときはパワーが先。
ファンBOXの電源は先に入れて、切るときは後から
 アンプが稼動中に切るとスピーカーからバチーンと大きな音がする。厳守。
神経質な方は
 スピーカー端子に@500mVレンジでアナログテスターを繋ぎ、Ioを監視するため、A5〜10Vレンジで+154Vとプレート間に入れた10オーム間の電圧を見ることだ。@のメーターは音楽とともに±50mVの範囲程度に針が振れる。ティンパニー等の打楽器には激しく反応する。Aはテスターの目盛り2.5Vで250mA。抵抗を1Ωにすると250mVにあわせる。現在調整中の本機はこのように監視している。
6SN7GTフラットアンプ
 6C33C−Bアンプには6SN7GTを使用したフラットアンプを前置しているという。発振の原因はそちらも疑った方が良い。金田アンプ以外では何も起らなくとも、金田アンプでは・・・ということはあり得る。当方での試聴では発振は起こらない。CDプレィヤーアッテネーターB0X本機となっている。一度、依頼主もこの構成で試してはどうか。発振したとして、球を入れ替えては先述のとおりとなる。WE418Aに原因はないと思う。あと、考えられるのは、WE418Aの入力の手前に150Ωのスケルトンが入っているが、入力ショート時の球の不安定動作防止用だが、ここを変更する。(記事では入力ショート時の云々ではなく、発振防止用となっている。2014.10.07-173ドック入りPartUに関連して注記する。)


完成が遅れている
ACファンのゴロゴロ解消のため、モーター手配中、完成にはあと2から3日かかる。(06.07.20)
OAFAN 12cm角札幌の梅澤無線にあった。迅速。(06.07.21)
やはり、12cm角は威力がある。2つで十分というか、4つは入らない。ファンは輸送の場合仮に木ねじで2箇所止めてあるが、実際の使用にあたっては、取り外してファン位置を変えてケースに振動の伝わらないようにする。コントロールVRは1時の位置で良い。


No.173 6C33C−B パワーアンプ フアンU上の小型ファンは50Vでベスト、下は60Vがベストのため、ブリーダ抵抗220Ωで10Vほど電圧を落としている。上はWE412用、下で6C33C−BとWE418Aを冷却する。アンプの底板は取ったほうが効果は高い。下の隅に見える配置を縦横と変えてあるのは、底板を取り付けて使用する場合のフロントのゴム足の受けだ。(06.07.22)

6C33C−B下部WE318A上から



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2006.06.24 初版
2006.07.01 8割方補修は済んだと思っているが・・・
2006.07.03 制御部・・・に何かがいた
2006.07.09 概ね修復が終わり、CDを聴いてみた。
2006.07.16 熱対策完了
2006.07.20 微調整、とうとう1ヶ月
2006.07.22 完了