07.04  No.192  オールFETプリメインアンプのメイン部 非反転方式
このアンプは、実験的なところから始まったのだ メインシステムの大切なパートを任されつつある。
 パーツも相当ランクを落とした製作となっているが、パーツを厳選して比較するのも楽しい。
このパワーアンプは作りやすさと音の点からもお勧めだと思う。
1枚目の基板は試作
    


とりあえずは結局手間か?


No.192オールFETプリメインアンプ  パワーアンプ製作記


 スピーカーのマルチ駆動用として中高域を賄うアンプ2組を何にしようかと思案してしばらくが過ぎている。現用はNo.139の変形だ。新冠町製作会で公開された、超シンプル完全対称DCパワーアンプ(2N3055)3CHフィルター内臓タイプであり、バッテリドライブであることは、別掲でも紹介している。
 パワーは要らないのは、現用アンプを見ても分かるから、なるべくシンプルで扱いやすく斬新なものという目標で記事を探した。No.192はそのような内容となっており、反転入力のためVRをゼロまで絞れる。パーツも少なく電源も低く、終段も放熱器不要である。
シンプルであるということは、試作するにも躊躇無く取り掛かることができる。まずは、どのような音が出るのかが心配である。
 2SK2554は、No.159でも音の確かさは実感済だから大丈夫とは思うものの実際に音楽を聴くまでは妥協できない。

             

 「とりあえず」という姿勢は後々、手間も費用も嵩むことは真空管の安物を使うことでも紹介したのでお気づきの方もいると思うが、今回もどうやら同じ轍を踏みそうだ。分かっていても駄目なのは性格のせいか?品行は直せるが品性(性格)は直らない。
 パーツはすべて手持ちがあるが、試作だからとにかく安くしようとする。
 果たして、基板は継ぎはぎとなった。


(横に線が見えるが細長い基板をボンドで繋いだもの)

 半固定VRも規格外、NFBのVRは50KΩ、ケースは安物のアルミケース、電源は汎用トランス2個。さらに、以前に製作した折、動作に納得できないパーツも数多くストックしており、今回はこれらのチェックも兼ねたものとなり、2SC1775Aのところも少し怪しい2SD756を使った。
 ステップ型位相補正回路510pFのSEコンデンサーは、手持ちのスチロールコンデンサーとした。 容量値計測を参照



 とりあえず片CHは、すぐに出来、これでモノ―ラルシステムを鳴らそうと考えた。電源を入れるときは、このような試作品でも緊張する。まずは、配線ミスはないか、それよりも先にミスプリントはないのか。パターン図にミスプリントはなかった。安心して電源を入れ、アイドリング電流を200mAに設定、しばらくして再度アイドリングを確認、170mAに落ちているので再設定、SWオン時は350mA位から落ちていき安定する。
 2SK246BLは、安くて良い石でペア取りも多く出来、オフセット電圧も気持ち良いほどに安定している。ただ、最近影をひそめた2SK30ATMの音の良さも捨てがたいものがあり、比較する楽しみも出てくる。

         

 ヨーゼフ・シゲテイのバッハ無伴奏ヴァイオリンソナタのモノレコードをアルテック604E+DENON DL-102+No.154真空管プリで聴いたが、NFBの50KΩのVRではゲインが不足する。最大にしても、通常の5割ほども音量が出ない。100KΩA(2連)VRは手持ちがないので、100KΩA(単一)をパーツBOXから拾い上げ、取り替えることにする。2連VRもバランスが合っていないものがあるから、価格の安い(約6分の1)単一VRで左右別々に音量バランスを取ることが良いかも知れない。そうなるとNFBのVRが4個並ぶことになる。(現用TRアンプもそのようにしているから支障も違和感もないのだが・・・。)
 100KΩA(単一)VRに取り替えて見るが、No.130FETパワーアンプと比較するもパワーの違いからなのかVRを最大にしてもおとなしく音量も不足する。No.159FETパワーアンプと比較するもNo.159はさすがにパワフルであり、これと比較するとNo.192は音楽に躍動感が不足し楽しめない。考えてみるとVRをゼロまで絞れることは、今まで慣れ親しんだ金田アンプには無い機能だが、一定の大きさの音から始まることは、真に音楽を聴く場合は必要なことである。これより小さな音ならBGMとしてラジカセで聴けば良いのだから・・・。
 スパッと切れの良い音は、139 超シンプル完全対称DCパワーアンプの傾向は似ている。

スタディ・イン・ブラウン
 クリフォード・ブラウンのこのレコードもアンプの比較に良く使うが、非反転アンプの音はシンバルのシーン・ヂーンと出るところも余すところなく伝える。本当にNo.139に似ている。両方とも回路がシンプルなのでレコードの良さを表現できるのだろう。

 では、非反転アンプに改造するとどうなるのか。例によってTR1のゲートは820KΩニッコームをプルダウン追加、こちらを入力とする。



 (少し赤いニッコーム抵抗は急遽追加した入力用に変更した820KΩ)

 TR2のゲートに1K100Ωスケルトンをプルダウンし3.9KΩスケルトンを介して出力にプルアップで、まったく別物の音楽を奏でる。アイドリング電流はほぼ変わらない。オフセット電圧も電源投入時は100mV位を表示し、すぐに10mV以内に安定する。調整時は、ジャンクの裸スピーカーを使うことにしている。
 SWオン時に発するポップ音は「ポッ」とスピーカーから発する程度で気にならない(本当は気にしている)。
 電圧増幅段の作動アンプを先に暖めておくことで解消されそうである(試したが解消不可、どうもオフセット電圧が影響しているようだ)。

    (スピーカ端子の半田もシンプル)

 このように、どうも自分には反転アンプは合わないような気がする。日頃聴き慣れている非反転アンプの朗々とした音楽が似合いだと思う。
 果たして、No.192パワー部が求めるものと合致したのだから、同じアンプをあと3台(枚)作ることで納得する。これで1週間はシャック(無線用語:無線室)に缶詰と成るのだ。ただ、ケースを今のままとする訳にはいかない。穴あけが大変だと思う、年齢を感じる。

2009.02.01


電源も間に合わせ


 ここで紹介する電源は、取り敢えず型なのだが、トラブルは一切ない。アンプの設計が良い証拠。

           
 1号電源、手前は5Aのトランス 後ろは1A ±16V、±25Vを確保




 間に合わせ第2号電源
 トランスは5Aと1Aで±13V、±27Vとなっているが、これでも問題なく?動作している。
 きっと電源容量は不足しているだろう。基板1枚の終段のみでピーク時は300mAを軽く超える。特に低音のバスドラ、ベースが喰う。しかし、用途は中高域用に限定しているから助かっている。

電源徒然

 電源1号で、Io=150mAに合わせても電源2号では、Io=120mAに低下する。まだ、実験の域を超えていないから、状況変化における終段の電流監視をしたいのだが、4つのアンペア計を並べるのも芸が無い。抵抗を介して電圧を読み監視する方法が簡単であり、ロータリーSWで切り替えるようにすると4枚のアンプの終段を監視できる。ちょうど250mVmaxのテスターが余っている。
 10Ωの抵抗を介して計測する方法は良く紹介されているが、パワーアンプでは好ましくないし、最近はそういった記事は見受けない。電圧降下が多いだけに後から抵抗を外したときにより多く電流が流れることになる。
 今回のアンプでも終段に150mA流すから、10Ωでは1.5Vの電圧降下になり150mA225mWとなる。1Ωとして150mVの電圧降下なら影響はないから音に影響さえなければ、常時監視することができる。以前に0.1Ωを使っていたが、15mVを正確に読むには手持ちのテスターでは無理があり、福島双羽MPC74の1Ωを4つまとめてボンド付けとし、逆さまにして底板に両面テープで貼り付けると良いと思う。
 電源(フィルターコンデンサー、ブリッジDi)による音の差異は明確には確認できない。初段の定電流回路には2SC1775Aが最適であり、これを超えるものは無いとされているが、私には判別が難しいし、であれば回路はすべてこれにすべきと思うが、FETも時折顔を出すから良く分からなくなる。
 Trパワーアンプは切れ味は良いと感じる。一方、オールFETパワーアンプは、程よい切れ味と深みが伴うのは、素子の違いからくるものなのか。6C33C-B真空管パワーアンプからして、終段素子によるところが大きいと思う。次に初段では無いだろうか。プリアンプはこれの逆であろう。
 人間とは、味覚も聴覚もその時の調子で変わるし、慣れによる麻痺もあるから全く同じ状態で臨めているかというと難しいだろう。さらに、やっかいな経験則というものがあるし、そのものに換えたしまさしくそれを使っているという絶対的な安心感・期待感がある。
 私は、あまり過度な期待はせずに動作した喜びを大切にしたいし、素人の私に良く出来たものだという感心と誉め言葉が先に立つのである。人間の歪み検知限は敏感な人でも1% 程度といわれており、違いがあるという主観的報告は心理効果だとの報告もある。
 何でもそうだと思うが、あるレベルまではなんとか到達するが、それ以上はなかなか超えられないという壁がある筈だ。その壁を超えているのが金田アンプであり、超えた壁の先は遅々として進めない暗闇だ。そこにあって、定電流回路のパーツの議論をしているのだろうと思う。私に分かる筈も無い。
 また蛇足だが、多くの伝達ロスを存在させておいて、それを払拭して音が良くなったとするやりかたを、音質の向上が図れたと表現しているが、これは向上ではなく障害を取り除き正常に近づいたというのが正しくマイナスからゼロに近づくことで決してゼロを超えることはできない。ゼロは可能性であり無限大である。いかに多くの障害により紆余曲折した音楽を聴いているのか驚くばかりである。多機能=多障害で、何でも出来る=何もしない.だから、いかにシンプルに回路設計をするかということだろう。---世の中、普通(あたりまえ)が如何に大切なのか.つい忘れがちなのである。---
電源プロフィール     
 
区分 16V用 25V用
トランス コンデンサー ダイオード DC トランス コンデンサー ダイオード DC
電源1号 AC12V5A ニチコン
10000μF 50V
ニチコン
12000μF 63V
DP3508 16V AC17.5V1A エレナ
4700μF 50V
31DF2 25V
電源2号 AC8V5A  入力90V ニチコン
22000μF 16V
GBPC2502 13V AC20V1A  入力110V ニチコン
4700μF 35V
31DF2 26.5V
 
※電源1号の16Vは容量不足気味だが、なんとか動作している。SPからハム音を発している。ニチコン12000μF63Vを追加してリップルが取れた。
 電源2号は適当なタップが無いため、AC入力タップで調整した。
 トランス出力はすべて中間タップ式
やはりケースはしっかりとしたものが  
 No.128オールFETプリメインアンプに使用していたケースは32×43×4.2cmと結構大きい。厚さが不足だが、今回の仮のケースから移転できそうである。1セット分の基板を配置してみて分かったが、底板に並べて配置できるので、2SK2554の配線は半分の長さがあれば良いことになる。
 いよいよあと3枚のパワーアンプ基板を作ることになる。保護回路は不要に思うが、最近はどのアンプにも付けている。以前に作ったものがあるので今回は、それを使うこととする。
 スピーカー端子は省略し、直付けとする。

 

平面配置で配線も短縮
 
アルミケースのサイドに取り付けたものを平面的に配置すると相当のケーブルカットが必要だ。

2009.02.08

2枚目基板     

 2枚目の基板が下のものでケミコンのみが指定外部品だ。(写真では+側のケミコンは極性が逆、撮影後修正)

 進の抵抗で統一すると、まとまりが良い。入力の820KΩはニッコームしかなく色が少し赤い。非反転入力に変更したため、スケルトン抵抗が10KΩを100Ωに、新規にNFB用3.9KΩ(縦になっている)を追加し、基板も横幅を1マス増やした。
2SC1775Aのところは真空管プリ製作会の折にまとめ買いした100V耐圧の1775を使った(耐圧の関係から使われずに眠っていたものだ)。


(スケルトンは10Ω以外は指定外の数値で上から、3.9KΩ、10Ω、100Ωだ。進の抵抗もストックが少なくなってきた。)

 終段は、放熱板を介してサーミスターを取り付けた。2SK2554以外の石を取替えたい時、何等かの原因で飛ばした時等にとても有効だ。グリスで密着させると問題なく、今のところ安定している。



サーミスターの取り付けに使用したアラルダイト・ラピッドが少し足りなかった。たっぷりと覆うようにしなければ、外気温度でふらつくから、この後に修正して安定した。
2009.02.11

 少したつとオフセット電圧が300mVあたりをふらつき始めた。数分内には10mV以内には落ち着くのだが、精神衛生上よろしくない。この基板の初段は2SK246GRだった。この際、ランクBLに取り替えよう。7.8mVのペアに取り替えた。ふらつき現象は解消した。もしやと思い外したGRを測定すると4.5mVベストマッチだから、ふらつきの原因は不明だ。
2009.02.22追記

 2枚目の基板のオフセット電圧が他よりも高いのが気になって、じっくりとレコードを聴けない。上述のようにSW・ONで300mV位が徐々に下がり始め、また上がったりを繰り返し数分で10mV以内に安定するが、他の基板は150mV位から始まり下降して止まる。初段作動アンプのペア取りをし直してもこの傾向は変わらない。終段のペア取りもし直した。取り替える前は、200mA流したとき2.12Vと2.13Vで問題は無いと思うものの、2.13Vのものに揃えて、上がり下がりの迷走は無くなったが、高いオフセット電圧から始まるのことに変わりはない。No.169のパワーアンプはもっと安定していたことを思い出した。駄目なのは、終段に2SK3163を使用したからだろうか。
 データから見ると2SK3163は十分に使用できるし、使用もしているのだが、UHCU(2SK2586)に換えて見るのもどうかと考えている。2枚目基板は一番良いはずなのだが・・・。
 MOS-FETは、ON抵抗を下げる為にゲートを網状にしている。その為に面積が広くなり容量が大きくなる。つまり、高耐圧チップを並列に数百、数千の単位でつなげる為に容量が大きくなる。とてつもない容量だ。

メーカー 型番 V A W 入力pF 出力pF 帰還pF 順方向伝達アドミタンス
日立 UHC 60 40 100 3600 1850 450 35 15
日立 UHCU 60 60 125 3550 1760 500 60 7
東芝 2SK851 200 30 150 2100 1400 600 12 7
日立 2SK2554 60 75 150 7700 4100 760 80 4.5
ルネサス 2SK2586 60 60 125 3550 1760 500 60 7
日立 2SK3163 60 75 110 7100 1000 280 80 6
 ※日立・ルネサスの齟齬は、参照したデータによる。
データーシートに記載されている容量に関するパラメータは次の3つ。
 Ciss  ドレイン−ソース短絡時の入力容量
 Coss ソース共通の出力容量
 Crss 逆伝達容量またはゲート−ドレイン容量
三菱FS70SMJ−06もタフなようだ…安いし保護回路には良いかもしれない。
青字の素子は使用済み

21.02.26追記
 

3枚目基板     
 
 3枚目基板は、手持ちのカーボン抵抗(1/4W)で組んで見ることにした。2枚目基板は、すべて指定パーツで組んだものであるから、これとの比較が一番良く分かるだろう。3枚目基板は、音に一番影響すると思われるMFB抵抗100Ω、3.9KΩもカーボン抵抗だ。半固定VRも60円の安物であり、きちんと合わせても少し戻る返しバックラッシュ(回転の戻り)があり、余分に回しておく等、気を使うパーツだ。視覚的に今どこにいるか分からない(何時方向に回したという)がコパルTM-7Pが合わせやすい。
 初段の定電流回路TR3の2SK246だが、何の気なしにランクGRを用いたのが迷走の始まりだ。【そう言えば1枚目・2枚目とも初段の作動アンプはランクGR(ペア4.5mA)を用いたが、ここは影響が出ないだろう。】
 TR3がランクGRでは、VR2最大でも終段に10〜20mAしか流れない。あちらこちらと定数外の値の抵抗を使ったせいなのかと反省。ふと、TR3を覗くとGR(5mA)だったので、ランクBL(7.6mA)に取り替えて事なきを得た。(ここが影響するものか?)また、回路図では5〜600Ω台の抵抗を数箇所使用しているが、手持ちは510Ωしか無いのですべてこの値とした。このため、TR3には0.2mAほど余分に電流が流れる。
 保護回路検出部のローパスフィルター(0.11Hz)だが、No.192では抵抗値が150→75KΩに変わっている。ここも手持ちから100KΩ(0.16Hz)としたが動作に影響はないだろう。終段はUHCUとしたので3枚とも終段が異なることになってしまった。少しやりすぎかもしれない。
 No.159のように初段と2段目以降の間にSWを追加しミューティング代わりとして、左右で比較すれば良く分かるし、まず、電源部SWを入れると初段に電圧がかかる。一息ついて安定してから、アンプのSWで2段目以降に通電するので電源ノイズも抑えられる。オフセット電圧を見ても10秒以内には150mVから20mV以内に落ち着く。 何より、アンプのSWをOFFにすれば、プリアンプからのプラグの抜き差しやスピーカーの接続換えが出来るのが良い。
いよいよ比較するとしよう。モノーラルのレコードを2系統の出力と2スピーカー(ボーズ301)で鳴らすことにする。違うのは、パワーアンプの基板だけだ。
 比較した。なんと言うことだろう、残念ながら私の耳ではその決定的な違いが分からなかった。逆に2枚目の基板よりもパーツの質(価格)の落ちる3枚目の基板の方が明るい音がするのはどうしたことか。これは、単なる比較での話だから2枚目の基板の方が落ち着いた音であり、これが本物かもしれない(そうある筈だ)。ともかく、レファレンス・システムで照合する必要がある。
 ただ、私の耳は左の方が右より少しだが聞こえが良いのだ。特に、右は高域に弱いようだから、向かって右の方がおとなしく聴こえるのだろうか。今度は右のスピーカーを3枚目の基板でというようにクロスして聴いてみよう。
 なお、ここのHPでの部品の音の評価を鵜呑みにしないこと。あくまでも私の環境とモノの考え方から記述したもので、別のアンプや別の耳には当てはまらないことが多いのということを肝に・・・どうぞ。

21.02.21



クロスして聴いてみた。それでも左のスピーカーの音が明るいから耳のせいだ。

21.02.21


マイラーコンデンサーも見えるなど抵抗のメーカーもバラバラの寄せ集めだ。APS0.1uF/100V@60に換えなければと思っている。太目の抵抗は1/2Wカーボン(炭素皮膜)抵抗サイズ:普通:3φX7mmだ1/4WS1タイプ2.3φX6.3mmというものも扱っているメーカーから購入。左右のケミコンはELNA RFSシリーズ (シルミックU)福島双羽 MPC74 0.1Ωは指定の向きが反対だ。
21.02.21

 今まで製作した3枚の基板の初段の電圧・電流


区分 25V 抵抗値 ドレイン電圧 電流 ソース電圧
基板1 TR1 24.5 1.2k 23.0 1.2 2.2
TR2 24.5 1.2k 23.0 1.2 2.2
TR3 -24.7 620 2.4 -23.2 
基板2 TR1 24.3 1.2k 22.7 1.3 2.3
TR2 24.3 1.2k 22.7 1.3 2.3
TR3 -24.5 620 2.6 -22.9 
基板3 TR1 24.5 1.2k 22.7 1.5 1.9
TR2 24.5 1.2k 22.7 1.5 1.9
TR3 -25.1 510 3.1 -23.5 
21.03.01

4枚目基板

 いよいよ残り一枚だ。
現在、製作中。このような感じだ。




  どうしてもジャンパーが1箇所生ずる。真ん中の白いのがそうだ。

  最後の4枚目の基板を作ろう。構想倒れになるだろうが、気になっている2SA606を2段目、2SC959をドライバー段に取り入れたものにしたいが、出てくる音はいかなるものか。2SJ103、2SK214とあまり懸け離れた音では困る。
 シンプルな回路とシンプル(低廉)なパーツだから、気楽に組める。それでいて、この音の良さはメーカー製品を凌駕するのだから・・・。その代わり、メーカー製品を購買する楽しみ、倍々論理も楽しめない。(倍々論理→倍の価格でほんの少し音が良くなる気がするという。)
 考えていても駄目だから組む以外に無いが、きっと回路が同じであるから、音も変わらないだろうと楽観的であり、また、バラックというか手持ちのカーボン抵抗で組むか・・・しかし、それではせっかくの労力(体力)が勿体無いとも考える。年とともにずいぶんと煮え切らなくなったものだ。
 TS180トランスを使った電源が2台あるから、本当はこれに見合いの回路にすれば、良質な電源が供給できるのだが、抵抗値を変えたりカスケード回路を追加したり、2SJ103も77に換えなければならない。早い話、No.159のパワー部を作れば良いのだが、見ただけでパーツの多さが気になる。スケルトン抵抗が所狭しに並んでいるから、No.159の基板を4枚組むのは気が重い。
 普段から頭にある「もったいない(mottainai)」の考え方は、TR(2SC1775A)の足が短くなったものに7本拠り線で少し足して使うということで、一度はジャンクボックスに入りかけたものも使用する。何らかの理由で、あとから何かに使おうと残しておくのだが、使えるか使えないか分からないものが数多くある。その都度、コメントを付して保存すると活用の場面も広がる。
 2SA606を2段目に使用、200ΩVR+510Ωの値を小さくする必要がある。2SC959をドライバー段に使用、ここはそのまま置き換え可能。2段目2SA606は、どうも窮屈なスペースだからグルグルと配置中に虎の子(エミッター)の足が折れてしまったので2SJ103を使うことにした。ベストペアマッチだっただけに惜しまれる。どうも良いモノが短命とはこのことか?果たして2段目に最適と言われている2SA606の音の確認は出来なくなった。
 2SC959は、TR7が熱を持つ。調整後2SC960の放熱板を付けると温度上昇がブロードになるためか、Ioもオフセット電圧も変わってしまうので、また調整のし直しとなる。
 2SC959をドライバー段に使用したときのSW・on時のIoは150mAあたりから徐々に上昇して250mAから下がり始め設定した150mAで安定する。2SK214を使用した場合、始めから300mA超まで流れ、徐々に下がり安定する。このことは別として、定電流回路を自己バイアスでは安定度に欠けるから見直しが必要とのことか。しかし、25Vと低い電圧だから複雑な回路にする必要もないだろうが、試す場合には、丁度基板のTR3の下に空きがあるので、そのスペースを使えということか。

2009.03.06




4枚とも基板が完成

 4枚とも基板が完成した。すべて手持ちのパーツで間に合わせるといった無謀なことになった。全体的に再調整のところ2枚目基板がVR2最大でもIoは50mAも流れなくなった。最初は問題なかったのにどうしたことか。そういえば、2枚目基板は初段2SK246をGRからBLに換え、終段(2SK3163)もペアを取り直した。こんなことで、このように大きくIoに影響を及ぼすものか。仕方なく510Ωを470Ωに換えて、VR2の調整範囲に収まった。VR2は20Ω位に設定されたものと思う。あちら良ければこちら駄目、なかなか納得のいく状態にならないが、夜な夜なこれが楽しいことという輩に家人もあきれているだろう。
 この基板は、SW・on時、大電流MOS-FETの特徴と言える大電流が流れる。冷えている冬は特に心配だ。300mAフルスケールの電流計を振り切る。500mA位流れているのだろう。5分くらいかけてゆっくりと150mA、オフセット電圧5mV程度に安定する。それにしても4枚目の基板は、このような状態ではない。
 先日からのヒヤリングも2枚目、4枚目基板で行っていたが、2枚目基板がやや活力に欠ける気はした。少し難聴気味の右耳のせいかと気にしなかったが、これで原因が分かり納得である。
暫く電源(流)管理をして、3wayのメインスピーカーの中域・高域に繋ぐこととしよう。指定のIoは200mAだが、私は150mAに設定しているので、この範囲なら良として様子を見ることとする。
 当初、大きく薄いケースをどの様に活用しようか思案していたが、ゆとりをもって4枚のそれぞれ異なる基板や保護回路関係基板が納まると感慨深いものがある。また、ひとつ新たなアンプが確保された。(ただ、実験的要素は大であるから、いつまで原型を留めるか不明。)

 


相当、混み入ってきたNo.192パワー



 今までお世話になったTRパワー2台
 
 これで、バッテリーに依存していた煩わしさから解放されるし、そのバッテリーもそろそろ寿命でもある。12V6A×4個だから買い替えも躊躇していた。いままで一番困ったのは、停電等の場合プリは落ちるがパワーがそのままということで、ショックノイズが大きくスピーカーに与える影響である。これも解消されるメリットは大きい。
 メインシステムのスピーカーと繋ぐ日がとうとう来た。今までと違うことをするとき、つまり、接続替えをして今までと同じにトラブル無く稼動するだろうかという一抹の不安と大きすぎる期待。CHフィルター内蔵型バッテリー駆動TRアンプを外し、今回のアンプをセットする。CHデバイダーとの接続も必要だ。そのデバィダーは右CHが588Hz(22000+5100pFのSEコン)の間に合わせ、左CHが601Hz(26500 pFのSEコン)である。

 


 上がCHデバイダー、下は真空管プリの電源

CHデバイダー内部
 
 ツイーターOS-5000T(9.8Ω)もスコーカーOS-500MT(8.9Ω)も能率は105dBだから、CHデバィダーのボリウム角度は同じはずだ。そんなことは意識せずにボリウムを上げて行ったら、両方とも11時の角度で最良となった。そう言えば、オンケンの小泉氏も4.5度の目盛とマニュアルに記述していたことを思い出した。10KΩ(B)VRでマイナス6dBは、中間の5KΩ:5KΩ点、マイナス7dBは5.6KΩ:4.3KΩと言うことで11時の角度だから論理的であり、視覚的に正比例で分かりやすくアナログ的な良さでもあるのだ。
 このことからもVRはBカーブがベストだ。ちなみにウーファー416-8A(8.0Ω) は96 dBだ。6 dB/octネットワークの記事でも金田明彦先生は、ウーファーを基準として、ツイーター、スコーカーをマイナス7dBに設定している。
 最初に聴くレコードは、必ずチャイコフスキーの悲愴である。「拙稿No.157イコライザーのノイズ」で紹介の〜ヴィヤチェスラ・オフチニコフ指揮チャイコフスキーNo.6モスクワ放送交響楽団〜
本当に何ということだろうか、スピーカーの存在を忘れるとはこのことなのだ。今までは、上からツイーターの音が・・・という物理的配置と楽音とが合致していたものが、払拭され空間に交響曲が飛び交い放出されている。さらに、ブラスや弦の生き生きとした絶妙な響きと定位の良さ。今まで一体何を聴いていたものなのか。時間を無益にしたものだと思わざるを得ない。金田明彦先生も内臓型のCHフィルター式ではなく、26500、2000pFを使用した本格デバィダーを勧めていた訳が良く分かった。更に「10KΩ(B)VRではなくスケルトン固定抵抗に置き換えるべし!!」との言葉が頭をよぎると同時に、金田明彦先生の作業室で固定抵抗値をシナプス思考回路で計算、手早く半田付けした後、ヒヤリングをして「思ったとおりベストマッチ」だと語った姿を思い出した。その時のシステム構成。数年以上も前のことで恐縮だが、当時のメモを懐かしく読み返してのこと。
 ウーファー 2SK2554で4パラ2Ωのスピーカーを駆動(ゲインあり過ぎてATT入れている。)
 スコーカー 2SK2554(初段は球)
 ツイーター WE421
 スーパーツイーター WE421
 気に入ったレコードをメモする。 Sounds You See And Hear Percussion 11011だ。
 以前は、乾電池とGOAアンプ群だったが、全体に変えていた。
ただ、これだけ明確に分かる音の差は2N3055バイポーラTRと2SK2554等MOS-FETとの違いなのか更に確認したいと思っている。

2009.03.07

 
     

トラブルシューティング
 
 トラブル処理的なことは、その都度各項目で述べたが、少し気になったことをまとめる。
 定電流回路について
 2SK246GR(Idss2.6〜6.5mA)では、初段の電流が既定どおり流れず、Ioも50mA程度だった。手持があったので2SK246BL(Idss6〜14mA)に換えて2.5mA前後流れたが、BLランク無い場合は自己バイアス抵抗を330Ωに換えると良い。ただしBLランクの5mA前後のものである場合で、平均的にこのあたりのものが多い。また、BLランクで想定しているものは7mA前後のものであることがグラフからも容易に読み取れる。
 このあたりのことは、あまりにも記事を簡略しすぎているので大切なところを見過ごすから、初めてこのアンプを製作される方は、過去の記事を参考にひとつひとつ検証されることが良いと思う。
 たまたま、今回製作したものはBLランクで7mAのものをストックしていたので想定どおりのアンプに仕上がったものである。Yランク(Idss1.2〜3mA)でIdss2.5mAのものがあれば、自己バイアス抵抗も不要となることだろう。昔、2N5465で4mAのものを定電流に使用したことがあったが、ちょうど良いものが無くて自己バイアス抵抗を付加するのが定番であった。
 自己バイアス方式は、電流帰還型に比して温度上昇により電流が減少する傾向があり、ウーファー用6C33C-Bアンプの熱を受けるとIoは150mAが100mAまで下がった。

No.159パワー部がポップポップノイズも少なく気に入っているので、それに似せて次のような回路にしたが、かえって大きくなった。


結局、ちょうど良いFETを採用し抵抗も省いた。気のせいかポップノイズは少ない。


 初段の2SK246
 先にも触れたが、ランクGRでも問題はないが、廉価な石なので色々と試すのも楽しみかと思う。今回は、ペア取りをラフにしたことが後々響く。そのうち実装してアイドリングののちにペア取りをする位の周到さが必要。いつもそう思うのだが…



 2段目の2SJ103BLの周辺
 では、2段目の2SJ103BLの周辺は、いままで触れていないがどうなっているのか。製作メモによると7.0mAのペアを使用している。これ位できちんと動作しているから、特にIdssの大きなものを必要とはしていない。私の場合で、電流は2.6mA程度流れている。この石はドレイン(D)とソース(S)は互換があるから良いのだが、パターンの書き方はDとSが逆である。Trに置き換えるときに間違えそうだから留意。回路図にも気をつけるところあり。初段にかかる電圧は25.14Vが正しい。26.54Vではどう計算してもおかしくなる。
 脈絡のない話

 プリアンプの話にシフトするが、私のプリには電源SWは付けない。真空管プリは電源部が別で重たいSWなので誤ってSWを切ることはないだろう。軽いSWは何かの拍子に切らないとも限らない。半導体のプリは電源ケーブルの根元で行うことにしている。

いろいろなものが同居したアンプとなった
保護回路DC検出部も右と左に別々に必要だが
右はローパスフィルター用のCはブラックゲート
左は普通の無極性ケミコンだからこのあたりの
音の違いも比較できるようになっている
いわば実験アンプ




終段は右から基板@2SK2554 A2SK3163 B2SK2586 C2SK3163
されど実験アンプ
相当ひどい扱いにもかかわらず壊れた終段の石は皆無
よく見ると方向が指定どおりでないパーツも散見

これにて長年の懸案AC電源対応3Way中高域用アンプが完成?
ところが、前TRアンプもCHフィルターを外して単体で聴くと
これが捨てがたいクールストラッティ的魅力

どつぼに嵌まる(はまる)」か!!

いやいや
TRアンプはバッテリーでしか聴かないと決めているので
今回のFETアンプに移行したではないか
移り気は良くないとは
思わないか




完成その後



 数時間レコード音楽に没頭。ウーファー用のNo.159パワーアンプは相当熱くなり、47V程度負荷の初段Tr1・2の2N3954は可愛そうなくらいだ。あとはTr8・9の2SK214も放熱板が貧弱なため結構熱い。電流の喰う低域を持たせているのでこんなものかと思うが、たまには設定がずれていないかこちらもIoを見て上げる必要がある。それにしてもこのアンプのオフセット電圧は皆無に等しいから驚きである。SW・on時のポップ音が聞こえないのは低域に使用していることもあるが、オフセット電圧がほとんど無いためであり、試しにオフセット電圧を50mV程度にすると「ポッ」と出る。
 さて、No.192パワーアンプはというと、4枚の基板のIoは温度補償が効きすぎなのか数時間も経つと4枚目基板(製作順の番号)以外は100mA前後まで落ち込んでいる。4枚目の基板は、SW・on時も200mAくらいから少しの間に150mAに落ち着く。残り3枚は500mA前後だろうと思う。電圧計は250mVがmaxのため計測不能なのだ。Ioは1Ω5Wのセメント抵抗を介して計測するので150mVは150mAなので分かりやすいし、ロータリーSWで切り替えるから常時電流を監視できて便利だ。
 SW・on時と安定時の電流ギャップはあまり無いほうが気持ちの面でも落ち着く。とはいえ4枚目基板も125mAまで下がるのだが、他の3枚との違いはドライバー段が2SC959ということだけだ。
1Vmaxの電圧計が欲しいのだが、世の中都合の良いことばかりない。250mVで2.5Vを測れないかとシリーズに抵抗を入れるも電池はうまく測れてもこのアンプには通用しない。

  / 計測@ 計測A 比率
基板No mV mV A/@
@ 515 420 0.816
A 670 540 0.806
B 510 450 0.882
C 210 190 0.905

計測@21.3.25と計測A21.3.26のように日を変えて計測。気温が変わるとこのように電流も変動する。やはり基板Cは、流れ始めから少ないスタートだ。
比率を見ると基板@Aは、2割程度の差異がある。基板BCは1割程度だが、これは数分遅れてサブSW[スタンバイSW]を入れたことによるものと想定される。(サブSWは、2段目以降に電圧を加えるもので後付したSW。基板@A[右CH]とBC[左CH]のブロックに分けてある。)

  / 計測A 計測B 比率
基板No mV mV B/A
@ 420 285 0.679
A 540 345 0.639
B 450 375 0.833
C 190 160 0.842
 計測A は前項のもの、計測B21.4.4計測

  / 計測B 計測B 比率 使用FET
基板No mV mV B/B
@ 285 103 0.361 2SK2554
A 345 98 0.284 2SK3163
B 375 89 0.237 2SK2586
C 160 113 0.706 2SK3163
計測BはSW・on時、計測Bは1時間程度経過。結局は100mA程度に皆落ち着く。

 ところで、今回のパワーアンプは基板1枚如何程のコストなのか積み上げてみると廉価版3千円弱、準正規版7千円程度で出来る。2枚でステレオとなり、電源と保護回路を加えても私の場合1万円〜2万円位なのかと思う。ただしケース・コネクター等は別である。正規品(89,000円)よりは格段安いが、あまりコセコセとするのも好きではないとはいえ、今回の試みは金銭的なことではなく、手持ちのパーツで一定レベルの音の確認をするのが目的なのだが、では正規品並みのものに作り直すかというとそうはしない。
 問題は安心・安全そして良音なアンプだということであり、1万円のアンプで駆動するスピーカーは、その10倍・20倍以上はする訳だから・・・間違っても壊してはならない。壊れたらもう買えないだろう。さりとて飾りにしておくことにはならない。なんと価格的バランスの良くないシステムでこんなにも良い音楽を聴けることだろうか。これは、金田アンプに出逢えた人だけの財産である。
 いずれにしてもコストは極限まで押さえ、出てくる音は満足のいくものを求めるC/Pポリシーは大切である。ブラックゲートコンデンサー、SEコンデンサー、ポリカーボネートV2A、2SC959、高耐圧ファーストリカバリダイオード1S2711等音に影響の大きい良品が消えていく。湯水のごとく財を投じる時代は終わり後継種で使えるものを探すようにしたいものであり、そのためにも多くのアマチュアの試行と共有が大切なのだ。

準正規版
    独断のリストアップ
品名(パーツ) 単価 数量 金額
FET 2SK2586 UHCU 315 2 630
基板 AT−1S(43) 200 1 200
抵抗 1/2W 進系 40 15 600
抵抗 スケルトン 262 3 786
福島双羽 MPC74 0.1Ω 110 2 220
50V10μF ELNA RFS 63 2 126
510pF SE 1,333 1 1,333
0.1μF AUDYN CAP 470 1 470
2SK246 20 3 60
2SC1775A 84 2 168
2SK214 210 2 420
2SJ103 31.5 2 63
200D5A 105 2 210
半固定VR TM-7P 472 2 944
スモールパーツ 500 1 500
    6,730
パワーMOS-FETを2SK2554にすると@840〜1050だが、一世代前でも十分だから2SK2586(UHCU)とした。

廉価版
品名(パーツ) 単価 数量 金額
FET 2SK3163 180 2 360
基板 AT−1S(43) 200 1 200
抵抗 1/2W カーボン 10.5 15 158
抵抗 〃 10.5 3 32
セメント抵抗 0.1Ω 63 2 126
50V10μF MUSE-ES 45 2 90
560pF APS 30 1 30
0.1μF  APS 60 1 60
2SK246 20 3 60
2SC2230A 42 2 84
2SK214 210 2 420
2SJ103 31.5 2 63
200D5A 105 2 210
半固定VR コパルCT6P 63 2 126
スモールパーツ線材等 500 1 500
    2,518
これ以上安いパワーMOS-FETはないかも? ペア取りはあまり厳密ではない。なにしろ温度で測定値が変化する。しかし、近似値でもそんなに支障はないのは実験済みだ。
 大電流MOSは、エンハンスメントタイプの静特性を示し、Idssは漏れ電流のみであることに注意する必要があるといわれている。エンハンスメントタイプは、ゲートとソースをショートしたら、ドレイン電流は流れず、カットオフの領域となる(Vgsoffが正の領域にある)。

2009.03.28


       
5枚目基板


アルミ板をベースに2本渡し基板をセットする。裏の配線が非常に楽だ。
基板の裏返しの上は検出部、下は制御部。
 私は、制御部からチェックする。緑色の配線がDetであり、チェック時はこれを配線しないでおく。
メイン基板にも電源は配線しない。制御部だけを作動させ、Det端子をアースへ落としパワー段±の電源が落ちればOK。
 次に、全体の配線をし、オフセットVRを600mV程度まで上げていくと、パワー段±の電源が落ちるはずだ。
 保護回路用のパワーMOS-FETは2SK3163
 サーミスターとパラの220Ωは2SC960の配置に邪魔なので、パワー段MOS-FET基板に配置。

 


 
基板の配線は表裏の確認が大変なので、トレーシングペーパーにコピーしたものを重ね、透かして見ながらの確認作業が続く。慣れると思い込みで配線ミスをする。今回も検出基板にマイナス電圧をかけるところ間違ってプラスをかけた。動作がおかしく基板をもう一枚作り直したが、やはり同じだったので、よく見ると+と-の配線違いだ。いまさらどうしたものかと自分でも苦笑。基板は壊れずに動作OK。



5枚目基板の製作

 
 このパワーアンプをよほど気に入ったのか?(あえて二人称)。モノーラルシステムに使ってみようと思い5枚目基板の製作に取りかかったのだが、上の写真のとおり左にスペースを確保しステレオ予定。
 初段を2N3954にしたらNo.159がそうであるようにSW・on時のショックノイズは消えるだろうか。
 No.159がそうであるようにオフセット電圧の変動がわずかであるだろうか。オークションで見つけたパワー段の石(60V45A100W、通販でも200円位か?)とのマッチングはどうだろうか。シンプルかつ低廉ななことは、このように、次から次へと湧き起こる欲求を受け入れやすくしている。
 初段には2N3954を採用、ドライバーに2SC960、バイパスコンデンサーにブラックゲート、スピーカー端子オープン保護回路にV2Aを投入し究極のNo.192にしよう。ただ、位相補正に使う510pFのSEコンデンサーは手持がないから例によってスチロールコンデンサーに登場願おうと思ったが、品切れでAPS 560pF/100Vとなる。ブラックケート10μF50Vも1個しかないのでMUSE-ESを使うから、橙や緑でカラフルな基板になる。
2009.04.12


 初段の2N3954は、さすがに安定度抜群である。左右ともIdss(ゲートとソースをショートしたときのドレイン電流)2.5mAジャストである。この半分程度の電流を流すから余裕から見てもちょうど良いことになる。ただし、SW・on時のオフセット電圧は50mVであるが、すぐに0mV前後で安定する。
 定電流回路には2SK117のYランク(Idss1.2〜3mA)の中からIdss2.5mAのものを採用したので、自己バイアス抵抗も不要となりパーツを1つでも減らすことにつながった。
 SW・on時のショックノイズはオフセット電圧の差がショックの大小に関係するから、2N3954効果で相当解消されたが、No.159のように気にならないところまでは到達しない。Ioは上りきったところから下がって行き安定するのではなく、50mA前後から這い上がって行き、設定した150mAで安定する。1〜4枚目基板のように熱で100mA前後まで下がらず、数時間ほって置いても150mAのままである。これは、写真でも分かるとおり放熱器を付けたことの効果による。パワー段の石を底板に取り付けると配線が面倒になるから、あえて放熱器を配したのが良かったのだ。
 今回投入したドライバーの2SC960だが、Tr6が熱を持つTr7はほんのりとする程度であり4枚目基板とは逆となったが、電圧からして今回のパターンが正常だ。現象が定まらず躊躇するが、原因はあるはずだから少し時間をかけて付きとめることにしよう。なお、2SC960はペア取りしたものを使ってみた。
 ボーズ301をテスト用のスピーカーとしているが、今回のアンプのまとまりのある音には感心する。2wayがゆえに金田アンプの音が素直に出てくる。金田明彦氏が述べているように今回のアンプを通じ、ハイパワーとは何なのか。過度のNFBとは何なのか。改めて考えさせられた。
 モノーラル音楽はスピーカーが1箇所のため音の広がりはもちろんのこと音圧の面からも何か物足りなさが付きまとうが、それさえも超越するから不思議だ。

 @No.139Trシンプルパワーアンプ、No.130FETパワーアンプのいずれも音の広がりに欠け低域の切れの悪さが目立つ。スピーカーの中に音楽があるという感じだ。試聴レコードはオリバー・ネルソンTAKING CARE of BUSINESS
 どちらかといえば、No.139の方が良いがNo.192には到底及ばないし、No.130は完全対称以前のアンプのためか音楽はさらに萎縮している。
 A今回のNo.192の5枚目基板はというと、音の深みと広がりは、安心して聴ける。ボース301を2つ並べて@とAの比較をしたところ、@は左右どちらのスピーカーから音が出ているか分かる。つまり、スピーカーボックスのスピーカーそのものから音が出ていると分かる。Aは、その判別がつかないから、不思議なことだと感じた。Aは、スピーカーボックス全体から音が出ていて、さらにその周りにまで音の広がりと奥行きが波及している。躍動感みなぎる音楽が聴けることは至福のきわみだ。
 先の基板1枚目から4枚目までについては、このような試聴比較はしていない。今後、No.159パワーアンプ部を含めて検証する必要があるが、まさか、基板5枚目に採用したMOS-FET固有の力とは思いたくはない。
2009.04.15
5枚目の基板の初段の電圧・電流
区分    TR ±25V 抵抗値 ドレイン電圧 ソース電圧 電流
基板5 TR1 2N3954 25.8 1.2k 24.3   1.25
TR2 2N3954 25.8 1.2k 24.4   1.25
TR3 2SK117Y -26.3     -26.3 2.50

 基板1〜4枚目との比較をした。5枚目が良く聴こえるのは何故だろう。
 5枚目に採用したMOS-FETは60V45A100W、入力1800出力900帰還350pFという東芝製(2006年11月)だ。入出力容量は低いと思われた初代UHCのさらに半分である。順伝達アドミタンスは27s(VGS = 10V, ID = 25A)、ドレイン・ソース間オン抵抗は22mΩ(VGS = 10V, ID = 25A)とデータ的に若干劣るがこの辺りは問題にならない。45A100Wでは不足だという輩もいるが、自室で聴く分にはスピーカーの能率も良いし全く問題はない。
 入力容量等が低いことにより、音にどのように影響するか期待していたことでもある。MOS-FETは大電流を扱える反面、入力容量(Ciss)が無視できないほど大きな値である。入力容量はバイアスにより大きく変化し、無視できない値は、重たい負荷となってしまうから、極力、容量の少ないものに目が行く。
 アンプの安定性を優先し、安心安全アンプで、かつ躍動的な音とすべし。大電流・大出力はあまり好きではないし、ゲインが高まるほど発振や暴走につながりやすいのではないか。
 五感は体調に左右され、特に味覚、聴覚には大きく影響する。何か良く聴こえないという日は、早々に切り上げて、別のことをするのが良い。それから、もうすこしで完成というときにも、その日は、やはり切り上げて翌日にまわすのが絶対良い結果につながる。最近、ようやく、これらのことが出来るようになってきた。明日があるさ・・・の歌のようなものだ。
2009.04.17
 

6枚目基板の製作

 6枚目を製作し、5枚目とあわせてステレオ構成とするも、2段目は2AS606となった。
 今まで製作のアンプ基板はどれひとつとして同じものはない。路頭の時間か。さて、いかなる音が出るのか出ないのか。


 MOS-FETの交換に便利なようにアルミの放熱板にサーミスターを取り付けた。放熱板にはタップが切ってあるので止めやすい。





2SA606、FD1840等今まで異なるデバイスが見える。
200Ω半固定は東京コスモスGF063P、緑色はMUSE-ES 10uF/50V
定電流回路は2SK117Yの2.5mAを投入のため、バイアス抵抗はない。
200Ω半固定につながる510Ωはスペースがないため裏に配置。
それにしても、そろそろ進の抵抗も無くなりつつある。


2009.04.18


基板6が良い

 基板6枚目もパワー段は5枚目に採用したMOS-FET。2段目は2AC606とした。5枚目との違いは2段目が2SJ103BLか2SA606の違いのみだ。初段をFD1840としたがこれは関係ないだろう。音の比較では、2SA606の方が艶やかさと広がりや奥行きが勝る。2SJ103BLは一回りもスケールが小さく音圧も低い。これは、レベルコントロールも必要になるから、CHデバィダーのVRを介して中域に使用するのが良いと思った。
 Ioを150mAにしようとするも、10mA位からどんどんと上がって行き安定するまで暫くかかった。なお、200Ω半固定VRにつながる510Ωは120ΩにしなければIoは流れない。落ち着いたころでエージングを兼ね、ながらレコードを聴いて15分くらいたったところ、音にひずみが発生したので、電流計を見るとフルスケールの250mAを振り切っていた。保護回路は働かないので想定の範囲内ではあったと思うが、結局はいつまでも安定しないということだろう。
 ドライバーの2SC960は安定して馴染んでいるが、2SA606はジャジャ馬のようだ。温度補償をどうすれば良いのか検討するのは後回しにして、安心安全な2SJ103に早速取り替えた。底板に基板を止めない方式はパーツの取替えもスムーズだ。2SJ103は、さすがに安定性抜群である。負の温度係数というのも安心だ。
 せっかく良い音を求めることが出来たのだが、安定しないアンプは採用できない。残念なことである。
 とにもかくにもケースにきちんと収まり保護回路も内蔵したステレオアンプが完成した。
 パワーMOS-FETのサーミスター取り付けは、市販のアルミの放熱板にタップが切ってあるものが便利そうなので使用してみた。実験的にパワーMOS-FETを取り替える場合は、パワーMOS-FETのマウント基板にサーミスターや220Ωの抵抗を同居させないほうが良く小基板を2枚使いそれぞれ分けたほうが良い。
2009.05.01

基板6枚目定電流回路考察

 電流帰還型(定電圧ダイオードでゲート電圧を固定し、ソースに抵抗を入れる方式)に興味があり音の比較をした。
 定電流回路では、J-FETは端正、TRは奔放な音の傾向にある。と著者は述べているが、一方では2SC1775を超える定電流用デバイスは見つからないという。FETは特定していないが、過去の記事では2N5445、2SK117、2SK246等が使用されてきた。2SK30も使えるだろうが、使用例は無かったと思う。
 定電流回路には2SC1775Aをおいて外には無いと言われると、比較してみたくなるのが人情だ。真空管プリアンプには使用実績はあるが、比較まではしていない。
 2SC1775(2SD756)が最高とすれば、これ以外は使用しなければ良いと思うのだが・・・、たまにFETが顔を出すから、ユーザー側も比較したくなる。
 今回、基板5・6は2SK117Y(2.5mA)とし、音のチェックののち、基板6のみ2SC1775Aに換えた。本当は、FETのほうがシンプルで好きだから、このままにしておきたい。TRだと、2KΩ・18KΩの抵抗と6Vのツェナーが必要になる。
 今回のパワーアンプにはサブSWを付けてあるので、ミューティングとして使えるから、左右の基板で左を2SC1775Aとし、右を2SK117Yの定電流用デバイスとし、これのon・offで瞬時に比較できる。
 さて、2SC1775Aと追加パーツを取り付け、電圧を測ると、ベース・エミッター間の電圧が2Vにもなる。ツェナーに1mAしか流さないからか。今までもこんなはずは無いからと、色々とチェックした結果、2KΩにつながるエミッターが少し発振しているではないか。マイナス25Vとアース間に0.1μFのパスコンを入れると止まった。(10μFの無極性でも止まる。) これで、ベース・エミッター間の電圧が0.6V程度になる。電流は3.0mA流れるはずだ。
 ツェナーに流す電流が少なすぎると UOUT は安定せず、公称の降伏電圧よりも低くなるというから、5mA流しても発振は止まらない。
 とりあえず動くので、ボーズ301でレコードを聴いた。音の傾向だが、FETは端正、TRは奔放と金田明彦氏はいうが、私の場合TRは奔放までは行かない程度の艶やかと感じた。つまり、奔放ではなく、おとなし目で艶やかではないか。もう少し詰めてから詳細レポートしたいところだ。
 いよいよ、メインシステムのパワーアンプ全てをNo.192に統一してのヒヤリングである。いままでウーファーを駆動していたNo.159パワーアンプよりも今回の基板5・6枚目のアンプの方が、ゲインがあるようだ。No.1〜6のアンプにおいて、同じ構成のものはひとつもないが、出てくる音は統一された金田アンプである。低域のアンプが変わったことで全体に統一感が出てきた。
 ところで、例のポップノイズだが、ウーファーならノイズも低いかと思ったが、能率の良いアルテック416-8Aなので、それなりに出てくる。こうして見ると、No.159はSW・on時のオフセット電圧も低く(ポップノイズも皆無に近い)優れたパワーアンプだと感じる。普通はSW・on時のオフセット電圧は100mV程度出ていて徐々に安定し±5mV前後に落ち着くものだ。[初段は159も192も2N3954(FD1840)なのだが・・・?]
2009.05.02
ドライブ段の熱  基板4.5.6枚目のドライブ段には2SC960を使用した。4枚目はTR7が熱を持ち、5.6枚目はTR6が熱を持つ。5.6枚目は結構な熱だから放熱板を2枚にした。+29Vもかけていることもあるが、別の記事では35Vもかけているから、その熱は相当のものだと思う。筆者自身も記事の中で「手で直接触れられないほど熱くなる。」と記述しているのを読んで、安心したもののあまり熱すぎるのは好まない。下の写真は2SC960内部だが、このリード線の細さを見てあまり熱するのはかわいそうになった。
 No.149P127参照
 そこで、+側のみをレギュレーターで定格の+25Vまで落としてみることだと思いテストする。
 そもそもこのアンプの電圧増幅部はいくら位電流を喰っているのかと思い電流計を介して測ると、20mAである。ステレオで40mAだから問題ない。レギュレーターを+25Vにあわせ接続すると熱は低減するが、SW・ON時にスピーカーからバチッと小さくノイズが出る。サブSWを付けているからそのようなことはない筈なのに不思議だ。+25Vと-29Vのアンバランスは関係ないと思うのだが…。
2009.06.06
その後、+29Vは、AC入力110V端子に変更して、26.5Vとなり、問題も解消されている。
 レギュレーターは95.6月完全対称プリ用


V19E
について


 いままでも優れたダイオードがあった。V19Eは「2009イヤーof金田アンプパーツ」かな?
日本インター ファーストリカバリダイオード スタンダード
31DF2 200v 1.57A
東芝 高耐圧ファーストリカバリダイオード たちまち消滅
1S2711 1500v 1.5A
MJ誌2009.06のNo.201後編で突如現れた日立製のファーストリカバリーダイオードV19E
黄色V19B 100V/1A
黒色V19C 200V/1A
青色V19E 400V/1A
赤色V19G 600V/1A




 このダイオード、100本位手持ちしておいて、色々なところに使ってみたい感じがする。
早速、低域の電源の±25Vに使ってみたが、あまり印象は変わらない。低域はもともと豊かなので問題は、その締り具合だと思う。確かにCarole Kingのイッツ・トゥー・レイトを聴いても低域のブーミーさは取れた。S&G グレーテストヒット2のミセス・ロビンソンの出だしの迫力は比類を見ない。
 31DF2に比しても頼りなく熱はどうか心配。そのため、足は切らずに放熱効果も考慮してみた。
しばらく、聴いていたが、今度は中高域用の電源にも採用する。俄然音に違いが現れた。
 使用していたEMT_XSD15カートリッジの性格もあるが、今までキリリッとしていた音に丸みが加わった。低域よりも中高域に音の違いが顕著に出るのか。エージング効果が出るのは、まだまだ先のことだが・・・。
2009.07.07




























Carole King


S&G グレーテストヒット2

自分だけではもったいない

 良い音を聴くとき、必ず誰かと一緒に聴く。というか、自分の耳に言い聞かせる。「ほら、彼も良い音だと言っているだろう。」と・・・
 そして、自分の見い出せなかった点を改めて実感する。共感する。音の感じ方は、人それぞれだし、文字では言い表すことはできない。一緒に聴いて、そこだ!!と指摘するしかない。音楽では赤は白かもしれない。それは、共感するしかないので、耳の確かな友人達と聴くしかない。そんな耳年齢になったのだと最近思うようになった。
 自分だけではもったいないのではなくて、良く分からなくなったのかもしれない。しかし、悲観的になることはない。まだ、良いものは体も含めて感じることができるのだから。。。

 このアンプは、低域にも問題なく使用できるが、そのときはMFBコントロールを付加すると良い。しかし、中高域には、最適なアンプではないだろうか。艶やかな音楽が楽しめること請け合い。今回の試聴システム。
EXCLUSIVE EW−302
EH−321L 木製セクトラルホーン+TD2001
この中高域に、今回のパワーアンプを用いると艶やかな音楽は、当然のことながら低域にまで影響を及ぼす。低域用の6C33C−BパワーのMFBコントロールを再調整の必要があった。
No.133 オールFETパワー比)
2009.09.13

寒さと共に・・・

 Power-SW-on時のIoが心配になる。先日も冷えた部屋で何の気なしにPower-SW-on。常時電流監視メータによると、1A近い電流が終段のFETに流れた。というよりもメーターがフルスケールで測れなかったのだ。通常のIoは100mAとかなり少なめだ。これでも十分に良い音で鳴ってくれているから精々上げても200mAが限界と思っている。
 製作記事では400mAという設定もあるが、私はそのような設定にはしない。

2009.10.11