レコードアイコンNo.124 SP10ターンテーブル制御アンプ製作記   SP10バナー (C) Copyright 2001.ph7 All Rights Reserved
DL310カートリッジ写真SP10プレーヤー写真

 回転系はメーカー頼りと、しか思えなかった
 まさか、それを制御するとは?
 夢にも思わなかった
 これには参った
 しかも悪戦苦闘

 今も課題を抱えて・・・
 でもこれが楽しいのだ



SP10ターンテーブル制御アンプ製作記の始まり 々

動機は単純だ
 金田明彦先生が来られて試聴会を開催する回数が増えるにつれ、先生がいちいち重たいプレーヤーを送り込む必要も無いだろうし、ケースとしては破損事故もあった。
 自分としては得意のデジタル技術を発揮できると考えたから、ねばならぬ式だった。

昔とった、きねづか?
 アマチュア無線に明け暮れていたころは、周波数カウンターを何台も製作したものだ。ICの世界は簡単であり、結線さえ間違わなければ絶対に動作するものだ。その頃の大作はSSTVスキャンコンバータである。ものすごい配線であり、一度間違えると迷路のようなものだった。逆に難しいのは共振回路であり、コイルによる逓倍などが目に見えないからだ。高調波などである。
 そのようなことから、このターンテーブル制御アンプは軽い軽いと本当に軽く見てしまった。

MJの記事は見たいがMJが手元に無い?
 早速、テクニカルサンヨーの山口おばちゃんに頼んだ。ついでにパーツも頼んだ?。主従が逆かな。

モータードライブアンプ
モータードライブアンプ出力電圧ピーク値等
P1−A1 +−8V   RG=870Ω RE=750Ω+ 50Ω RS=280Ω
P2−A2 +−8.5V RG= 1KΩ RE=820Ω+ 68Ω RS=270Ω
P3−A3 +−7V   RG=840Ω RE=680Ω+100Ω RS=216Ω
Io=15〜16mA各アンプとも


レギュレーター
 
 −5Vの配線部図面において誤りがある。+の方を参考に・・・。

位置信号発振器
 動作確認と調整はオシロスコープや周波数カウンターがあると簡単になる。私は両方でやってみたが、信号最大の少しVR右前ところが目的の周波数となるし安定している。

制御部

 一番大変な基盤の制御部配線部図面には、誤りを数カ所確認した。回路図の方はほぼ間違いはない。特に電源ラインとアースラインを基盤上で切り分ける箇所があるが、基盤のBとある付近でカットしているが、Cのそばになる。そうしなければ、−5Vが正しく、Cのラインにかからない。
 ジェネレータ出力(MC14069UBの4番ピン)を測るのだが、高周波電圧計は持ち合わせが無い方が多いと思うから、ダイオードで信号を受けてテスターで測る。周波数カウンターがある方は1MHzの表示、オシロスコープでは方形波が見られる。この回路は発振回路の基本だからテスターで当たって電圧が出ていればOKな位、水晶発振の回路は正常に動く。
 57ページの上右側の制御部基盤の実体配線図に誤りがある。SW1aの45と33の数字が逆になっている。回路図をチェックすればすぐに分かる。なお、回路とパターンでは、抵抗値増減の回転方向が逆となるからその点も留意すること。
 あとは、IC周辺の取り込みも不思議なところがある。(以下)
 サンプルパルス発生のMC14528Bには2台の集積回路が入っているが、ピン5から信号が入るとピン7から出る。ピン11はピン9から出る。回路図は反対だから気を付けよう。同じICのピン1.2とピン14.15周りが実体配線図では150KΩを介して+5Vと−5Vがショートする形になるので留意するように・・・、回路図が正しい。
MC14528Bについて、熊本の田中さんからメールがあった。(2002.08.10)舌足らずの点があるので追加する。
ピン配置は、次のようになっており、どちらが正しいのかと思ってしまう。
回路図では 配線図では
イン アウト イン アウト
11→9ピン 11→9ピン
 4→7ピン  5→7ピン
MC14528Bピン4、12はインバータなし。5,11は出力が負論理のインバータあり。4、12は−5Vにプルダウン固定。5,11に能動な入力(H)があると、その先のOR素子は能動な出力となる。したがって、5,11に入力しないとその先のロジックがおかしくなるはずだ。あるいは、回路図のように4に入力し、5を+5Vにプルアップしても結果は同じだが、配線図は−5Vに接続されている。

正解は配線図ということになります。


 CD4059A回りの配線のうち56KΩを介して−5Vのかかるうち1カ所がパターンの目1つがずれている。
 ボルテージコンパレーターのLM319Hのヒステレシスは、私の場合15Ω+36Ωとなった。
 ICは適宜ソケットを使用した。自信のない方には勧める。

位相調整ボリウム
 9時以内に最適箇所があるとの記事であり、9時以内で納まった。この調整は私には難しくてできなかった。試聴会の折りに先生にお願いした。結果は、8時30分の方向を指した。
 このボリウムの調整は9時を過ぎて行くほどに位相がかかり、緩い回転からきつい回転になると思えば良い。つまり、細かく位相がかかり音楽もゆったりと聴けなくなる状態になる。
 試しに、レコード演奏中にこのボリウムを右に左に回すと音楽が歪む。
 位相ボリウムのそばにあるLF356Hは、398が正しい。

完成したのを気づかない?
 完成していたのに随分と無駄な時間を費やしたこと。つまり、こういうことだ。モーターだけを回転させていたのだ。ターンテーブルの円盤を乗せずにである。試して見てほしいが、回転ムラがあり、どうして?どうして?の連続である。相当の期間が経過した頃、何となく円盤を載せてみるときちんとロックするではないか。あれ、完成していたのだと、その時気づくと同時に複雑な自己嫌悪状態にあった。

パターンや回路図の訂正
 それぞれのパートで説明。
(これ以外は、後日フォロー)

乾電池で回せるが・・・
 当初は、乾電池で回していた。アンプでは使用できなくなった電池を貰い集めて暫く使っていた。ところがある時、仲間で乾電池とトランス式電源(LM317T +−15V)との比較をしたところ、トランス式電源の方が生き生きとして聴こえた。乾電池がすべての面で良いとはいえないものだと実感した。

失敗談
 電源のコネクターは3Pのものを使用していたため、コネクターの繋ぎ変え時に誤ってパワーアンプ用の3Pを差し込んだ。結果は、惨め。正月の出来事だったが、テクニカルサンヨーにお願いして速達でパーツを取り寄せた。さて、何が飛んでいたのか?。
 プリアンプには、必ず4Pのコネクターを使っているので、早速ターンテーブル制御アンプも4Pに変更した。
 マイホームの商用電源は、あまり良いとは言えない。朝方でも92V程度である。そのため、通常は100Vの安定化装置を使っている。有る日に限って、安定化装置を経由しないで電源を供給した。前述のトランス式電源(LM317T +−15V)だから安定化していたはずなのだが、どうもワウフラッターが時々耳障りになるのだ。ジェネレータ出力(MC14069UBの4番ピン)を再調整するのだが、直らない。写真のようにオシロスコープから周波数カウンターまで持ち出しての大仕掛けとなるが、どこにも故障はない。いろいろ試行のあげく追補のように乾電池にしたら、問題解消した。電源である、良く見るとスルーの商用電源に繋がっていた。これを変えると元にもどった。なんと無駄な数日を過ごした。しかし、一時は、TRパワーアンプの発振かとも疑ったほどである。以前にも発振の影響がターンテーブル制御アンプに悪影響を与えたことがあったからだ。(なんと、出来の悪い商用電源なのか?)

追補 2001.3.29
 その後も安定しないで困っていた。ひょっとすると33回転と45回転の調整VRの追加抵抗を調整のため取り替えたりしたのが悪かったのか。よけいなことはしないことだと後悔した。やはり、回転系は難しいのか。そんなことでまた、数日が経過したところで乾電池によるドライブをするときちんと安定する。そういえば、金田明彦先生も乾電池しか使用していないではないか。商用電源は予想されていないことなのか。しかし、そうすると手を加える前の安定していた状況をどう考えたら良いのか?。
 なお、このとき定数を変えながら思ったのだが、33回転と45回転の調整VR回りの定数は前号の記事のように広範なほうが、その範囲内に最良点があることからその方が良いと感じた。

 これは、製作記だから、もっと詳細なレポートも必要かと考えたが、若干のパターン誤りはあるものの回路図はほぼ正しく、MJの記事のとおりで、私としては大きなトラブルはないので、比較的安心して製作できるが根気が必要と思う。また、若干デジタル ICのノウハウが必要である。


試聴
 何も邪魔のない音ということか。楽しみは、前述のとおり電源を変えて音の変化を比較できること。ただただ、このように素晴らしいものを自作で作りあげられる機会を与えてくれたことに感謝。
 今後は、完全対称アンプによる記事が楽しみだが、問題はモータ等の確保だと思う。



SP10ターンテーブル制御アンプ内部
                    
SP10制御アンプ裏配線写真 この裏面も見れます。




やはり乾電池
 最近電源をSBD化して、ヒヤリングを重ねているが、数日前のことだ。No.128?完全対称型TRプリアンプ電源は、完璧なレギュレーター搭載のものだから、SP10ターンテーブル制御アンプにも使えるかと思ったのが間違いだった。ジョージ・ウィンストーンのピアノソロ(オータム)を聴いているときだった。仲間の一人が、音が揺れているな!。 よくぞ気づいたと思う。微妙な雰囲気だったのだから、普通の人には分からない位だ。乾電池に換えるとぴたりと止んだ。やはりここの電源エネルギーは乾電池しかない。(2002.06.05)


07.1.1新年
 マーラーの2番を聴いたが、音に揺れが生じた。絶対的な金田式DCモータードライブアンプも経年変化? あたりまえのことだが、別に用意してあるSP10U(写真下)で廻すと問題なく聴けた。この際、金田式DCモータードライブアンプをオーバーホールしてみようか。
sp10-U オリジナル相当の年月を経過しているにもかかわらず、写真のプレーヤーは完璧。

sp10−U 金田式かたや、金田式 桜のボディー。


資料
 TC5081P
 CD4059Aの23番ピン波形
 Technics/テクニクス SP-10MK2



 ある日ふと、TRIO KP-700プレーヤーとテクニクス SP-10II+金田アンプドライブ(No.124)との比較を思い立った。いずれもスタビラィザーAT666を乗せてある。あえて比較する必要はないのだが、「やっぱりそうか」と思い起こすためにも・・・。KP-700はコンパクトにまとまった場所のとらないプレーヤーだが、音は鉛のように鈍くベタッとした躍動感のないもので物足りない。なお、カートリッジはいずれもDL-103である。
 過去にXSD15 VS ortofon MC-30、DENON DL-103、LYRA Helikon、AUDIOCRAFT AC-03の比較では前者が圧倒的な強さを見せた。このときのプレーヤーはDENON DP-1300Mであり、シートは東京防音THT-291 制振ターンテーブルマットであった。
 今度は、@テクニクス SP-10II+金田アンプドライブ(No.124)+カートリッジDL-103+SME3012II+金田式桜プレーヤーボードAテクニクス SP-10II+SH-10E電源+EMT XSD15+サエクWE-308+大阪ケーブルLead-ConsoleTYPE−IILプレーヤーボードというもので、いずれもスタビラィザーAT666を乗せてある。
 ここにきて、XSD15の評価が変わったというのが正しいのか、@の構成に敵なしという結果だ。@は、果たして究極の構成となるのか、@の奏でる音楽で十二分ということになってしまいXSD15はお蔵。時間の流れとともに比較する耳も衰えたのかもしれないのだが、自分の気持ち(耳)に正直にしていよう。

 以上、プリ 金田式真空管プリアンプ
     パワー 金田式FETパワーアンプ
2010.7.20


2020.04.12
レギュレーターを金田式に
このドライブアンプの電源は当初ピンク枠のLM350(取り外してトランスの上に置いてあるもの)を使ったもので間に合わせていた (あまりにもドライブアンプに失礼だった)
やはり金田式のREGを使わないと音が本物でない
REGはNo.203のdcamp.bizさん頒布基板が数年前に買い求めてあったのでこれを使う 終段は2SB600とした
No.203は2SB541を勧めているがこれは手持ちがない
黄色い枠のREG一式でどんな音を出すのか楽しみだ
なお、トランスはS.E.L 15V0.5A×2 ケミコンは4700μF50V ダイオードは31DF2






2020.04.21
ダイオードを替えた 31DF2からCree SiCのC3D02060Aにした
Creeの C3D04060A 600V/4Aというのもあるが2Aモノで十分として半値以上安いものにした
SiCの特性によりSBDなのに平滑電圧が31DF2より落ちる このケースで△0.3V
AC15V→平滑で無負荷DC24V→負荷時DC20.7VをREGで15Vにしている 0.5Aのトランスは起動時容量的に不足かも


こんな貧弱なトランスで出てきた音は・・・

だんだん欲が出てきてユニバーサル基板で終段はSiCのSCT2450KEならどうだろうと思い出した
トランスをAC20V程度は使わないと入出力電圧差が必要だから 病気が・・・

試聴
通称「飛行機のピム・ヤコブ」といわれるオランダ「フイリップス」のアルバム 「COME FLY WITH ME」ピム・ヤコブ・トリオ盤
これを聴いて驚いた
この盤には「凛々しくものすごい録音の良い盤」という印象があった 仲間内も異口同音なのだ
しかし出てきた音はなんと ドロドロとした良い意味で今まで聴いたことのないリアルさがあった
これは別の盤を掛けたのかと思うほどに今まで聴いていたものとはかけ離れた音だった
これはこの盤に限った出来事なのか? コロナウィルスが無ければすぐにでも仲間内にも聴いてもらいたいと思うほどの出来事だ
最後にはこれは一体どうなっているのか?と嬉しくて笑ってしまった!!




下の写真の上から
@SP-10Uそのもの
ASP-10U金田式ドライブアンプで駆動のもの
BヤマハGT-2000L
C左にTRIO KP-700
のプレーヤー達だがカートリッジはすべてDL-103にて同じプリで比較した
結果はAに勝るものはない
次にBかな
AはSiCのC3D02060Aに置き換える前の音だから 置き換えた今は雲泥の差かな?



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2001.03.23 1版
2001.03.29 追補
2002.06.05 updateやはり乾電池
2002.08.10 MC14528Bについて
2002.08.22 TC5081P