EMT OFD25
まずは感想(17.03.06)
一昔前から今まで私の中でレコードカートリッジについては、DL103・DL102が標準でありこれ以外のものは、拒絶していた感も無いわけではなかったし基金?も不足気味だった。
その昔は、私もMMが主流であり、所有のMCは唯一サテンM11だった。当時、昇圧トランスも不要で針も自分で取り替えられ、C/Pが高い商品として注目を集めていた。磁石が動くよりもコイルが動くことのほうがリニアリティが良いし電流も大きい。
ステレオカートリッジについては、MC10 Supremeも聴いたが、大きくは変わらなかった記憶がある。(現在は針を折ってしまい使えない。)
ところが、モノーラルカートリッジはなかなか比較する別物が入手できないまま時間だけ経過した。この2月にEMTの放送局仕様のものが手に入ったが、暫くは飾ってあった。なにしろ自重が17.6gもあるからDL102よりも数グラム重たい。ウェイトが足りない。針圧も5gというが測れない。1円玉5枚でようやくバランスをとる。カートリッジの接点が通常のものに比べ45度ずれている。これについては、ちょうどアダプター(1万円)を頂いたのでこれにて正常になった。(そうか、このアダプターの分も更に重たいのである。)
アームも3点支持ベース据え置き型の適当なものを入手したので、ボードに穴を空けずに任意のところにオーバーハングを気にしながら配置した。(このアームにはアース線がない。)
とにかく、何かにつけ手間のかかる特殊なものという感じがしていたから、飾ってあったのかも知れない。さて、EMTのカートリッジはモノーラルとしながらも4つの接点を持つ。マニュアルは無いから、右CHのコードをプリに繋ぐ。音が出たのでそれで止めておけばよいのに、左CHはどうなっているのかと、プリに繋ぐ。ミューティングSWをoffにすると、大切なスピーカーからバリバリととてつもなく大きな音が…。これはたまらないといきなりSWoff。古いが丈夫なスピーカーである。何事も無かったかのように悠然と稼動し続けた。(こういうときには、スピーカー保護回路が必須であるが、このアンプには付けてない。)
いよいよ音出しだ。音はあまり期待していなかったというのが正直なところである。聴感上は固体の出力レベルの差は2倍強あるが気にならないほどであった。
アルテック604Eから出てくる音の差には驚かされた。驚愕というべきか。シゲッティのバイオリンの息遣いはもともと良い意味で荒い録音のレコードではあるが、これが荒くではなく生き生きと聴こえるのである。良いものを見つけると元には戻れない。
DL102に比べ、ベールが何枚か剥がれたという感じである。DL102はモヤモヤとする感じがEMTではそのモヤが取れ、凛とするのである。端整な音である。
蓋し、価格がDL102の4倍強では、自分としては手に入れる気は全く無かったが、ひょんなことから、所有権が私に移転したのである。(果報は寝て待て。因果応報。)
テストデーター
EMTOFD25+特注アーム
DL102+グレースG−545F
SP アルテック604E+トゥイターパイオニアPT-R5
プリ 真空管式モノーラル No.154
FET No.159のプリ部(初段をN3954に変更)
パワー FET No.133 (ウーファー、スコーカー用)
FET No.130 (トゥイター用)
レコード モノーラル VANGUARD MX9032
JOSEPH SZIGETI バッハ無伴奏バイオリンソナタ 第2番イ短調 BWV1003
機種 | DL301II | DL-103R | DL-103 | DL-102 | OFD25 |
出力電圧 | 0.4mV | 0.25mV | 0.3mV | 3mV | 1.15mV |
再生周波数 | 20Hz〜60kHz | 20Hz〜45kHz | 20Hz〜45kHz | 50Hz〜10kHz | 20Hz〜30kHz |
インピーダンス | 33Ω | 14Ω | 40Ω | 240Ω | 24Ω(1KHZ) |
針先 | 特殊楕円針 | 16.5ミクロン丸針 | 16.5ミクロン丸針 | 17ミクロン丸針 | 25ミクロン ソリッドダイヤ針 |
針圧 | 1.4±0.2g | 2.5±0.2g | 2.5±0.2g | 3±1g | 5.0g |
コンプライアンス | 13×10-6cm/dyne | 5×10-6cm/dyne | 5×10-6cm/dyne | - | 12Nm |
質量 | 6.0g | 8.5g | 8.5g | 13g | |
YEN | - | - | 22,000 | 17,000 | 78,000 |
Simerst 2019.03.01 訂正 ※OFD25の質量に誤りがある 33gが正しい
アダプター追加で約40g
なお下の写真のものはSP用OFD65で37gだ
この秤が800円程度で買えるのだから ⇒Simerst 携帯タイプ ポケットデジタル スケール(秤) 0.01g-500g精密 業務用(プロ用)
針圧計として売っているものも1千円前後で買えるが5gmaxではDL-102SDの19gを計測できない
さらに変換アダプターを付けるから43gにもなる
ジャンパー(17.05.05)
OFD25の内部を見るとOFD65のようにRとLをR+とL−をジャンバーしていない。
もしかして、別のOFD25を見るとジャンパーしている。
これでは、前述のバリバリの原因がわかった。結構危ない状態であった。
OFD25
OFD65
EMT XSD15は汎用ア−ム用だが、通常のものよりアームが長いためバランスが云々といわれているが・・・。
EMT XSD15 (もともとは放送局グレードのTSD15を汎用化したモデル。)
型式:ムービングコイル(MC)型
出力電圧:0.21mV(±2dB)、1kHz、1cm/sec.
再生用波数帯域:20〜30,000Hz
内部インピーダンス:24Ω(1kHz)
推奨負荷インピーダンス:100Ω以上(へッドアンプ使用時)
コンプライアンス:12Nm
適正針圧:2.0〜3.0g
スタイラス:6μmスーパーファインラインソリッドダイア
自重:20.8g
トーンアーム:汎用ア−ム用
価格:XSD15 168,000円(税別)針交換価格/121,800円
戻る
2005.03.06 1版
2005.05.05 2版