ECC81(差動アンプ)真空管プリアンプ (C) Copyright 2001.ph7 All Rights Reserved


 これは本当に革命だ
 「オートオフセット電圧コントロール」回路(AOC)
 これさえあれば鬼に金棒とは良くいったものだ
 




AOCを付加したNo157アンプ写真とロールオーバーの説明
ECC81を差動アンプに使用した真空管プリアンプ。(No.157)
シャーシはアルミ式のままであり、Lアングル式には変えていない。AOC配置場所は、シャーシ上部。AOC用オフセット電圧調整VRも上から回すので好都合だが、Lアングル式に比べ配線が長めになる。


製作のポイント
 まず、アイドリング電流がずれてしまうから、TR1の3KΩとReの調整をしなおすことだ。
     AOC搭載前  搭載後
Rch   2.94KΩ  2.59KΩ
Lch   2.92     2.59
 これで所定の6mAが終段に流れることになる。多寡をくってそのままで調整していたが、なにかおかしい。それもそのはずアイドリング電流が0mAだった。なお、プリアンプのTr2.3のエミッター抵抗5.6KΩ→2.7KΩに取り替えること。
 電流制限用の2SC1775の耐圧が気になる。熱も結構なものだ。もっと耐圧の高い2SC4578あたりに登場願うこともどうか。しかし、2SC4578は入手難(2001.10頃)であった。そのため、A0C回路の2SC1775Aを2SC5460(TO126ISタイプ、800V、50mA)に置き換えてみた。

2SK97万能にあらず
 今まではK97を、何の疑問も無く使用していたし、それでうまくいっていた。しかし、今回は、AOC回路自身ののドリフトが気になり始めたのである。せっかくのオート回路だから精度を高めようとの考えから、当然K97の出番であると信じて当初使用した。どうもドリフトがあるのでおかしいと思い、取り外し測定してみると、右CHに使用していたものは、7.0mAと7.4mAが一つのパッケージに入っている。これはメーカーの許容範囲なのだろうが、私には許容範囲外となる。左CHは7.25と7.35mAであったが気になるので、両方とも2SK117の4.4mAベストペアマッチに交換した。それからというものは、終始ドリフトは5mAの範囲で収まっている。


トラブル
 ミューティングSWをOFFにするときに、出力にDCが発生する。原因不明でしばらく、あれこれといじくり回していたが、ミューティングSWがONになって落ちるアースをR・Lchとも共通としたら直ったかに見えたが、ゲインVRが0の位置でまた発生する。ゲインVRを少し回して10Ω程度の位置から上では、その現象は見られない。しからば、VRの端子1に10Ωのスケルトン抵抗でも付け足すかとも考えた。時間がたつと、今度は直っている。このような原因の特定できないトラブルが一番やっかいだ。何がなんだか分からないからだ。しかし、この付加回路は見方を変えると結構クリチカルということか。そこに予想の出来ないトラブルが潜んでいると思われる。
 しばらくは、パワーアンプに繋がずに監視しよう。
 ミューティングSWから落ちている右chのアースに問題があることが判明。左chのアースを共通にするとこの現象は出ないからだ。色々と2.3日経過して右chアース線を取り替えてみた。ハンダを外すときに何かしらきちんとハンダがのっていない感じがした。取り替えるまでも無くハンダをしっかりとのせると完璧である。
 しかし、今回の現象は改造前には現れていないことだったので不思議なものである。とにかく、なにかおかしいときにはアースやハンダを今一度、点検することだと思った。
 ところが、せっかく完璧と思って裏蓋もしっかりとネジをして、さて音楽でも聴くかと最終調整中にまた、DC電圧が発生した。なにやら、発振しているような感じだが、このAOC回路は1Hz以下のローパスフィルターだからそんなはずはない。どうも迷宮入りの感じがした。
 これはきっとAOC回路のアースは単なるアースと思ってはいけないのである。心してアース配線にかからなければならないことを思い知らされた。

おかしな発振の対処
 電流制限用の2SC1775を2SC5460に変えたのは、発熱が気になってのことだが、この対策で前述の原因不明の発振が、ぴたりと止まったから不思議だ。hFEが高すぎてこのような微妙な回路(アースが単なるアースではない。)にはトラブルの原因となるのか。

TR VCBO VCEO VEBO IC mA IB mA PC W hFE
2SC1775A 120 - - 50 - 0.3 400-1200
2SC5460 800 800 5 50 25 1.5 最小15



革命的だ
 ・・・と思うのは、ゲインVRの位置に関係なくDC電圧がほとんどゼロということだ。しかし、なんの苦労もなく突然完成したわけではないと思う。金田明彦先生のことだから、実験また実験の積み重ねがあったと思う。99年春ころからそんな動きがあったような気がする。




試作回路図 (基本はパワーアンプと同様)
AOC回路図

○指定のない定数は、2001.12No165の図3 AOC回路と同様。ただTr3.4は2SC1775AでもOKだ。
○Tr1.2の作動アンプは、2SK97よりも選りすぐった2SK117の方が特性的にも価格的にもFB(良いこと)である。
○入力のローパスフィルターは、手持ちの10μF無極性コンデンサーと150KΩの組み合わせでも0.1Hzのフィルターとなるからこれでも動作するがケミコンでは音に影響する。さりとて10μFのMKPQSは大きく高いから、やはり2.2μFしかない。金田明彦先生のパーツ選びにも当然ながら理があるのだ。

12AU7とピン互換のMT双3極管(本セッションと関係の無い球も載せているが単なる比較)

Type
Heater
(V)
Ebmax
(V)
Ppmax
(W)
mu
gm
(mmho)
rp
(kohm)
Ep(V)
Ip(mA)
12BH7A 6.3/12.6 300 3.5 16.5 3.1 5.3 250 11.5

12AU7/

ECC82

6.3/12.6 300 2.75 17 2.2 7.7 250 10.5

12AT7/

ECC81

6.3/12.6 300 2.5 60 5.5 10.9 250 10

12AX7/

ECC83

6.3/12.6 300 1.0 100 1.6 62.5 250 1.2



ムラードをシルバニアに(12AT7と12AU7)換えてみた (2002.03.09)
 写真の真空管は、シルバニアであるが、緑色のプリント剥げている。左が12AT7WA、右が6189
  シルバニア12AT7と6189
 ムラードの傾向は、フォーカスが甘い感じだ。クラシックではこれが好きだという方は、それでも良いが、私は気になってしょうがない。写真のシルバニアと、現用のムラードを取り換えてみた。単に差し替えて見たが、6189が結構な熱を持つ。倍程度の熱さだと感じた。これは、Ioの流れすぎである。計測すると11mAも流れている。
まず、アイドリング電流がずれてしまっているから、TR1の2.2KΩとReの390Ω調整をしなおすことだ。
      ムラード    シルバニア
 Rch   2.59KΩ  2.95KΩ
 Lch   2.59     2.95

このように両CHとも定数は変わらない。これでIoは5mA程度流れた。

シルバニアの真空管は、現在も製造されている。重厚でフラットな音が特色。WE、GE、RCAと並ぶ4大真空管メーカーの一つ。その品質には定評がある。現在は、フィリップスのグループの一企業となっている。繊細で落着いた、しかも躍動感溢れている音の真空管。

ついでに、イコライザーの球を下の写真左のAEGから、中央にある偽?のテレフンケンに換えてみた。音はシルバニアの音、つまりフラットアンプの傾向が強い音になった。キリッと締りのあるという感じである。

EF86各種3本AEG.Telfunken.GA


No.157トランス回路図 この外にヒーター回路がある
No.141電源トランス回路整流管方式




`99.12 No157 真空管DCプリアンプ 基板チェックリポート

 図12のイコライザー素子51KΩ、1500pF、820KΩ、5100pFを接続する7芯の配線漏れがある。ここを配線せずにしばらく聴いていた方がおられるとか。妙な音がしたはずだ。


トラブル発生
 Eiの真空管ピンが金メッキなるものを入手。12AT7EG、12AU7EGである。早速、シルバニアの緑色のプリントの剥げているものと交換。DC電圧も規定値なので、安心したのが良くない。半日もエージングのつもりでパワーONのままにしておいたら、左CH12AU7EGが飛んでいた。ヒーターが断線したのだ。通電後必ず励行するのは、球の温度を手で確かめる。相当熱いとアイドリング電流の流れすぎだ。確か、このときはそんなに熱くは無かったのだが・・・それで規定値の5mA程度だろうと安心したのが良くなかった。別な球に取替えアイドリング電流を見ると40mA。こりゃ駄目だどこかいかれた。
 しかし、飛ぶ前の状態でレコードを1枚程度聴いていたのだ。くわばらくわばら。


AOC基板写真


商用電源から・・・ (2003.08.08)
 当システムは、商用電源から直にエネルギーをいただくと、ハムのお見舞いにあう。しかし、いつかは安定化電源を持たない仲間内にも真空管プリアンプを持ってもらいたいものだが、商用電源からだとハムに悩まされる。
 そうこうしているうちに、WE404Aを100.105Vレギュレーターに採用し、好結果が出たとの金田明彦先生の記事を目にしてから、そのうちそのうちと考えているだけで1年半も経過してしまった。
 真空管は、WE404Aと代替のAmperex5847A( RF/IF amp= 9-pin MT Ppmax=3.3W Pc2max=0.85W Ef/If=6.3V/0.3A gm=13mmho rp=200kohm)を確保しておいた。
WE-404A-5847 WE-404A-5847の箱
 今年の夏休みに重い腰をあげて・・・、100Vレギュレータ基板を作り音だしをしたが、確かにブーンというハムは消えた。しかし、キィーンとかん高い音に変わった。ミューティングSWを思い切りパチンと入れると、キィーンを誘発する。そーっと扱うと何とか収まるが、何かの拍子に始まる。マイクロフォニックノイズのひどいものと思えばよい。真空管はAmperex5847A。WEの球に比べると作りは雑に見える。もしやと思いWE404Aに代える。まったく何事も無かったように奇妙な現象は収まった。
 いつも遠回りをして無駄遣い。はじめから本物をと、いつもいっていたのに、また反省。
 WE404Aでも、EF86のようにはいかない。シールドが無いから、球に手をかざすとハムが出る。天板を付けても穴から拾う。
 なお、+105VのレギュレータはEF86のまま、+100VのみWE404Aのレギュレータで十分ゲインは稼げるから、ハムノイズは消えた。

 そういえば、金田明彦先生の真空管プリアンプを持ち込んでの視聴会のことを思い出す。テレフォンケンの球は心地よいマイクロフォニックノイズを発する。それ以上に天板の穴からノイズ源を探してくる。困り果てたとき、誰かがテスターを天板のイコライザーの球の真上に置いた。するとどうだ、ハムはぴたりと止まった。それからというものは、真空管プリアンプの天板にテスターが必須となった?。テスター以外のものでも良かったのだろうが、なんともユーモアーな出来事だった。

Amperex5847A WE404A 
AmperexとWE

1年ほど前だが、1200yen、3500yenという値段だった。


基板を2つ掲載2004.02.16
詳細は後日・・・
イコライザー基板

http://ph7dc.but.jp/dc_amp/157AOCstandard.htmで紹介しているが上図ではなく下図に置き換え
※SE 5PFは真空管ソケットに付ける


フラットアンプ基板
※中央の※10Ωは左側へ移しているのでここを1目縮めて搭載している

見ずらいが10Ω側が6目盛りと成っているのが分かる

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2002.01.07 ただし、試作回路図はgifとした。jpgよりgifの2色で処理した方がなんともコンパクトである。
2002.02.07 真空管データ表追加
2002.03.09 真空管をシルバニアに取り替えて見る
2002.04.18 トランス回路追加
2002.12.24 トラブル発生
2003.08.08 商用電源から・・・