
ロック史上ライブ・アルバムの“名盤”と呼ばれる作品は数多く存在するが、その中でも文句なしに“歴史的名盤”として現在に至るまでその評価が揺るぎないものとなっている作品・・・それが本作である。
欧米では60〜70年代にかけてストーンズ、ツェッペリン等と肩を並べるビッグネームであった彼らも、日本での評価は驚くほど低かった。71年発表の、スタジオ録音盤として最高傑作といわれる「フーズ・ネクスト」でさえ76年頃には一時廃盤になっていたほどである。後年モッズ、パンク、ビート・ミュージック系のバンドが脚光を浴びる度にその“元祖”として日本でも注目度が高まり、現在ではほとんどの作品がCD化されているのは嬉しい限りである。
ピート・タウンゼント(ギター)、ロジャー・ダルトリー(ヴォーカル)、ジョン・エントウィッスル(ベース)そしてキース・ムーン(ドラムス)の不動のカルテットで65年にアルバム「マイ・ジェネレーション」でデビュー、後のパンクにも通じるパワフルなロックン・ロールで注目を集めた。
しかし4年後には単なるロックン・ロール・バンドではないことを証明するかのように大作「ロック・オペラ“トミー”」を発表、世界的大ヒットとなる。
その翌年(70年)に発表された本作「熱狂のステージ(ライブ・アット・リーズ)」ではドライブ感あふれる最高のライブ・パフォーマンスを披露し、史上最強のライブ・バンドとしての地位を確立する。
71年には前述の「フーズ・ネクスト」、73年にはロック・オペラ第2弾「四重人格」を発表、文字通り欧米では比類なきトップ・スターとなった。
75年に原点回帰ともいえるシンプルなロックン・ロール・アルバム「ザ・フー・バイ・ナンバーズ」を発表後、初めて3年のインターバルをおいて発表したアルバム「フー・アー・ユー」ではシンセ、ホーン・セクションを大胆に取り入れ新たなるザ・フーの姿に誰もが期待したはずである。
しかし、ここに取り返しのつかない悲劇が待っていた。キース・ムーンがドラッグの大量摂取により31歳の若さで他界してしまうのである。バンドは後釜として古くから親交のあったフェイセズのケニー・ジョーンズを迎え入れるが、2枚のオリジナル・アルバム(「フェイス・ダンスィズ」「イッツ・ハード」)を残して82年に解散。その後89年にリユニオン・ツアー(この時はケニー・ジョーンズの代わりにサイモン・フィリップスが参加)を行い、「トミー」のナンバーを全曲披露しているが、やはりキースあってのザ・フーであったことを実感せずにはいられなかった。
「ライブ・アット・リーズ」の中で強烈にぶつかり合う4つの個性・・・29年前のレコーディングにも拘らず古さを感じさせないこのサウンドをぜひレ・コード館のオールホーン・スピーカーでじっくりと聴いていただきたい。
(中野 亮)