
今から四半世紀前(1974年)、全世界で「エクソシスト」というホラー映画が大ヒットした。主人公の美少女リンダ・ブレアが次々と恐怖の闇の中に陥り、とても普通の神経では見ていられない程ものすごい作品であったが、そのバックで流れていた曲が“怖さ”を助長するのに一役買っていた。
この曲は実は映画のために作られたのではなく、前半イギリスで大ヒットを記録したアルバム「チュブラー・ベルズ」である。
今では航空会社をも擁するヴァージン・グループも、スタートは小さなレコード・ショップであった。1973年レーベルとしてのヴァージン・レコードを設立、第1回新譜としての4アイテムのうちのひとつが新人マイク・オールドフィールド(厳密には以前姉とのフォーク・デュオでデビューしているので、ソロ・デビューというべきか)の当作品であった。
彼の幼少期から内面に鬱積したものがストレートに出ている本作は当初イギリスで、翌年「エクソシスト」のテーマとして使用されるとアメリカを初め全世界で大ヒットを記録した。
その後彼は内面にあったものを全てこのアルバムで吐き出したかのようにテクノ、フュージョン、ディスコ、民族音楽といったフィーリングの作品を発表、常に前向きなアーティストとしての印象が近年は強い。しかしその前向きさが近年ヴァージンを離れてWEAに移籍した直接の原因とも言われている。確かに彼がいなければヴァージンも航空会社を持つに至らなかったであろうし、次々に誕生してきたヴァージンのビック・アーティストたちの存在もあったかどうか。もう少し彼の前向きな音楽性をレコード会社として尊重してほしかった思うのは私だけではないだろう。
彼は縛られるのが一切嫌なのだ。“永遠の美少年”といわれてきた彼が、音楽面でどこまで“進化”していくのか楽しみは尽きない。
(中野 亮)