ナッキーのこれだけは聴こう!

Deep Purple


このジャケットはアメリカ盤「Made In Japan」のものです。

 ブリティッシュ・ハード・ロック黎明期…1970年代初頭には後世に残る名バンドがぞくぞくと頭角を現わし始めた。レッド・ツェッペリン、ブラック・サバス、ユーライア・ヒープetc…その中でも当時日本での人気が最も高かったバンド、それが今回紹介するディープ・パープルである。
 76年に解散、84年に第2期のメンバー(第1〜第4期のメンバーについては後述)で再結成され現在もメンバー・チェンジを繰り返し活動中であるが当コーナーでは解散前までの軌跡、アルバム紹介を中心に進めて行きたい。
 第1期メンバーはロッド・エヴァンス(ヴォーカル)、リッチー・ブラックモア (ギター)、ニック・シンパー(ベース)、ジョン・ロード(キーボード)、そしてイアン・ペイス(ドラムス)の5人で68年アルバム『ハッシュ』でデビュー、当時はまだハード・ロック・バンドのイメージはなくクラシカルな要素を盛り込んだアート・ロックを演奏している。続く『詩人タリエシンの世界』『ディープ・パープルV』でも同一の路線をたどりまもなくロッド・エヴァンスとニック・シンパーが脱退する。
 ヴォーカルにイアン・ギラン、ベースにロジャー・グローバーを迎えた第2期は“ディープ・パープル黄金時代”といわれるほどクオリティの高いサウンドで世界的にブレイクしたラインナップである。
 スタートは第1期の延長、もしくは完結編ともいえる『ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ』との共演ライヴ盤であったが、次作『イン・ロック』は“ハード・ロック・バンド…ディープ・パープル”の出発点として高い評価を受けている。一気にこのアルバムよりギターがうねりだし、ヴォーカルがシャウトしまくるスタイルへと変貌を遂げたのである。次作『ファイアボール』は前作よりサウンドが落ちつき地味な印象を受けるが、明けて72年、この年こそ彼らの軌跡の中で最も光り輝いていた1年であろう。
 スイスのモントルーでレコーディングされ、彼らの最高傑作として名高い『マシン・ヘッド』(「ハイウェイ・スター」「スモーク・オン・ザ・ウォーター」収録)が春にリリースされ、さらに追い討ちをかけるように今回紹介する『ライヴ・イン・ジャパン』が年末にリリースされたのである。
 日本武道館、大阪フェスティヴァル・ホールにおける第2期メンバーの絶頂期のサウンドをあますところなく伝えている本作は当初日本のみでリリースされたが、欧米でも絶賛されたためジャケットを変更、タイトルも『MADE IN  JAPAN』として全世界でリリースされた。スタジオ録音盤では味わえないエモ―ショナルなプレイ満載の本作、特にオープニングの「ハイウェイ・スター」でのリッチ―のギター・プレイは圧巻である。
 このラインナップでの快進撃が長く続くであろうと誰もが期待したが、翌73年はメンバー間の不協和音がピークに達していたせいか超満員の聴衆を集めた再来日公演でもアンコールをキャンセルするなど後味の悪さを残し、同年リリースのアルバム『紫の肖像』もとても散漫な印象を受ける。そしてイアン・ギラン、ロジャー・グローバーの脱退へとつながって行くのである。
 ヴォーカルにデヴィッド・カヴァーディール、ベースにグレン・ヒューズを迎えた第3期メンバーでの第1作『紫の炎』では、若々しいヴォーカルと突っ走るギターとのからみでパワーが復活、“パープル新時代の到来”を予感させたが、次作『嵐の使者』ではリッチーのギターにメリハリが全くなく、このグループでプレイすることにイヤ気がさしていたことがはっきりと感じ取れた。結局リッチーは自身のバンド“レインボー”を結成するために脱退、後釜には元ジェイムス・ギャングのアメリカ人ギタリスト、トミー・ボーリンを迎え入れる。
 このミスマッチとも思える第4期メンバーでの唯一のオリジナル・アルバム『カム・テイスト・ザ・バンド』でトミーはリッチーに負けじと弾きまくってはいるが、元々ハード・ロック・ギタリストではないためパープルの中で“頑張っているな”との印象が強く、無理に弾いている感は否めなかった。但しアルバムそのものはメンバー全員が何とかしてバンドを建て直そうとの意気込みが感じられ、一般に過小評価されてはいるが重要なアルバムであると思う。
 翌76年グループは正式に解散を表明、さらにソロ活動に専念したトミーもドラッグの多量摂取により年末に他界するという悲劇も重なり輝かしき歴史に終止符を打った。
 84年の再結成以降は解散前のムードを残しつつも多くの若手メンバーを迎え入れているため、別のグループと考えた方がよいであろう。
 今から27年前に収録されたとは思えないほど音のバランス、録音状態とも良く熱気がストレートに伝わってくる『ライヴ・イン・ジャパン』…ハード・ロック史上NO.1のライヴ・アルバムと言っても過言ではない。
 ぜひレ・コード館のオールホーン・スピーカーでじっくりと聴いていただきたい。
(中野 亮)