
1960年代後半の音楽シーンにおいては、ビートルズが絶対的な人気を誇っていたのは周知の事実である。 特に1969(昭和44)年発表の「アビー・ロード」は前作「ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)」での散漫な印象とは裏腹に、完成度においてこれ以上のものはないと世間をうならせた。 しかしそれはビートルズ時代の終焉をも暗示していた。
その「アビー・ロード」を抜いて頂点に立ったアルバム・・・それが「クリムゾン・キングの宮殿」である。 当時はまだ“プログレッシブ・ロック”という言葉が一般的ではなかったが、後にデビューするEL&P、イエスらと共に一時代を築き上げた。
しかし、デビュー・アルバムが最高傑作となってしまった苦悩から、その後は活動休止、メンバー・チェンジを繰り返し、今なお活動は続けているが当時の面影は全くなくなってしまった。それでもリーダーである多才な奇人、ロバート・フリップの創作意欲は衰えるどころかますます盛んになり、80年代、90年代にも次々と問題作を発表している。
今年でちょうどデビュー30周年となるが、いつまでも目が離せない“キング・クリムゾン”である。 (中野 亮)