ナッキーのこれだけは聴こう!

beatles
これは青盤のジャケットです。

 今世紀のミュージック・シーンにおいて、空前絶後の人気を誇り、打ち立てた記録のほとんどが今なお破られずにいる・・・それがビートルズである。
 ジョン・レノンとポール・マッカートニーが学生時代に結成したジョニー&ザ・ムーンドッグスがそもそものスタートで、その後クォーリーメン、シルヴァー・ビートルズと名称を変更、結局ビートルズに落ち着く。
 当初のドラマーはピート・ペストであったが、EMIからのデビュー直前にリンゴ・スターにチェンジ、以降1970年の解散まで不動のラインナップとなる。
 デビュー・アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」では後のパンクにも通じる荒っぽさを持つ反面、しっかりとしたバラードも聴かせてくれ、若々しさと音楽性の幅広さの両面で際立っている。黒人のリズム&ブルース、ロックン・ロールの影響を受けていることがはっきりと感じられるが、その中でもしっかりとオリジナルティーが確立されているのはただものではない。
 その後、「ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!」「ヘルプ!(4人はアイドル)」と映画の分野にも進出、60年代中盤の音楽界においては“アイドル”と捉えられる向きも少なからずあった。
 しかし、音楽的テンションはしっかりしており、「ビートルズ・フォー・セール」では以前にもましてR&B、ロックン・ロールへの傾倒が見られ、特にバディ・ホリーのカバー「ワーズ・オブ・ラブ」は絶品である。
 以降「リボルバー」ではさまざまなスタイルの音楽的実験を試み、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」でロック史上初のコンセプト・アルバムとしての姿勢を打ち出した。このアルバムは、後に登場するプログレッシブ・ロックのアーティスト達に多大な影響を与えている。
 続いてリリースされたシングル「ヘイジュード」は7分を超える“大作”であると共に、そのハーモニーの絶妙さもあって今なおビートルズ一番の代表曲となっている。
 しかし、その後のアルバムではジョン、ポール、ジョージ、リンゴの“個”の部分が強く現れるようになり、「ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)」はまさにそのことを象徴する作品で埋め尽くされている。グループとしての意識が薄れていたのか、各々のソロの寄せ集めのような感じで散漫な印象は拭えなかった。
 だがこれで終わってしまうビートルズではない。事実上のラスト・アルバム(リリースは「レット・イット・ビー」より前だがレコーディングはこちらの方が後)「アビー・ロード」では円熟し切った“個”の結晶が見事に融合しており、4人の音楽的、精神的ピークを感じ取ることができる。特に終盤の「キャリー・ザット・ウェイト」〜「ジ・エンド」と続く4人の大合唱はいかにもビートルズ最後の“共同作業”といった光景が目に浮かび悲壮感すら漂わせている。この時期が4人最後の“華”となり翌年の解散へと至る。
 60年代の終焉と共に自らの活動にも終止符を打ったビートルズ。彼らの影響を受けたミュージシャンが70年代以降続々と登場する。まさに“ロックに市民権”を与えるに至らしめた功績は今後100年たっても忘れられることはないであろう。
(中野 亮)