一筆啓上・・・近況報告19


Subject: 近況です。

ph7様、またまたお久しぶりです。
連休中いかがお過ごしですか?
西日本の村上です。

6C33C-BパワーIVC(6月号?)興味あり 、との事、当方も期待しています。
木箱入り2箱もストックしてて、宝の持ち腐れです ^^:)

さて当方、凝りもせず人気のない(?) MJ 2014/8-9月号(No.233)のOPT付き真空管シングルIVC(終段300Bではなく、WE421A)を作っちゃいました。

このアンプ、いったい何人の人が実際に作ったのだろう?
(確かMJで、UV-211Aで制作された方がいらしたような・・・)
何故、WE421Aかというと・・・
大昔、大阪の二宮無線がまだトランスを扱っていた頃、211Aシングルアンプ用のトランスセットがあまりに重く、電車を乗り継いで徒歩で死にものぐるいで持ち帰ったこと、これまた大昔、神戸三宮のサンセイエンタープライズで211Aを2本、訳も分からず大枚をはたいて購入したことが懐かしく思い出されます。
その後、結局、+B電圧の怖ろしさに怯えて、作る意欲が失せておりました。
現在も押し入れの奥に新品のまま眠っております。

で、UV-211Aは置いといて・・・
以前に 「MJ売りたし」欄で入手した TANGO XE-20-600S を何とか利用できないかと常々思っておりまして、さらにこれまたMJにて最近譲って頂いた、数本のWE421Aが有りますので、どうせなら 6C33C-B では無く、これを使ってみようと無謀な計画で始めました。
当方、高電圧に触れてのビリビリは懲りております。この球ならたかだか+200Vなので・・・

もし、このアンプをこれから制作する人がいらっしゃれば(いないでしょうが)、何かの参考になればと思い、ご迷惑で無ければ当方の経験した苦労話に少々おつきあい下さい。

素人なりに特性図をじっくり検討して、トランスの二次側4Ωを8Ωに読み替えて、
421A片ch1本当たり1.2K負荷でどうかな、と思案しました。
なるべお金をかけないで、コンパクトにまとめようと考えましたのでこの複雑でやっかいな電源部は、手持ちの中古トランスを組み合わせて必要な電圧を確保できないかと苦心しましたが、
結局橋本トランスの 高価なPT-310B を購入してしまいました。

C3gは10本購入してあって、初段と2段目カソードフォロアの選別用に一応測定しました。
WE421Aは譲って頂いた方が丁寧にIpを測定されていました。

アンプ部はほぼ金田先生の回路図通りで苦労しませんでしたが、電源部が一筋縄ではいかず、てこずりました。
電源構成は、原案だと初段の上下と2段目の+電源、終段の+B電圧の計4種のRegulatorが必要ですが、
421Aのカソード電圧を+260V、421Aの+B電圧を+200Vに設定すれば金田先生のUV-211A作例と同様、初段のC3gに460V(200V+上乗せ260V)供給できる計算になり、Regひとつ減らせてかつゲインも稼げると考えました。

整流回路のSicダイオードは電源ON時の突入電流に弱く、最初のSWオンはいつも緊張しますが、
今回は電解コンデンサの容量が少ないせいか、とぶことはありませんでした。

しかし、マイナス側RegのSic MOS FETは当初記事の如く、SCT2450KEでいけると思ったのですが、突然昇天(GS間短絡)しましたので、少しIDの大きな手持ちのSCT2160に交換しました。

金田先生は終段の+B電圧のみタイマーで遅らせていますが、私はさらに421AもC2gに遅れて通電した方がより安定すると思い、デュアルタイマー (30秒と60秒)を採用しました。
初段マイナス側の-10V、421Aのカソードに繋がる260V(-260VRegの0V側)と上乗せ+200Vの3つのRegすべてに、新方式の出力電圧ON/OFF用のTrを配し、さらに421Aの+B電圧シャットダウンには+200VRegの出力の後段に、MOSFETの低ON抵抗を利用した制御回路(従来型の2SKと2SJを使ったもの)を応用(私はTK62J60Wを使いました)
して繋げました。

ここで最大の失敗をやらかしました。
タイマー部に供給するの+6V(3端子Regを使って安定化)と、初段マイナス電源(-10V)の供給源として、6.3V-2.5A回線を4倍電圧整流して一石二鳥、我ながらうまく解決したと思いましたが、おきな落とし穴があったのですね。
この6.3V-2.5Aの巻き線は初段のC3gのヒーターを兼ねてお り、片一方はグラウンドアースとなります。
ちなみに、2段目C3gと421Aのヒーターは二本ずつを直列にして、6.3V-6.6A(2回路)の直列12.6Vから供給しています。
というのは、私はこれらのヒーターカソード耐圧(260Vにもなる)がどうにも気になるので、ヒーターバイアスを掛けています。
(金田先生がC3gのヒーター電圧の供給は、R、Lchに振り分けるのではなく、初段と2段目どうしで共通、と書かれていたのはこのH-K耐圧の観点からと納得しました)。

さて、失敗というのは記事を眼を凝らして確認しなかったからなのですが、
ph7様はタイマー回路の電源部の0Vはどこに繋ぐのかすぐに判りますか?
ここはグランドではなくコモンアースに繋ぐのが正しいですが、私のは-10V、-260VのマイナスRegと+200VプラスRegすべてをまかなうタイマー回路ですから何ら疑問をもたずグラウンドアースに繋ぎました。つまりタイマー回路の0Vは、-10VRegと共通の4倍電圧整流の中点ですから、
グランドレベルになるのは当然ですよね。
結果、電源部からきな臭いにおいと共に煙が立ちました。最初はどこの部品が焼けたのか判らず、悩み ましたが 、+200VRegの出力ON/OFF用のトランジスタのベースに繋がる10kΩのニッコーム抵抗(1/2W)と分かり、どうしたらいいのか判らず途方に暮れました。

考えること数日間、ついにフォトカプラ PC725V0NSZXF(300V耐圧 )でアースラインを分離できると気づき、何とか解決しました。
LMC555と74HC4040の誤動作にも困りました。
調整中に、電源電圧を測定しようとテスターのリードを各Regの出力部に触れたとたん、タイマーが再起動してシャットダウンするのです。多分、ノイズが悪さしているのだと思います。これは、今でもたまに発生します。
でも、デュアルタイマーは上手く作動しているようで、一応成功です。

さて、何とか完成、となりました。
今はテスト期間で、本家WE421Aの露払いとしてGEの5998Aが刺さっています(かわいそうに)。
Ipはいきなり100mAに設定しました。
電流伝送方式でのゲインの測定方法がいまいちよく分かっていないのですが、どうも10倍を切るようです。よって、当面無帰還で行きます。
最大出力はたかだか数Wだと思うので、測っていません。
電流伝送、と言っておきながら、入力部には1kΩのスケルトンを配しています。

さて、試聴ですが、当方、SPシステムは大型4Wayマルチなのでどの帯域に使おうか迷うのですが(何を偉そうに!)、とりあえず昔作ったフォステクスD-58があるのでこれに繋ぎました。
ハム音は、このフルレンジSPに耳を近づけると僅かに唸る程度で、すべて交流点火にしては、満足、です。
オーケストラはボリュームを上げるとうるさい感じ、女声ボーカルはしっとりと絹の肌触りです。
当方、シングルアンプは初めてですが、世間でよく言われる、シングルアンプの独特な魅力、
というのはあまり感じられません。いつもの金田式の音だなあ、という感じ。
WE421A SEPP OTLとの比較が興味あるところですが、一方はプッシュプルOTL、こっちはシングル無帰還かつ貧弱な出力トランス付き、違いがわかってどちらかが(?)嫌になるのが怖くてやってません。

では〜。

村上


村上さま
北海道はまだまだ寒くて朝7時の外気温は+3度でした。そろそろ二十間道路の桜も満開に近いはずですが、混雑するので近くでは有りますが、観には行きません。行くとしても早朝混雑しない7時前に流す程度でおわります。

近況、本当に楽しく拝見致しました。早速、当方のhpにアップさせていただきます。実は、私もWE421Aを4本ストックしていまして、10年ほど前11千円/本でした。金田先生の記事に421は一度は聴いてみるべしと・・・あったか、言われたか記憶の底に残っていまして、確保だけしていました。販売店等に言わせると電極間が狭いので逆さまなどして調整するとスパークするとか驚かされていました。(金田先生が421を多用して自己のマルチアンプとしても鎮座していたころだが、聴けばWEの良さは判ると話していたこともあった。そうそう、刻印が緑色だったとか等も、さらに試聴会でスピーカー切替器を音量MAXにて切り替え421を飛ばした輩がいて参ったとか、色々な話を思い出します。)

以前にも触れましたがOTL以外は経費高になるのと、ほとんど製作したことが無いため苦手な分野です。なによりも100Vを超えるものは拒絶反応が出てまいります。
金田先生、MJ次号6C33C-BパワーIVCはどのような調理をされるのか楽しみにしております。こちらの球も保守用も含め少し残っていますし、作るとしてもモノーラル用でして片CHのみで済みますから、気楽にトライできそうです。ただ、トランスが手持ちのもので足りるかが一番の気がかりで問題でもあります。

タイマー回路の電源部の0Vの件は、精査していませんが+100Vのレギュレータと同じところから取るのかと思います。色々な電源が込み入っていますので、少し頭を整理しないと、高い山から低い山を見るから・・・云々の境地(プラスから見るとグランドでもマイナスから見るとプラス)になりそうです。

74HC4040の誤動作の件は、私もNo.239のレギュレータで同様のことが起きています。テスター棒を触れなくとも他の電気回路の電源ノイズでたまに作動します。デジタル回路ですからパスコンが足りないかもしれません。昔は、あちらこちらにセラミックコンデンサーを多用したものです。

前回のメールの中で、電流伝送方式パワーIVCはいつ聴けるのか自問自答をしましたが、SCT2450KEのようにデバイスが安いと案外と早くクリヤーできるものだと実感しました。今のところ、No.239の安定度といい、音といい文句はありません。最近は、モノーラル装置でしか音楽を聴かなくなりました。ステレオ装置の音に不満があって灯を入れていません。ステレオ装置もこのNo.239で聴くと良いだろうなとは思うものの、気乗りがしないままです。何かのきっかけがあれば一気に取り掛かるのでしょうが、パワーIVC基板3枚とCHフィルターとお気に入りのNo.221プリまで製作するのは、少しひんどいというのが先に出ます。

金田アンプ、一体どれ程の方々が製作されているのでしょうか。ROMとて勤しんでおられる方も多いでしょうから、ネットで把握はできませんが、製作者の裾野を広げる見地からは、MJが窓口開設し、記事の訂正やら質問コーナーでの疑問解決をすべきでしょう。そうなると当然金田アンプに限定されないでしょうが、MJの将来のためにも変わらないといけないですね。CQ誌・TR技術誌は製作基板も付録で付けることもあります。MJも金田アンプの基板を付録に付けることも良いでしょう。
(プリント基板といえば、著作権の関係からかMJ発表の配置のものは見たことがありませんが、製作するときやあとからチェツクするとなど非常に苦労します。下手に出来あえの基板に手を出さないのが良いと分かった次第です。)

今回の村上さんのレポートが同類の製作者のヒントや意欲の増進に繋がることを祈りつつ・・・

ph7 2016.05.01

ps.
10年も以前に求めたWE421A



何かのきっかけに思い出しては眺める今回も村上さんのメールがきっかけだ しかし良いフォルムだ

2016.05.07
OPT付き真空管シングルIVC(WE421Aタイプ)
タカチのケース、OS49-32-23(本体)とOS199-32-23(電源部)に収まりました。結構、コンパクトでしょ?真空管の放熱孔の穴開けに自信がなかったので、門田無線で購入したソケット用サブシャーシ(皮むきしたC3gにはUXシリーズがぴったりでした)を使いました。C3gの落とし込みは、記事のごとくサンハヤトの穴あき基板ですが真空管ごとに分離しました。WE421Aとの背丈のバランスが悪いですが、気にしない ・・・ ^^;)配線の導線しか考えずに配置したので、Western Electricの文字が後ろ側に・・・これも気にしない ・・・ ^^;)上面にIp測定用とバイアス値を測定できるように、端子を出しています(色が下品ですね)。電源部の前面は、LEDと電源SWのみで、いたってシンプルですが、タイマー回路を凝ってみました。三色LED(アノードコモン)を使って、30秒後と60秒後に赤の点滅から青の点滅に変わる様に考えてみましたが、おかげでNAND IC(74HC00)を三個も使う羽目になってしまいました。今から考えると、AVRでちょこっとプログラム(私はBASCOMしかできませんが)したらと良かった思いましたが、まあLogicの頭の体操になったかな、と前向きに ・・・ ^^;)では、よろしくお願いします。



300Bの音も気になるところですが、421のフォルムは良いですね。真空管アンプのパーツはよく分かりませんが、ソケット用サブシャーシなるものが使い方によっては非常に便利ですね。大変参考になります。

ph7 2016.05.07