一筆啓上・・・近況報告15 NO.131 6C33C-B DCパワーアンプのノウハウ



初めてメールさせていただきます。

 「NO.140 6C33C-B 真空管DCパワーアンプ製作記」のホームページを楽しく拝見させていただき、小生が悪戦苦闘した日々を懐かしく思い出しております。
製作記の中で
  ひょんなこと(いつだったでしょう)から金田式DC アンプの魅惑的な音のイメージによって、長い長いタイ ムトンネルの世界へと入り込むこととなる。(トンネルの良いところは必ず出口があり、そして明る いという事だ。)
と記されているように小生は友達の話が切っ掛けになり、そんなに多くではありませんが金田式DCアンプを製作してきました。

 電池式のパワーアンプおよびプリアンプを作りそれで満足していましたが、1993.12月「NO.131 6C33C-B DCパワーアンプ」が発表
され、非常に興味を持ち…なぜ興味を持ったか、それは真空管アンプにも関わらず回路が非常にシンプルだったから…これを作ろうと思ったわけです。しかし、NO.131 6C33C-B DCパワーアンプは何故かしらプリント板の実装図が示されておらず、実装図から設計
しました。初めての真空管アンプを作る身としては今から思い起こすとそれは非常に冒険だったのだなと思っています。
ホームページを見せていただいてあらためてNO.131 6C33C-B DCパワーアンプを製作してもう10年になるんだと感慨深いものがあ
ります。

前置きはこのぐらいにして貴兄は
 「初段も球という記事もあるが、安定度を気にして常時監視 メーターと睨めっこという精神的拘束は免れないと思う。
 5755は安定している球だから心配は無いとは思うが・・・、 苦労や手間を惜しまないところが楽しみになればもう金田病。」と言われているように「苦労や手間を惜しまない」ところが金田式アンプのファンでしょう。
「NO.131 6C33C-B DCパワーアンプ」を製作し調整していく中で得たことは以外にドリフトが少ないと言うことです。
ただ、ドリフトを少なくするための管理が大切と思っています。
NO.131アンプはSWを3つ設けています。SW1:ヒータ用、SW2:電圧増幅段用、SW3:出力用の3つです。
このSWを入れる時間管理が大切です。
小生はSW1:5分→SW2:5分→SW3と言うように時間管理しています。電源を入れる度にこれを繰り返していくとドリフト電圧が±0.1V位に収束するようです。

 NO.131アンプではインラッシュカレントを防ぐ回路は搭載しておりません。10年では週6時間で40週として240時間、10年で2400時間、この半分が実働時間としても少なく見て1200時間動作、すなわち200回インラッシュカレント防止回路なしで無事故・無故障です。

オフセット調整について
  「オフセット調整VRをケース裏からするようにしており、 難儀しているのを見ていた。これには理由があってのことで 逆さまにして調整すると元へ戻したときに狂いを生ずるとの ことなので、私は上から回せるように基盤の裏にVRを取り 付けて、シャーシー表面に調整穴を空けている。
と記されています。小生はシャーシの天板にVRを取り付けており上部から調整できるようにしており重宝しています。

さて、電源のオフですが
 「電源をオフすると、オフセット電圧によりウーハーが、 バフーッと0.5cmほど前後する。ああ、生きているなー あ・・・と、もう何年もこれに慣らされていたと思っていたが、 やはり心のどこかで気になっていたのだ。」
とされていますが確かにそうですね。
小生は金田式アンプの考え方に違反して、出力に2回路双投スイッチ(OUT SW)を入れています。
SW1〜SW3まで入れて出力が安定するまでOUT SWをダミー側に倒しておきます。ダミー側には50Ω2Wくらいの抵抗を入れておきます。
十分に出力が安定したらOUT SWをスピーカ側に倒します。
電源オフ時はOUT SWをダミー側に倒します。そしてSW1をドンと切ります。これによりスピーカに対する心配が全くありません。

最後に小生のシステムは
  カートリッジ:DL103
  Pri Amp:NO.145 DC Pri Amp
  Main Amp:NO.131 DC Power Amp
  スピーカ:LS3/5A
です。スピーカにロジャースのLS3/5Aと非常に小型のものを使用しています。

この組み合わせで小型スピーカの音かと思うような低音が出てくるのです。金田式アンプでは、大きいスピーカの方が音に余裕があってよいとは思いますが小型スピーカにこそその威力を発揮するのではないかと思っています。
特にチェロの音は絶品です。バッハの無伴奏チェロ組曲第3番をシュタルケルの演奏で聴くときそれはまさに幸福な時間です。

では


yasuo OKAさま

 はじめまして、楽しい楽しいメールをいただき感謝申しあげます。ph7といいます。
当方、HPのメンテナンスをここのところ他に気をとられ気もそぞろIBMThinkPad560のヤフーオークションで2カ月ほど寄り道をしていました。

 6c33c−bのパワーアンプは、傑作だと思います。
仰せのとおり、シンプル。これなら作れる?と勘違いさせるアンプ回路でしょう。
インラッシュカレントについては、金田明彦先生は全く気にしていない様子。
とすれば、インラッシュカレントを気にされる輩は何を根拠に議論されるのか少し分らないところであります。
no.131は、結構微妙なアンプと聞いてはいますが、使った事がありませんので、コメントは出来ませんが、結構なドリフトがあるようなことです。
 しかし、メールによると使い方次第では、安定しているご様子。
当HPの一筆啓上で中村政弘さんのメールを紹介していますが、熱害によるアンプの破壊が発生している様子です。ファンが効果的なのは実証済みですが、yasuoさんはどのような熱対策をされていらっしゃいますか?。
スピーカー対策は、最近の記事にあるようにケミコンをショートする方法を取っていますが、気にはなるところです。
swで切り去ることは完全ですね。sw接点のロスは気にならないところでしょうから完璧なものと感心いたします。
今日は昼からレコードを聴いていました。私も好きなものにピエール・フルニエの無伴奏の3番がリアリティさといい最高です。身が引き締まる思いです。
 ls3/5aスピーカーは取扱が少し難しいものではと思いますが、インターネットでも高値で取り引きされています。
シュタルケルのバッハ無伴奏セットものが3万円とかの世界です。良いものは高いですね。
 この頃、swオンで即、聴けるFETの新しいアンプもどうかと思い、2SK2554を使い製作しようと考えています。プリは、YASUOさんと同じNO.145もありますが、NO.157を主に使っています。
 モノーラルレコードは、モノーラル専用のシステムで聴いていますが、音の厚みは格別です。

 なお、メールは他の方に参考となるものは原則公開させていただいています。
yasuoさんのメールも多くの方の参考になると考えますのでよろしくお願いします。


早速のお返事ありがとうございます。嬉しく拝見いたしました。

1.インラッシュカレントについて
  電源投入時のトランジェントな領域を考えると、電源トランスの 2次側のL分のインピーダンスが増加して電流制限するので全く気に する必要はないと思うのですがどうでしょうか。
2.熱対策
  小生は熱対策として何もしておりません。HPを見て熱対策が必要 かなと思いだしたようなわけです。
 ただ、NO.131アンプでは変に熱対策すると熱流束のアンバランス により、初段の差動増幅段がアンバランスになるのではと恐れて いるのも確かです。この部分が半導体なら楽なのでしょうが。
3.バッハ 「無伴奏チェロ組曲」
  バッハの「無伴奏チェロ組曲」がお好きなようですね。小生は 朝食時にはTVをつけず、音楽を聴いてから会社に行きます。
 この組曲が好きで1週間に一度は聴いてからということになります。

ではまた


 1.インラッシュカレントについて
  突入電流にてリレーも焼けるでしょう」との記事がMJ98.11 p60にもありますが、そんなことはないのです。
 お説のとおりかと思われます。金田明彦先生は丈夫な球だから・・・と

 2.熱対策
 たしかに、ファンの位置を、5ミリ変えてもDCは変動します。ただし、ファンをあてての調整を取り直すことで懸念されていることは解消されると思います、なにせ大変な熱ですから・・・。

 3.バッハ 「無伴奏チェロ組曲」
 大事に聴いていますので、チリッ、ともノイズはしません。本当に好きな1枚です。

 そうそう、本日オーディオアクセサリーを発刊している音元出版からanalog2が送られてきました。P94にジュリー・ロンドンのオリジナル盤に対する思いが書いてありました。
 私も探してみようかと食指が・・・。
ではまた



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2003.05.03 1版