NPN TR hFE測定回路
いざ手持ちのTRのhFEを測ろうとしたが
テスタに付属のものは、どうも正常な動作をしないようだ
それでは簡単な回路でおおよその値を見れれば良いと
考えるのが自作の良いところだ
hFEは、直流電流増幅率といってベース電流(IB)に対するコレクタ電流(IC)の増幅率のこと。簡単な回路を組んで、動作中のベース電流(IB)とコレクタ電流(IC)を測定し、その比を求めればhFEだ。
ベースに560KΩの抵抗からIBは約0.01mA流れる。
小型TRだと、hFEは30〜500程度だからIBを0.01mAとすると、ICは0.3から5mAなのでテスタのところに1mAの電流計を挿入しダイレクトに目盛りを読む方法もある。この場合hFE100までしか測定できないので電流計とパラに100Ωの半固定抵抗でフルスケール5mAにすればhFE500まで測れる。
昔はデジタルテスタなどという便利な道具は無かったので、このようにメーターを工夫して活用したものだが、今はデジタルテスタのDCmVレンジで直読できる。ただし、この回路では出た数値を10倍する必要がある。
560KΩを56KΩとすると出た数値をそのまま読めて良いが、ICが約10倍になるので下の表のように答えも多く出る。
ベース抵抗の違いによる表示数値の相違 表1
R | IB | IC | hFE | ||
1 | 56KΩ | 0.1 mA | 14.4 mA | 144 | IBは計算上0.097mAだが表示数値を直読すべく0.1mAとした |
2 | 560KΩ | 0.01mA | 1.18mA | 118 | IBは計算上0.0098mAだが表示数値を直読すべく0.01mAとした |
10年もならないが、とある店から買ったC959。当時測定値の付いたペア石のデータと簡易測定器の表示
コレクター電流などが異なるので誤差がある。温度でもかわる。
ペア石について
当時、hFE95ということで10数組ペアなるものを買った。以下は、hFE95だったはずだが・・・
計測するとバラバラである。これはICが相当少ないことによるもので、表1の1方法だとhFEは違っても
違うなりにペアがとれている。
今回の方法では、5パーセント以内のものは2組だけだ。
表1の1方法が、プリアンプ用(一般的に終段に8mA程度を流す。)の選別としては適当だ。
なお、Rを5.6KΩに変えてもhFEが大きく出るだけで、表2のようなばらつきにはつながらず、表3の実測例のようにそれぞれhFEが20アップした。
表2
NO | ペア1つ目のhFE | ペア2つ目のhFE |
1 | 108 | 104 |
2 | 109 | 95 |
3 | 114 | 99 |
4 | 114 | 110 |
5 | 117 | 101 |
6 | 118 | 104 |
表3
R | ペア1つ目のhFE | ペア1つ目のhFE |
5.6KΩ | 137 | 138 |
↓ | ↓ | ↓ |
56 KΩ | 157 | 158 |
2020.07.12
2SC960のhFEをチェックしているが右のテスターの内部は上の回路のようになっているかと思われる
左のバラック回路の電源は可変できるようにしてhFE127になるように電圧を調整すると5.15V前後
5.15V-0.6V=? ベース〜エミッタ間電圧の0.6Vより多いようだがテスターに合わせるとこうなる
なお960のベース〜エミッタ間は0.58V
2004.04.10 1版