HARBETH HL5

  2013.09
 


つい数ヶ月前、ハーベスなるスピーカーに興味を持った。聴いてみなければ良さはわからないから、ジャンクでも良いから、入手し直して聴くことにした。
人生にはうねりがある。つまり、波である。現状から逃避したいという願望。別のものにすがりたいという思い。
3wayマルチで聴いていても、もっとシンプルにまとめたい。これは、年齢とも関係がありそうだ。年とともに大きな重いものは敬遠しがちになるからだ。
モノーラルでネットワーク式なら、アンプも1台で足りるから、製作も容易だ。プリも片チャンつくれば良いのだから、聴くことに没頭できる。(しかし、そんなには聴かないものだ。)
しかし、そのうち、もとに戻ると思う。やっぱり口径の大きなスピーカーは迫力があるとか何とかこじつけて・・・、であるから、なんと我侭なことか。

さて、手元のHL5を解剖した。

 

内部は、結構吸音材が・・・金田アンプでは、吸音材はすべて除去するのだが、とりあえずオリジナルのままで聴いてみる。

低域には、TPXコーンを採用した20cmコーン型ウーファーだ。
高域には2.5cm口径のアルミハードドーム型トゥイーターを採用。



スピーカー接続はご覧のとおり圧着端子によるもので、心許ない限り。上のネットワークも含めて、ハーベスサウンドの一部?
ウーファーの+−の端子カラー等はもちろん記号も付いていなから、はじめに接続されていた状態を信じてマジックでマーキングした。(後刻、乾電池試験にて合致していることを確認した。乾電池の+とスピーカーの+が合えばコーン紙が前に出るから分かるが、ツィーターでは難しい。)ツィーターの方は、ユニットを外さなければ確認できないため、はじめの接続状態のままとした。





接続には、良く磨いた上でダイアトニックPROを塗布してみる。ペイントされているような赤い丸が+側を現しているのか?


割れている箇所には、色々と思案した挙句、写真にあるエコフテープ(自己融着テープ)で裏打ちした。はじめは、接着するのか?と思っていたが、時間とともにコーンに馴染んできた。さらに、シアノアクリレート系のボンドを割れ目に流した。
古いウーファーだが、エッジに破れはないのが救いだ。


ウーファーを外すときにネジ1本の頭をねじ切ってしまった。それでも残りをなんとか外し、右に見える手持ちの少し短めの頭の部分が少し小さなネジに変えた。元々ののネジはISOネジを使ってい るのだが、頭に丸い小さな凹みは無い。
下の木ねじは、スピーカ裏板を止めていたもの。左の線材は、バイワイヤ対応端子に付いていたものだが、適当に線材を捻ってあった・・・私は、内部でダイエイ電線30芯で繋いだ。



エコフテープも大分馴染んできた。


右はBOSE301のウーファー(エッジが破れていたので剥がした)。磁気回路は似たようなものだが、ハーベスの作りは丁寧でしっかりしたものだ。




ツィーターユニットを外そうとしたら・・・パネルに埋め込みのネジ受けをバッフル側からポンチで叩いて取り出し、穴跡を利用してビス止めとした。


ツィーターの極性が気になって、ユニットを外すも、又もやネジが硬くてネジ2本の頭をねじ切ってしまった。あれもこれも、ジャンクなHL5だからできる所業だ。そして、外したユニットを確認すると、+-の記号が刻印されていた。(赤黒カラーマークは自分で後から付けたもの)はじめに接続されていた状態は逆になっていた。どこかの時点で、誰かが逆接したのだろう。そういえば、途中で試聴したときに音のまとまりがおかしい感じがしたのは、このせいだろうか。しかし、メーカーによっては逆接することもあるから、本来の仕様がどうなのか調べる必要があるのだが、2wayではそれはないだろう。確か音研の3wayの中音が逆だったか?うろ覚えだ。


Harbeth Monitor HLのネットワーク図があった。ウーファーが逆接だ。基本的には2wayの理念は変わらないとすれば・・・。私のHL-5はどのようにすれば良いのか?
以下は http://home.att.ne.jp/delta/myrobalan/harbeth.html から管理者承認のもと引用させていただきました。ネットワークの写真や文章の続き等は引用先を御覧ください。
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回路はツイーター側18dB/oct、ウーファ側12dB/oct の組み合わせスロープ逆相接続で、ツイーター側にはレベル調整の抵抗が入っておらず、ウーファ側は極細の線で巻かれた鉄芯入りコイル・・・
   
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以上、「フェブラリーの Audio 迷路」さん、ありがとうございました。


HL5のネットワークは、もっと混みいっている。今後、マルチ駆動も視野に入れよう。
さて、3つのスピーカーを切替器にて切り替えながら聴いてみた。


  3つのスピーカー試聴記 No.217プリ、192パワー・アンプ カートリッジDL-102

ダイヤトーン610DB
 これ単体で聴いていたときは、良く鳴るなーあ、と感心したものだ。能率が良いのだろう。301よりも好きだった。特に、ボーカルは魅力的に謳っていた。ただ、 少し、ビックマウス的なところもあった。ところがHL5を聴いてしまうと少しジャカマシイという風に変わった。610のシングルコーンのまとまりさえHL5にお株を取られて しまった。パイオニアS922のエンクロージャーに入れ容積もタップリと取ったのだが・・・、大きくて余してしまった。

ハーベスHL5
 音圧は他のスピーカより少し低い。しかし、音のまとまりという点では、最高ではないか。気持よく聴ける。これが、皆が支持する理由なのか。納得である。バランスが非常に良い。楽器を良く知り尽くした製作者なのか。

BOSE301
 高域のレベルが高いのか、嫌な感じが耳につく。低域と高域がバラバラという感じだ。混ざり合っていない。レベル調整が必要だが、PAという域を出ていないな。(ボーズは能率を公表していない。)

以上は、何れも個人的好みの見解なので失礼の向きは容赦願いたい。

 
    2013.09.27

ハーベスHL5
\180,000(1台、1988年頃)以下は、オーディオの足跡から引用
方式 2ウェイ・2スピーカー・バスレフ方式・ブックシェルフ型
使用ユニット 低域用:20cmコーン型
高域用:2.5cmドーム型
再生周波数帯域 50Hz〜20000Hz±3dB
クロスオーバー周波数 2000Hz
出力音圧レベル 86dB/W/m
インピーダンス
最大入力 100W
外形寸法 幅325×高さ640×奥行310mm
重量 17kg
別売 スピーカースタンド(1台、\19,000)
 


ダイヤトーン610DB
\6,500(1本、1983年頃)
方式 シングルコーン型フルレンジ
口径 16cm
インピーダンス P-610DA:16Ω
P-610DB:8Ω
定格入力 7W
最大入力 20W
再生周波数帯域 70Hz〜20000Hz
最低共振周波数 70Hz
出力音圧レベル 92dB
磁束密度 10000gauss
総磁束 8.5×104maxwells
バッフル開口径 145φmm
重量 0.92kg
 
 
BOSE301

\49,800(1台、1980年頃)
方式 2ウェイ・2スピーカー・ダイレクト/リフレクティング方式・ブックシェルフ型
使用ユニット 低域用:20cmコーン型
高域用:コーン型
インピーダンス
クロスオーバー周波数 ウーファー:1.2kHz、3kHz
トゥイーター:1.2kHz
外形寸法 幅433×高さ268×奥行236mm
重量 6.73kg
別売 グリル(単色1ペア、\13,000)


 
 

「ハーベスHL5」の弱いと言われているところ 少し苦言
 アメリカ・デュポン社のエッジがひび割れしやすいらしいが、このジャンクは大丈夫
 スピーカーユニットの取付ネジがゆるまず・・・私も3分の1の確率でネジ頭をねじ切ってしまった
 サランネットがボロボロになるらしいが、ジャンクにははじめから付いていないので分からない
 専用のスピーカースタンドもハーベスサウンドの一部か?これが結構高い

HL5のネットワーク詳細写真

基板の右下のところが気になった。木ねじで止める穴がパターンの7割位をくり貫いている。信号が薄まらないか・・・?



基板裏は、クッションとフロートを兼ねているのか、両面テープで隙間テープのようなものが・・・


パーツには実測値が書き込まれている。2.2μFに2.18とか。いかにも手づくりという感じだ。この写真下のスピーカー接続基板からネジとケーブルを通じてアンプへ繋がる。この基板からスピーカへは前述の圧着端子接続方式であり、何と接点の多いことか。(なお、圧着端子による接続を否定するものではなく、ハンダ付けが好きだという観点から・・・のコメント。)



ツィーター

ウーファー 相当錆が。(干し芋のように粉を吹いていたので除去

 2013.09.29


  金田アンプは、吸音材不用といわれている。ものの、今回はオリジナルのまま聴いてきた。のだが、不満があるわけではないのに、吸音材を除去してみた。スピーカーの接続極性も色々と変えてみた。結論までには至ってないが・・・
◎吸音材なし〜低域が出すぎる。材質はスポンジと思うが、相当の量である。カバーを掛けると枕になりそうである。
◎極性〜ウーファーもツィーターもスピーカー端子のプラスにはプラス(赤線)を接続するのが良いようだ。が、オリジナルの接続とネットワーク図を知りたいものだ。(知っておられる方は、メールをいただけると感謝)

2013.10.01