AT666スタビライザー

 AT666スタビライザーの構造は、レコードのレーベル部分と外周近くの2ヶ所でシーリングゴムが支えるもので、レコード再生に影響のあるレコードの歪みがキャンセルされて、浮かせるように使うのが金田アンプ流であることを金田先生から聞いたのは、15年以上も前のことだ。そのときの話では、現行品ではなく入手も難しいとのことであったのだが、まだまだオークションで入手できる。
 レコードを浮かせることは何とも心許なく良い音は期待できない思いが多く、常識外れに映るのだが、期待?とは裏腹にその効果は予想以上に大きく、締まったダイナミックレンジの広い音が出る。仲間内では、あまりキリットしすぎて感覚的に合わないとまでいう輩もいる。
 それにしてもAT666は、ゴムマットの音とは相当乖離した音になり自分自身で驚いている。当初、DL-102では限界があるものとして、モノラル録音のレコードに対してあまり良いイメージをもっていなかったが、少しづつ変えていくと期待に応えてくれて、どんどんと良い音になっていく。人もレコードも前向きな姿勢で接しないと良い方向へは変わっていかないのだ。植物さえもそうかもしれない。
 果たして、メーカーが当初意図したこととは正反対の使用方法でAT666は生き延びており、サクションユニットが使えなくなったオーディオアクセサリーで十分機能以上を果たすという皮肉さが面白くもあり楽しくもある。
 また、プラッターの中央の盛り上がり部分によるAT666のガタツキを解消するため、DENON用に作られたと思うドーナツ型の薄いゴムシートを介してAT666を乗せてみるが、DENONのDPシリーズのスピンドルは円錐形になっているため、AT666の厚みにより結果として、スピンドルの細くなっているところにレコードを乗せても遊びあって、レコードの中心を合わせづらいため、何かアタッチメントが必要となる。






 前述のとおり、最近、DL-102で十分という思いを深めており、少し前までこれを換えようとしていた自分が恥ずかしいと思いつつ、気になるカートリッジは1つだけある。
レコードにあっても、従来はステレオ版ばかり聴いており、ステレオシステムでモノラルレコードを聴くことは余程のことがなければしなかった。最近はモノラルシステムでばかり聴くようになって改めて分かったことだが、モノラル版の多いこと多いこと。
 当リスニングルームは7.5帖(24.3平方m)で、ステレオシステムとモノラルシステムが対峙する形で配置しており、同じ曲目をステレオ版とモノラル版で交互に聴くことでそれぞれの違いが良くわかるがほとんどの場合、モノラル版が勝つ。

2010.7.20