6C33C-Bバナー 6C33C−B真空管パワーアンプ製作記(トラブル)パート4
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ヒューズ溶解  2010.9.22 Masa宅のNo.140:6C33C-Bパワーアンプの右CH(T2)のヒューズが溶解した。2001年製のアンプだから、もう少しで10年の節目だ。この程度のトラブルならまだまだ使えるというものだ。一方で、メンテナンスフリーに近いパワーアンプを求める気持ちも見え隠れする。私もその気持ちは十二分に分かるからだ。だが、ロシアのこの球の世界に迷い込むと、そうそう簡単に縁は切れない。代替アンプ(No.130 ドレインフォロワー出力 オールFET DCパワーアンプ)を聴きながらMasa氏曰く「すっきりしていてこの音も良いね。」と。私は、きっと飽きるだろうと思った。
 今まで、Kazu宅の同種のトラブルは、T1(+側)のヒューズ溶解のためD3とTR7の取替えで解消した。
 今回は、マイナス側の球のヒューズ溶解のため、TR8、75Ω、D11・12が飛んだ。特に75Ωは完全に燃え尽きたため、抵抗下部の基板は黒こげ、抵抗の両端の半田止めの◎部分(半田面のランド)は剥がれ落ち、基板はもちろんのこと周辺デバイスへの影響は大きかった。基板を見たときにその痛々しさから私もMasa氏もショックは隠せなかったほどである。
6C33C−B基板焼けて無残
 (これでもTR8、75Ω、D11・12の被害だけだ)

しかし、ヒューズが切れて若干のパーツも道連れとなるも、今までどおりスピーカーへの飛び火はないので、Masa氏はこれだけでも幸いと感謝していた。本当は、スピーカーは飛んでくれ、新しいものを探す口実が欲しいと思っているのかも知れない。
 経験の上にたっての説明は確かである。
 ヒューズが切れる前にスピーカーが飛ぶとの予測で書き込まれているHPを見受けるが、逆でありヒューズが飛んでスピーカーが守れるということだろう。
 また、6C33C-B球は割と丈夫だが、周りの部品は熱に耐えられない、特にレベルシフトに使っている 47Vのツェナーは・・・とのことであるが、このツェナーは今まで一度も壊れたことはない。

75Ωの抵抗は焦げた
 (炭化の75Ω)

 No.140の熱対策用ファンBOXを過信していた。物理的なもの、特に回転部分はトラブルがあることを前提に考えるべきだったが、今回は左のファンが回っていなかったのが、熱暴走へと突入した要因のひとつだろう。ACファン2台で冷却しているが、AC60Vくらいで静かな回転なるのだか、もう少し電圧を上げないと左のファンは回転しなくなっていた。それでは、右ファンの回転音がうるさいし、なりよりもバランスが悪い。
 ファン冷却により出力オフセット電圧が大きく変わってしまう。ファンを回しておいて±50mVに調整してもファンを止めると500mVを上回り保護回路が付いていれば、すぐに動作するし、ファンの位置によってもオフセット電圧に影響を及ぼす。このMasa宅アンプには保護回路は付けていないから、熱いしオフセット電圧も出るし、散々だったに違いなく、大変気の毒なことをした。Masa氏曰く、暑い暑い今年の夏もそろそろ終わり、このアンプに絶好の気候となり、さて心地よく音楽を・・・という矢先、6C33C-B管内に火柱が立ったとか。その間、体は動かなく、ただ呆然と球を見つめており、こんなときって何も出来ないものだねと。しみじみ語るMasa氏。

6C33C-B基板 75Ω付近が燃えた
 (見事な火災)


 このアンプのヒューズ溶解は避けられないものだろうか。アンプのパワーステージと虎の子のスピーカーを壊さないためには、音を多少犠牲にしても終段電源の±に1〜2Aのヒューズを挿入されるのはどうだろうか。終段が三極管やV-FETでなければヒューズのインピーダンスの影響はほとんど出力には現れない筈だとの話もある。
 ヒューズ溶解は過電流であることは明白だ。8ΩW時の最大出力時、プレート電流は850mA程度となる。止む無く、今回はIoを250mAに設定することとした。アルテックの、とあるスピーカーではIoを220〜230mA流すと音が良いとのレポートもあるので信憑性は別としてお試しあれ。('03.06 173 6C33C-B 34W DCパワーアンプ修理顛末:当HP)
 No.140:6C33C-Bパワーアンプの基板を裏返しにして、シャーシ上面にVR1・VR2の調整穴を空けて、サイドパネルに終段のIo測定用抵抗1Ωを取り付けて、オフセット電圧を監視するとなると、テスターは4台必要になる。スピーカー端子に8Ω抵抗(1W位で可)を付けて置かないと、電源切断の折にいつまでもおかしなオフセット電圧が出続けることになるから忘れないように。


 今回のように既に組み上げているシャーシに穴を空けるのはリスクが大きい。アルミの屑が基板に潜り込んでは大変なことになる。このため、穴を空ける周りをガムテープ処理する。(VR1、VR2調整用の穴をシャーシに空けた。)
シャーシ穴あけ加工テクニック
 (ガムテープでまわりを保護)

 6082管(電圧制御用管:6AS7G、6080、6C33C-Bなど)は回路保全のヒューズ(細い接続線や平べったい接続線)が管の内部にあって、それはカソードから足への接続線、これが過大電流で溶解する。2ユニットのどちらかが溶解してもその球は使用できない。
 これらの制御管の問題点は、増幅率が小さいため、大きなドライブ電圧により、ヒューズが溶解することだ。

2010.9.28

復活 改修後のシャーシ内部 基板は裏返し
基板を裏返し配線の容易さと、VR1、VR2の調整をシャーシ上から出来るようにした

Masa氏リスニングルーム
復活後のMasa氏リスニングルーム 

2010.10.3