07.04No.192 オールFETプリメインアンプのメインアンプ部   非反転方式

パート 4
    
モノーラル考察


真のモノーラルは  DL-102         ステレオカートリッジをモノラル用にしたもの
テクニカAT-MONO   〃

オルトフォンCG-25Di 真のモノラルカートリッジ
EMT OFD25       〃

といわれている。

 
DL-102   長いことデンオンDL-102を聴いていた。以前にEMTのOFD25と聴き比べたことがあり、デンオンの完敗だった記憶がある。その再現を・・・と思ったときにEMTは断線。
 あのときの感動を今回は音のエジソン「スピリッツ」(Spirit)高出力タイプに求めた。 

 
 機種 スピリッツhi スピリッツ標準 DL-103R DL-103 DL-102 OFD25
出力電圧 3.7mV 0.9mV 0.25mV 0.3mV 3mV 1.15mV
再生周波数     20Hz~45kHz 20Hz~45kHz 50Hz~10kHz 20Hz~30kHz
インピーダンス 30Ω 14Ω 40Ω 240Ω 24Ω(1KHZ)
針先 17.8ミクロン丸針 17.8ミクロン丸針 16.5ミクロン丸針 16.5ミクロン丸針 17ミクロン丸針 25ミクロンソリッドダイヤ針
針圧 3.5g 3.5g 2.5±0.2g 2.5±0.2g 3±1g 5.0g
コンプライアンス - - 5×10-6cm/dyne 5×10-6cm/dyne - 12Nm
質量 10g 10g 8.5g 8.5g 13g 17.6g
YEN 46,000 46,000 - 26,000 20,000 89,250
 
2006年10月1日より、EMTのカートリッジが値上げ。
 ■10月1日からの新価格(税込)
TSD15(楕円/丸針)  ¥162,750
XSD15(楕円/丸針)  ¥178,500
TMD25  ¥162,750
TND65  ¥162,750
OFD25  ¥89,250
OFD65  ¥89,250
OFS25  ¥84,000
OFS65  ¥84,000
※なお、今後の針交換は、従来の新品交換ではなく、修理品として預かり、メーカーへ送っての針交換となるため、日数を要する針交換となるとのこと 注意。
この後、価格改定があったのだろう OFD25が105,000円になったようだ。

こちらに詳細あり

 
カートリッジ固定ネジ  カートリッジを止めるネジはβ型チタン合金、ワッシャは純チタン、六角ナットは、M2.6ネジと合わせられるチタンナットが無いのでステンレスを使用。M2.6のナット対辺は5mmのため、下からネジを上からナット止めとなっている。M2.6でも4mmサイズのものがあるというが、入手に難がありそうだ。4mmサイズなら上からネジというようにスマートになる。





2011.02.12追加

 
カートリッジを止めるのはチタンねじ
10個で1個50~60円程度
音のエジソン「スピリッツ」



 最近、新規のカートリッジを触っていないから、「スピリッツ」のセッティングには若干の緊張と大きな期待を込めて結線を施した。オルトフォンのシェル、接続線はオーディオテクニカ、ターンテーブルはデンオンDP-3000+キャビ+アームで、この辺が少し貧弱だがデンオンDL-102とほぼ同様の環境とするため、このフォノモータだけでも同一とした。(今回使用のDENON DP-3000は別項の修理顛末記を参照のこと。)

 DENON DP3000 + DK100 + DA305の仕様は以下のとおり。

DENON DP-3000 \43,000(1972年6月発売)
型式 ターンテーブル
駆動方式 サーボ式ダイレクトドライブ
モーター ソリッドロータ形トルクモーター
スピード制御 周波数検出によるサーボ
回転数 33 1/3、45rpm
スピード切換機構 電気的切換
起動時間 1.8秒(1/2回転、33 1/3rpm)
ワウ・フラッター 0.03%wrms以下(テストレコードによる)
モーターボード アルミダイキャスト
SN比 60dB以上
ターンテーブル 30cmアルミダイキャスト、1.1kg
慣性モーメント 160kg・cm2
回転数調整範囲 ±3%
電源 AC100V、50Hz/60Hz
外形寸法 幅370×高さ139×奥行374mm
重量 6.7kg

DENON DK-100 \16,000(1973年頃)
型式 プレイヤーキャビネット
取付可能トーンアーム長 最大全長350mm以下
アームボード 交換可能(ネジ着脱式)
アームボード寸法 幅139×奥行304mm
アームボード板厚 20mm
外形寸法 幅530×高さ170×奥行き420mm
本体:幅530×高さ90×奥行き420mm
アクリルカバー:幅516×高さ80×奥行き408mm
重量 6.7kg
付属 コードクランパー×2
コードクランパー用木ネジ×2

DENON DA-305 \16,000(1973年頃)
型式 ユニバーサルトーンアーム
形式 スタティックバランス型
アーム長 347mm
有効長 244mm
オフセット角 21゜
オーバーハング 14mm
トラッキングエラー ±2゜以内
針圧調整範囲 0~3g
適合カートリッジ自重範囲 4g~15g
高さ調整範囲 35mm~70mm
シェル自重 約8.5g
シェルコネクタ EIA規格4Pコネクタ
取付可能ボード厚 最大30mm
出力コード 5Pコネクタ付き低容量コード
35~70mm

オルトフォンのシェルLH 6000


PCOCCカートリッジ用リード線(4本1組)AT6101


 大きな期待のもと、「スピリッツ」で針を落としたThe Broadway Bits (踊り子)A面1曲目「It's All Right With Me (from "Can-Can") / 私は御満足」の音は、意外とこじんまりしていたが、ディープな予感。
 何のことはない、ゲインがDL-102より低いのだ。どうしたことか、カタログ上ではDL-102は3.0mV、「スピリッツ」は3.7mVで「スピリッツ」は、DL-102より大きな音が出るだろうから、夜中の対策を考えないと困ると思っていた。
 ゲインが低いことで期待はずれとなり一気に良くないと決めつける短絡思考にも困ったものだが、事前にどこかのHPででもアナウンスがあればまだしも、自己体験・判断では戸惑うものだ。
 プリのVRはDL-102では、最小。「スピリッツ」では、11~12時くらいでDL-102並となる。
 「スピリッツ」の針圧は、2.0~4.5g(標準3.5g)とのことだが、DL-102と同じく3.0gにしたが、針跳びは無くトレースも問題ないので、このままにしているが、重くかけるほうが良い音になるとマニュアルには記載があった。針先は0.7ミルとカタログには記載があったが、他のカートリッジに合わせるため、25.4を乗じてミクロン単位にした。

 細かいところの比較はしていないが、3倍近くの価格と引き換えに聴く音だろうかとの疑問はあるのは、DL-102を長いこと聴いていたので、それの荒削りな音に慣れたのかも知れない。「スピリッツ」の音の傾向は高い方にウェイトがかかっていると感じた。証拠に高域での和音の響きが実に綺麗だから、この辺りが魅力なのだろうか。
 色々な比較は、もう少しエージングが進んでから、仲間内とも酒を酌み交わしていつものとおりだ。
 結局、無骨なDL-102のc/pを再評価することになろうとは思いもよらなかった。(DL-102の最安値13千円程度だから…)

2011.01.13


同時比較の必要

 しかし、以前のEMTとDL-102との異なる印象が脳裏にこびり付いていて、もう少しシビアに比較しなければ、音のエジソン「スピリッツ」に対する真の評価ができないでは申し訳ない。
 同じ、レコードでの比較が必要のため、4枚所有している中から次のものを選定した。
 ジ・アーティストリー・オブ・アートペッパー




①DENON DP3000 + DK100 + DA305+スピリッツ
②DENON DP3000 +自作キャビネット+グレースG-540+DL-102

①と②は、切り替えBOXで切り替えてプリに入力する方法で同時進行のレコードの音を比較する。切り替えは、プリのミューティングをonにして行う。
 結果は以前に比較したEMTとDL-102との違いを彷彿とさせる。
 DL-102は、やはり、何枚かベールをかぶっていた。シンバルの音がサックスの奥にこじんまりと隠れているが、スピリッツの方は、小気味良く主張して鳴ってくる。少し主張しすぎるようだが、高域にウェイトを持たせている音作りだからなのか。
 こんなにもモノーラルレコードに新鮮な音が入っていたのだ、モノーラルとの出会いが遅れたなー。
 当初は、ステレオシステムに傾注し、相当の時間と労力と予算を注ぐ。そんな中で、ステレオカートリッジでモノーラルレコードを聴くわけだから、良い音が出るわけは無い。ステレオシステムの外にモノーラルシステムを持つのは、予算的にも部屋のキャパ的にも容易ではないから、折中となる。
 ステレオシステムはステレオレコードのために!!という考え方もあって、モノーラルレコードを聴かずにきたことも原因している。聴いていないモノーラルレコードの多いこと々。写真のパシフィックのシリーズは、大半手持ちがあるが、モノーラルが圧倒的に多いから、ほとんど聴いていないことになる。
 良い音を聴いてしまうと元には戻れない。

2011.01.15

バド・パウエル ジ・アメイジング・バド・パウエル / THE AMAZING BUD POWELL TOJJ-5003


この中のチュニジアの夜 A NIGHT IN TUNISIAの出だしのシンバルの凄烈さ。ここでもスピリッツの表現力には驚いた。
2011.01.16

 レプリカやスピリッツは非常に素直に信号を取り出し、ジャンルには関係なく現実的な音に近くなる。音楽性のある豊かな感情表現とスピード感のある音が出る。とのメーカーコメントであるが、ほぼ合っている。
 レコード溝に刻まれていない音は出て来ないのであり、出てきても元の音と異なるのでは非常に困惑する。カートリッジよる音の違いは、楽器によるそれと同様に物理的振幅レベルの表現であるが、ピックアップ後の増幅装置は録音時とは異なっているのだから、出てくる音に変化があって当然である。
 たまさか、フォノモーターやカートリッジ・アンプ・スピーカーがマッチングして、元の音か、それに近い音が再現できるのだろう。金銭的にゆとりのある輩はこのプロセスに身を投じ、機材の入替えに奔走する。私には、そんなゆとりはないから、アンプやエンクロジャーを自作して、カートリッジは奔走後のオークションで入手する。機材の大きな入替えは至難の業であり、限られた範囲での試行錯誤が続くばかりだ。
 何でもそうだが選んでいるとき、悩んでいるときが一番楽しい。絵画の視覚による評価は「好きかどうか」、聴覚によるオーディオの評価については「答えはない」のだと思う。
 何れにしてもカートリッジの価格は高すぎる。基本的な構造は決まっているから、新規に開発というよりは、素材や配置の変更で済ませていると思う。しかし、それを商業ベースに乗せると数十万円という既定の価格になってしまうのであり、需要と供給のバランスなのか。私は、5万円が限度であり、出来れば3万円台だ。
2011.01.17

EMTOFD25復活


 忘れかけていた音がよみがえった。OFD25の出力電圧1.15mVであるが、ほぼDL-102同等のパワーがある。この辺りの電圧表記が比例していないと感じるのは、3.7mVのスピリッツが一番のパワー不足なのだから。
 さて、OFD25から出てきた音は果たして時空を超えたのだろうか。スピリッツとも違う音作りであり、スピーカーの向うから当時の空気までも感じるといったら大げさだろうか。情感豊かな音楽が時空を超えて現代によみがえる。
2011.01.20


EMT OFD25とデンオンDL-102

 音のエジソン「スピリッツ」とデンオンDL-102との比較では、スピリッツの圧勝だった(筈だ)。今度は、EMT OFD25とデンオンDL-102を比較した。出てくる音量(パワー)は、出力電圧の1.15mVと3mVとの差は感じられない。全体のクォリティーはもちろんOFD25だが、スピリッツとの時に比べて劇的に異なる音の差異は感じられなかった。ということは、幾分OFD25がDL-102に近いということになる。なお、OFD25もスピリッツ同様(厳密にはスピリッツよりも少し音は引っ込んでいる。)、シンバル等の音の張り出しはしっかりとしているのだが、何故かそのパッションは薄く、DL-102でも楽しめるという認識を新たにした。更には、オーディオテクニカのAT-MONO3/LP(実勢価格1万円程度)も検証したくなった、これで良ければ・・・。
 しかし、よくよく考えると、OFD25のおおらかな普通さが大切なのかもしれない。人間と同じであり、派手な方と付き合うと翻弄されがちになるからOFD25の地味さに共感を覚える。スピリッツのように高域に少しシフトした音作りだとキツさが耳に付き、長く聴くと疲れるからだ。それにしてもEMT OFD25と音のエジソン「スピリッツ」との同時比較が楽しみである。
 オークションも含めた入手易さ価格の安さは、DL-102だ。
 OFD25のような絶滅危惧種(失礼)にいつまでも依存するのは心配なことであり、良い音と分かっていても、いつかは別れるときがくる。ならば、中庸どころで固めておくのも大切なことだ。

デンオンDL-102では駄目なのか
 オーディオテクニカにもっと安いモノーラルカートリッジがある。もし、それで満足するのならそれにしよう。突然壊れなくともいつかは壊れる消耗品だから移行をストレス無くスムーズに行うことが大切だ。この移行には価格的負担及び絶滅危惧種となることによる馴れ親しんだ音の継続困難によるストレスがスムーズさをも奪うからだ。
2011.01.26

 
 
EMT OFD25とスピリッツ  適当に空いているターンテーブルが無いのと設置する場所の問題もあって、臨時に音のエジソン「スピリッツ」のターンテーブルはコンパクトなトリオKP-700にした。
 EMT OFD25はデンオンDP3000 + DK100 + DA305に取り付けており、いずれもAT666スタビライザーを載せてある。
 出てきた音量(パワー)は、出力電圧3.7mVのスピリッツはプリアンプVR目盛4.5に対して出力電圧1.15mVのOFD25はプリアンプVR目盛0で同音量となるからメーカー公表の出力電圧の測定方法に差異があるものなのか?
 深夜の鑑賞で音量を絞りたいときは、スピリッツに切り替えプリアンプVR目盛0で聴くと丁度良い。音量を絞ってもスピリッツなら、出てくる情報量は多く音が痩せる等の不満はない。

 音は、やはりスピリッツが高域寄りで、シンバルの音が強調され、アルトサックスの高域が耳に付きキツくなる。(しかし、低域はしっかりと出てくる。)OFD25はそのような派手さはなく、低域から高域までまとまっていて聴きやすい。スピリッツのときは、CHデバイダーの中高域を少し下げて見ると落ち着くのかも知れないが、双方、同一条件でヒヤリングしているため、その辺りのチューニングはしていない。
 果たして、スピリッツとOFD25、入手しやすさ・音の評価も含めスピリッツということになるのだろうか。そういえば、音のエジソンでは「レプリカ」というカートリッジを用意しているが、この価格帯のカートリッジでも良ければ、これにこしたことはないのだが聴いてみないことには・・・。

 以前に「レプリカ」についてメーカーに相談したときの回答。
 「お持ちのシステムがとてもしっかりしていますので、長年オーディオをされていると思います。確かにDL-102をレプリカに替えられると本格的なモノラルの音に変化すると思いますが、お客様のシステムのレベルから考えますと、特許製品のスピリッツMONOの方が非常にお薦めです。
 カートリッジはスピーカーやアンプと同等に大事なもので、スピリッツに替える事によって全ての音が格段にグレードアップすると思います。
 そして、今までの古いモノラルレコードには非常に質の良い音が録音されている事が分かります。
レプリカやスピリッツは非常に素直に信号を取り出しますので、ジャンルには関係なく現実的な音に近くなり、音楽性のある豊かな感情表現とスピード感のある音が出ます。」
2011.01.31
 

ビートルズ

  
 I am Samの映画を見て、このレコードのHere Comes The Sunが聴きたくなってレコードに針を落とした。
 結構、このようなきっかけは多い。マーラーの5番第4楽章も新聞記事に載っていた一言で聴きたくなった。1968年兄の元大統領、次いで暗殺されたロバート・ケネディー米上院議員の追悼ミサで、レナード・バンスタイン指揮にて流れたことで有名。映画「ベニスで死す」でも流れていた「アダージェット」
2011.02.03