No.159パワーアンプ
         初段に2N3954を耐圧ぎりぎりで使用


















 このシリーズあたりから、TS-180トランスが汎用性を現してきた。どちらかと言えば私は実験好きなタイプなので、新しいアンプを組むたびに電源トランスの規格が変わるのではたまったものではない。TS-180は、終段が半導体なら、ほとんどのアンプに使える優れものであり、将来性を見込んでこのタイプで2組の電源を確保した。
















 このアンプは、初段に2N3954を使っており、Vds=46Vもかけている。
 2N3954も本物・偽者があるとか。後者はゲート漏れ電流がひどく、Vds=46Vでは使い物にならないとの話を良く聞く。それでは、当家のパワーアンプは幸いにも良き2N3954に巡り会えたということか。何も気にしないで使ったのだが、良かった良かったと・・・。しかし、結構熱くなる。壊れてジャンク箱に移籍した2SC959の足を切って、2N3954の頭に重ね、放熱器代わりとして半田付けをした。
 気持ちVdsを下げたいものだが、他の記事ではどうだったか?No.163と No.164はVds=26V、No160では6V.となっている。背に腹は変えられず、ふむむ。。。MJ著者先生も良くない石に接近遭遇したのか?
 デバイスの耐圧の限界=良い音、となっている嫌いが無くもないが、少し安心するためにもVdsを下げたいし、エコ(ECO)?の観点から温度は下げたい。
 (終段の場合、電流は多いほど音は躍動的になるのだが、冷えた部屋でSW・ON時の過電流も気になるから、私は必要以上に流さない。経験上TR式で100mA、FET式で150mAをmaxとしている。)
 2SK30ATMなら、選別してVds=50Vも可能とのコトだが、最近の製作例にはめっきりと顔を出さなくなった。2SK117BLそして、2SK246BLが台頭してきた。2SK389も2N3954の代わりに使えるとの記事も見受けるが、ゲート漏れ電流が大きく使えないとも聞くが…追試の要がありそうだ。
 時代が変わればデバイスも変わっていく、しかし、キャンタイプの石は、見るからに良い音が出そうだから、料理と同じで見た目が大切ということなのか。古い石は良い音がするとのジンクスなのか、事実なのか?色々な話があるものだが、自分ですべてを体験できないから、試した人の耳を信じるしかない。
 耳といえば自分の耳は、あまり良いと思っていない。だから、微妙な音の差異は気にしないようにしている。気にしていたら、いつまでも音ばかり聞いて音楽を聴けないからだ。耳が良くないという自覚は、真空管プリの高圧電源部の変化で分かったことであり、ダイオードと整流管をSWで瞬時に切り替えて、交互に聴くのだがどちらも同じように聴こえる。球のエージング不足との声も聞こえるが…。そんな私でも、さすがに、真空管プリと半導体プリの差は歴然と分かる。
 耳が良い輩は、舌も良いと実感する。(日本酒を飲ませるとその旨さが良く分かるからだ。)

2009.1.17
2010.7.27追記